似た意味を持つ「アナロジー」と「メタファー」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「アナロジー」と「メタファー」という言葉は、「たとえ話」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
アナロジーとメタファーの違い
アナロジーとメタファーの意味の違い
アナロジーとメタファーの違いを分かりやすく言うと、アナロジーは類推を表現する時に使い、メタファーは隠喩を表現する時に使うという違いです。
アナロジーとメタファーの使い方の違い
一つ目のアナロジーを使った分かりやすい例としては、「アナロジー法は他者に物を教える時に大いに役立つだろう」「アナロジー思考は自身の経験の応用と言えるだろう」「生物学におけるアナロジーは調べてみると面白い」などがあります。
二つ目のメタファーを使った分かりやすい例としては、「別のメタファーを使ったらより分かりやすくなったと言われた」「令和のピカソだというメタファーは素直に喜んでいいのかわからない」「メタファーは相手も知っている概念であれば伝わる」などがあります。
アナロジーとメタファーの使い分け方
アナロジーとメタファーはどちらもたとえ話を指す言葉ですが、使い方が若干異なります。
アナロジーは、「コーヒーが飲めて甘いものが好きならカフェオレも好きだろう」などのように、AとBの二つの似ているものがあるとして、AがそうであるならばBもそうだろうと推測する考え方を指します。
一方のメタファーは、「時は金なり」などのように、AはBのように考えられるという表現を、「まるで」「ようだ」などの言葉を使わずに行うことを指す言葉です。また、映像作品において、泣いてしまうような悲しさを雨に例えるといった描写も該当します。
つまり、アナロジーはAがBに似ているという理由でAの推測をすることを指し、メタファーはAをBに例えて表すことを指します。そのため、メタファーはアナロジーの一種とも言われています。
アナロジーとメタファーの英語表記の違い
アナロジーを英語にすると「analogy」となり、例えば上記の「アナロジー法」を英語にすると「analogy method」となります。
一方、メタファーを英語にすると「metaphor」となり、例えば上記の「別のメタファー」を英語にすると「a different metaphor」となります。
アナロジーの意味
アナロジーとは
アナロジーとは、ある事柄をもとにして他の事柄を推し量って考えることを意味しています。
その他にも、生物学的に、まったく別の起源から発生したものの類似した形態や機能を持つことを表す言葉としても使われています。
アナロジーの使い方
「アナロジー思考を持ち続けることで0を1にするよりも簡単に思える」「子どもに物を教える時のアナロジーの効果は絶大だと思っている」「アナロジー法を用いるためにも経験を積みたい」などの文中で使われているアナロジーは、「類推」の意味で使われています。
一方、「サツマイモとジャガイモはアナロジーの関係にある」「アナロジーと進化は切っても切り離せないだろう」「全く関連がない生物の間でアナロジーを考えたことがなかった」などの文中で使われているアナロジーは、「相似」の意味で使われています。
アナロジーは英語で「analogy」と表記され、「類似」「類推」「相似」といった意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われていますが、単純に似ていることを表すのではなく、似ているもの同士を比べて推論を立てるまでの考え方を指します。
古代ギリシアでは、数学用語として「比例」を意味する言葉でしたが、哲学分野で使われ始めてから「類推」を意味するようになりました。
例えば、新しいことに挑戦する時、過去の経験に似ているから同じような行動を取ることや、同じようなミスをしないように立ち回るなどの考え方が、上記例文の「アナロジー思考」に当たります。
また、生物学用語として使われる場合は、機能や形態が同じ役割を持つ器官などが、それぞれ別のものから発生したことを表す相似の意味で使われます。例えば、羽を持つ生物は様々ですが、昆虫と鳥類の空を飛ぶための器官は由来が異なります。
アナロジーの類語
アナロジーの類語・類義語としては、二つの事物の間に類似点があることを根拠にもう一方も同じ性質を持つだろうと推理することを意味する「類比」、ある事実をもとにして別の事柄を推し量って論じることを意味する「推論」などがあります。
メタファーの意味
メタファーとは
メタファーとは、よく似ている別の概念に変える比喩的表現を意味しています。
メタファーの使い方
メタファーを使った分かりやすい例としては、「怒りを炎に例えるような概念メタファーは映像や画像の透かし効果として盛り込まれることもあるだろう」「メタファー的表現が通じない場合も視野に入れる必要がある」などがあります。
その他にも、「メタファー表現が咄嗟に出てくる人は豊富な知識を有しているように思う」「デザインにもメタファーは多く、設定マークは多くの端末で共通している」「見慣れた企業マークがその会社のメタファーとも言えるだろう」などがあります。
メタファーは英語で「metaphor」と表記され、隠喩や暗喩を意味する言葉として使われています。日本語でも同じように使われており、「まるで」「ように」などを使った比喩表現とは区別して使われています。
例えば、「あなたは天使のように優しい」「彼は嵐のような人だ」などの表現を、「あなたは天使だ」「彼は嵐だ」という表現のように比喩表現を用いない表現方法を指します。
また、映像や画像において、雨が降っている場合には登場人物の物悲しい心情や不穏な様子を表し、カレンダーにハートマークが書かれている場合には恋人とのデート日を表すなどの「ほのめかし」をすることができ、こういったものもメタファーに該当します。
メタファーの対義語
メタファーの対義語・反対語としては、直接物事を表現するにあたって別の物事に例える際に「のような」「ごとし」などの言葉を伴う表現方法を指す「シミリー」があります。
メタファーの類語
メタファーの類語・類義語としては、表したいものと深い関係にあるもので対象を指す表現を意味する「メトニミー」、対象を含むような表現で対象自体を表したり、上位概念と下位概念とを変えて対象を指す表現を意味する「シネクドキ」などがあります。
アナロジーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある事柄をもとにして他の事柄を推し量って考えることを意味する時などが挙げられます。
例文4と例文5のアナロジーは、生物学用語の「相似」を意味する言葉として使われています。
メタファーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、よく似ている別の概念に変える比喩的表現を意味する時などが挙げられます。
どの例文のメタファーも、「暗喩」「隠喩」という言葉に置き換えて使うことができます。
アナロジーとメタファーは、どちらも「たとえ話」を表します。どちらを使うか迷った場合は、類推を表す場合は「アナロジー」を、隠喩を表す場合は「メタファー」を使うと覚えておけば間違いありません。