【平身低頭】と【三拝九拝】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「平身低頭」(読み方:へいしんていとう)と「三拝九拝」(読み方:さんぱいきゅうはい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「平身低頭」と「三拝九拝」という言葉は、どちらも「頭を下げている様子」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




平身低頭と三拝九拝の違い

平身低頭と三拝九拝の意味の違い

平身低頭と三拝九拝の違いを分かりやすく言うと、平身低頭とは謝罪する時に使われ、三拝九拝とは依頼する時に使われるという違いです。

平身低頭と三拝九拝の使い方の違い

一つ目の平身低頭を使った分かりやすい例としては、「浮気がバレて平身低頭で彼女に謝り続けた」「プライドが低く平身低頭な人は出世しないでしょう」「私はひたすら平身低頭、土下座して謝った」「度重なる無礼を平身低頭お詫び申し上げます」などがあります。

二つ目の三拝九拝を使った分かりやすい例としては、「三拝九拝して借金を頼み込んだ」「寺の住職に三拝九拝して来てもらった」「周りに三拝九拝されて仕方なく役員を引き受けた」「三拝九拝して高価なドレスを借りました」などがあります。

平身低頭と三拝九拝の使い分け方

平身低頭と三拝九拝という言葉は、どちらも頭を下げている様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

平身低頭とは、体をかがめて頭を低く下げて恐れ入る様子を表します。上記の「プライドが低く平身低頭な人」のように恐縮することや、「平身低頭で謝り続けた」のように詫びることを表す時に使われています。

三拝九拝とは、何度も繰り返し礼拝する様子や、何度もお辞儀をすることを表します。「三拝九拝して頼みむ」のように人に物事を頼むことを意味します。また、手紙文の末尾に添えて、深い敬意を表わす言葉です。

つまり、平身低頭は頭を下げて恐縮することや謝罪することを表し、三拝九拝は頭を下げて敬意や依頼の気持ちを表すという違いがあります。

平身低頭と三拝九拝の英語表記の違い

平身低頭を英語にすると「genuflection」「prostrating oneself」「humbly」となり、例えば上記の「平身低頭して謝る」を英語にすると「humbly begged pardon」となります。

一方、三拝九拝を英語にすると「get down on one’s knees」「kowtowing」「bowing repeatedly」となり、例えば上記の「三拝九拝して頼む」を英語にすると「get down on one’s knees and beg a person for help」となります。

平身低頭の意味

平身低頭とは

平身低頭とは、ひれ伏して頭を下げ恐れ入ること、ひたすら詫びることを意味しています。

平身低頭の使い方

平身低頭を使った分かりやすい例としては、「政治家は献金の使い方を問われ平身低頭の姿勢に終始した」「彼は気が小さく平身低頭な人です」「与党は平身低頭で審議をお願いしてばかりだ」などがあります。

その他にも、「友人に迷惑をかけてしまい平身低頭するばかりでした」「ビジネス文書を紛失してしまい平身低頭で謝罪しました」「相手が平身低頭して土下座するまで許すつもりはない」「平身低頭で謝って許しを請うしかないだろう」などがあります。

平身低頭とは、文字通り「頭を下げ身を低くすること」を表し、非常にへりくだる様子や、恐縮してただひたすら謝ることを意味します。「平身」と「低頭」を入れ替えて、「低頭平身」(読み方:ていとうへいしん)とも言います。

平身低頭は、主に謝罪やお詫びの際に使う表現になります。原義は「ただひたすら恐縮すること」ですが、感謝や御礼、依頼や要求に対して使うことはほとんどない四字熟語です。

平身低頭の対義語

平身低頭の対義語・反対語としては、いばり返って人を見下しへりくだる気持ちがないことを意味する「傲岸不遜」、おごりたかぶって礼儀を知らないような態度をとることを意味する「傲慢無礼」などがあります。

平身低頭の類語

平身低頭の類語・類義語としては、顔が地面に付きそうになるほど身を低くして頭を下げることを意味する「平伏す」、申し訳ないという気持ちを表すために地面にひざまずいて謝ることを意味する「土下座」、事情を述べてわびることを意味する「陳謝」などがあります。

三拝九拝の意味

三拝九拝とは

三拝九拝とは、何度も頭を下げること、何度も頭を下げて敬意や謝意を表すこと、手紙の末尾に記して敬意を表す語を意味しています。

三拝九拝の読み方

三拝九拝の読み方は「さんぱいきゅうはい」です。誤って「さんはいくはい」などと読まないようにしましょう。

三拝九拝の使い方

三拝九拝を使った分かりやすい例としては、「友人に三拝九拝して金を借りた」「三拝九拝されて断れなかった」「三拝九拝で感謝の気持ちを表した」「教えを受けた恩のある先生に三拝九拝の敬意を示す」などがあります。

その他にも、「部長に三拝九拝して仲人をお願いしました」「三拝九拝されてもその願いは聞き入れられない」「親に英語留学の費用を出して欲しいと三拝九拝する」「手紙の最後に三拝九拝と記した」などがあります。

三拝九拝の「三拝」も「九拝」も深い敬意を表す礼のことです。三拝九拝とは、何度も頭を下げて、頼んだり感謝したりするさまを意味する四字熟語です。また、手紙文の末尾に記し、きわめて厚い敬意を表すことにも用いられています。

三拝九拝の由来

三拝九拝という言葉の由来は、中国の清の時代に三回ひざまづいて、九回頭を地面につける、という敬礼のスタイルにあります。そのため、「三拝」のあとに「四拝」ではなく、「九拝」になったと言われています。

三拝九拝の対義語

三拝九拝の対義語・反対語としては、おごりたかぶって人を見下すさまを意味する「傲岸無礼」、人に対して礼を失した振る舞いをすることを意味する「失敬」などがあります。

三拝九拝の類語

三拝九拝の類語・類義語としては、三度ひざまずいてから九回頭を地面につけるという礼の仕方を意味する「三跪九叩」、頭を下げて礼をすることや拝むことを意味する「拝礼」、謹んで拝むことを意味する「奉拝」などがあります。

平身低頭の例文

1.浮気を問い詰められた男は、とにかく穏便にすまそうと平身低頭の姿勢に終始した。
2.相手の怒りが収まるまで、平身低頭でひたすら謝り続けるしかないだろう。
3.平身低頭で謝っても許してくれなかったので、土下座して謝罪しました。
4.予約したビジネスホテルから、オーバーブッキングを平身低頭で詫びる電話を受けた。
5.取引先に間違った英語の資料を送ってしまったので、平身低頭で謝罪しました。
6.彼はとにかく平身低頭で謝るので大目に見てもらうことが多いが、その場限りですぐ忘れてしまうのか、同じ失敗を繰り返すのであまり信用していない。
7.奥様の話になると、かれは普段からいろいろ迷惑をかけているらしく、平身低頭するばかりであった。
8.会議の書類を紛失してしまい、上司に平身低頭で謝罪に行ったが、あっけなく許してもらい拍子抜けしてしまった。
9.男は平身低頭して謝るどころか、開き直って逆ギレしてきたものだから、お互い言い争いになってしまう。
10.わたしは悪いことは何もしていないのだから、平身低頭して謝罪する理由もないはずだ。

この言葉がよく使われる場面としては、身をかがめ頭を低くさげて恐縮すること、ひたすら謝ることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある平身低頭は、ひたすらに恐縮する様子を表しています。例文2から例文5の平身低頭は、ひたすら謝るさまを表しています。

三拝九拝の例文

1.急用で出勤できなくなったので、同僚に三拝九拝して仕事を代わってもらった。
2.彼に別れないで欲しいと三拝九拝され、余計に気持ちが冷めてしまった。
3.三拝九拝して懇願したにも関わらず、父は私の要求を受け入れてくれなかった。
4.曹洞宗の檀家である祖父は、お坊さんに三拝九拝して敬意を示していました。
5.文末に三拝九拝と添えて、就職報告の手紙を恩師に送りました。
6.過保護で心配性の母は、僕が中学生になっても担任に三拝九拝して息子をどうぞよろしくお願いいたしますと何度も頭を下げてお願いしていた。
7.友人に三拝九拝してやっと借りたお金だったが、ギャンブルに使ってしまいすっからかんになってしまった。
8.会長就任の打診をされて当初は断りを入れようとしたが、三拝九拝されて断り切れず結局引き受けてしまう。
9.兄は親に三拝九拝をしてアメリカ留学の費用を工面してもらったのに、遊んでばかりいるではないか。
10.卒業式ではお世話になった先生方に三拝九拝の敬意を示しすべく、卒業生一同で威風堂々を合唱した。

この言葉がよく使われる場面としては、何度も頭をさげて人に物事を頼むこと、手紙文で末尾にしるして深い敬意を表す挨拶を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文4の文中にある三拝九拝は、何度も頭をさげて人に頼むことを表しています。例文5の三拝九拝は、手紙文の末尾に書いて、厚い敬意を表す語を表しています。

平身低頭と三拝九拝という言葉は、どちらも「頭を下げること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、恐縮する様子や謝罪する気持ちを表現したい時は「平身低頭」を、敬意や依頼の気持ちを表現したい時は「三拝九拝」を使うようにしましょう。

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