似た意味を持つ「苦言を呈する」(読み方:くげんをていする)と「耳の痛い話をする」(読み方:みみのいたいはなしをする)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」という言葉は、どちらも言いにくいことを言うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」の違い
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」の意味の違い
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」の違いを分かりやすく言うと、「苦言を呈する」より「耳の痛い話をする」の方が柔らかい表現という違いです。
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」の使い方の違い
一つ目の「苦言を呈する」を使った分かりやすい例としては、「苦言を呈するようで申し訳ないがしっかりと聞いて欲しい」「師匠から苦言を呈してもらったことで救われました」「あなたの将来を思ってあえて苦言を呈したい」などがあります。
二つ目の「耳の痛い話をする」を使った分かりやすい例としては、「耳の痛い話をする人は本当に自分のことを考えてくれている」「耳の痛い話をするが明日から子会社への出向が決まった」「彼は彼女に耳の痛い話をするつもりです」などがあります。
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」の使い分け方
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」はどちらも相手のためを思って言いにくいことを言うことを意味する言葉で、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「苦言を呈する」より「耳の痛い話をする」の方が柔らかい表現というのが違いです。
そのため、「苦言を呈する」はよりかしこまった場面で使い、「耳の痛い話をする」は軽い会話などややフランクな場面で使われることが多いでしょう。
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」の英語表記の違い
「苦言を呈する」を英語にすると「give somebody frank advice」となり、例えば上記の「あなたの将来を思ってあえて苦言を呈したい」を英語にすると「Precisely because I have your future at heart, I’d like to give you my frank advice.」となります。
一方、「耳の痛い話をする」を英語にすると「home truth」となり、例えば上記の「彼は彼女に耳の痛い話をするつもりです」を英語にすると「He is going to tell her a home truth」となります。
「苦言を呈する」の意味
「苦言を呈する」とは
「苦言を呈する」とは、相手のためを思って言いにくいことを言うことを意味しています。
「苦言を呈する」の読み方
「苦言を呈する」の読み方は「くげんをていする」です。誤って「くごんをていする」などと読まないようにしましょう。
「苦言を呈する」の使い方
「苦言を呈する」を使った分かりやすい例としては、「私は上司としてあえて苦言を呈するようにしています」「息子が勉強せず遊んでばかりいるので苦言を呈した」「後輩の将来を思って苦言を呈することにしました」などがあります。
「苦言を呈する」は本人のためを思い言いにくいところまであえて言うことを意味する「苦言」に、差し出すことを意味する「呈する」が合わさり、相手のためを思って言いにくいことを言うことを意味する言葉です。
「苦言を呈する」は相手に悪い言葉を投げかけるマイナスのイメージ持つ言葉ではないので注意しましょう。相手の将来のためを思って厳しい言葉を投げかける、プラスのイメージに近い言葉になります。そのため、相手を攻撃する場合には「苦言を呈する」は使いません。
「苦言を呈する」は上司など目上の人が目下の人に使う
「苦言を呈する」は基本的に目上の人から目下の人や、立場が同等の人に対して使うのが一般的です。上司から部下、教師から生徒、両親から子供など、その人の状況を改善し成長してもらうために投げかけます。
また、「苦言を呈する」は目下から目上の人に対しても使うことも可能ではありますが、あまり一般的ではありません。もし使いたいのであれば、敬語を使用し相手に不快感を与えないように注意しましょう。
「苦言を呈する」の類語
「苦言を呈する」の類語・類義語としては、目上の人に対してその過ちや悪い点を指摘して改めるように忠告することを意味する「諫める」、重ねて注意することを意味する「念を押す」、約束違反や言い逃れができないように念を押すことを意味する「釘を刺す」などがあります。
「耳の痛い話をする」の意味
「耳の痛い話をする」とは
「耳の痛い話をする」とは、相手が聞きたくないことを言うことを意味しています。
表現方法は「耳の痛い話をする人」「耳の痛い話をするけど」
「耳の痛い話をする人」「耳の痛い話をするけど」「耳の痛い話だが」などが、「耳の痛い話をする」を使った一般的な言い回しになります。
「耳の痛い話をする」の使い方
「耳の痛い話をする」を使った分かりやすい例としては、「耳の痛い話をするけどしっかりと聞いて欲しい」「耳の痛い話をされたがこれからどうすればいいか分からない」「耳の痛い話をする先生だったが今ではとても感謝しています」などがあります。
「耳の痛い話をする」は聞くのがつらいことを意味する「耳の痛い」に、言葉を交わすことや会話をすることを意味する「話をする」が合わさり、相手が聞きたくないことを言うことを意味する言葉です。
また、「耳の痛い話をする」はやや柔らかい表現なため、文語ではなく、口語として使うのが一般的になっています。
「耳の痛い話をする」は相手に悪い言葉を投げかけるマイナスのイメージ持つ言葉ではないので注意しましょう。相手の将来のためを思って厳しい言葉を投げかける、プラスのイメージに近い言葉になります。そのため、相手を攻撃する場合には「耳の痛い話をする」は使いません。
「耳の痛い話をする」の類語
「耳の痛い話をする」の類語・類義語としては、人の指摘などがまさにそのとおりであることを意味する「図星」、心に強い衝撃を受けることを意味する「胸に刺さる」、情報として受け入れたくないことを意味する「聞きたくない」などがあります。
「苦言を呈する」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手のためを思って言いにくいことを言うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「苦言を呈する」は相手のためを思って厳しい言葉を投げかける場合に使う言葉です。
「耳の痛い話をする」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手が聞きたくないことを言うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「耳の痛い話をする」は相手のためを思って厳しい言葉を投げかける場合に使う言葉です。
「苦言を呈する」と「耳の痛い話をする」はどちらも言いにくいことを言うことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「苦言を呈する」よりも「耳の痛い話をする」の方が柔らかい表現と覚えておきましょう。