似た意味を持つ「反駁」(読み方:はんばく)と「反論」(読み方:はんろん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「反駁」と「反論」という言葉は、どちらも反対の意見を述べることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
反駁と反論の違い
反駁と反論の意味の違い
反駁と反論の違いを分かりやすく言うと、反駁とは書き言葉で使われ、反論とは話し言葉でも書き言葉でも使われるという違いです。
反駁と反論の使い方の違い
一つ目の反駁を使った分かりやすい例としては、「おざなりの議論に対して強烈な反駁を加える」「両親の判断に反駁する」「これ以上反駁しようがない」「苦情に対する反駁状を出す」「例示しながら反駁する」などがあります。
二つ目の反論を使った分かりやすい例としては、「相手からの意見に反論する」「生徒が先生に反論してはいけませんか」「相手に反論の余地を与えない」「反論権は明確な法的根拠がない」「私の主張に反論の余地なしだろう」などがあります。
反駁と反論の使い分け方
反駁と反論という言葉は、どちらも相手の意見とは反対の意見を述べて言い返すことを意味する同義語です。二つの言葉は同じ意味を持ちますが、使い方には少し違いがあります。
反駁は日常会話ではあまり使われず、主として文章を書くときに使われる文章語です。聞き馴染みのない言葉ですが、ディベート用語として多用されています。一方、反論は日常会話でも文章語でも用いられ、汎用性のある言葉です。
また、ディベートにおいて反駁と反論は別物として扱われています。反駁は根拠や問題点などを持ち出して相手の意見に対して論じ返すことである一方、反論は単に相手の意見に対して論じ返すことという使い分けがされています。
これらが、反駁と反論という言葉の違いになります。
反駁と反論の英語表記の違い
反駁も反論も英語にすると「refutation」「rebuttal」「protest」となり、例えば上記の「強烈な反駁」を英語にすると「robust rebuttal」となります。
反駁の意味
反駁とは
反駁とは、他人の主張や批判に対して論じ返すことを意味しています。
反駁の使い方
反駁を使った分かりやすい例としては、「ディベートでは反駁する時に論点を絞るべきか」「否定側立論と否定側反駁の役割」「第一反駁の時点で議論の質に違いを感じた」「反駁の仕方を教え込まれた」などがあります。
その他にも、「事例とともに反駁する」「私の意見に反駁の余地はないだろう」「不当請求に対し反駁状を提出する」「反駁による証明を導き出す」「彼の主張には簡単に反駁できる」「証拠をもって論評に反駁する」などがあります。
反駁という言葉は、他人の意見や批判に反対して論じ返すことや、他から受けた非難に対して言い返すことを意味します。反駁の「反」とは逆の事をすることや対立することを表し、「駁」とは他人の説に反対することや非難することを表します。
反駁はディベート用語
反駁という言葉は、ディベート用語として用いられています。ディベートとは特定のテーマについて賛否二つのグループに分かれて行われる討論であり、「肯定側第一反駁」「否定側第一反駁」のようにディベートの基本用語となっています。
反駁の対義語
反駁の対義語・反対語としては、他人の意見や提案などに賛成や同意することを意味する「賛同」、他に調子を合わせることを意味する「同調」、賛成の気持ちや意志を意味する「賛意」などがあります。
反駁の類語
反駁の類語・類義語としては、人の説の誤りを突いて攻撃することを意味する「弁駁」、議論をして相手の説を破ることを意味する「論破」、ある意見などに逆らい同意しないことを意味する「反対」、互いにあれこれ論じ合うばかりで議論の決着がつかないことを意味する「甲論乙駁」などがあります。
反論の意味
反論とは
反論とは、相手の論や批判に反対の意見を述べることや、その議論を意味しています。
表現方法は「反論する」「反論できない」「反論のしようがない」
「反論する」「反論できない」「反論のしようがない」などが、反論を使った一般的な言い回しです。
反論の使い方
反論を使った分かりやすい例としては、「結論を支える前提に反論する必要がある」「ご指摘の件に全く反論の余地もございません」「反論が無いなら俺の勝ちだな」「上司にの意見に勇気を持って反論する」などがあります。
その他にも、「反論の余地がない鮮やかな切り返しだった」「反論を想定した小論文の書き方を学ぶ」「上手い反論の仕方を研究する」「反論状の書式をダウンロードする」「反論権について検討する」などがあります。
反論という言葉は、相手の意見や批評に対し、反対する意見や主張を差し出すことを意味します。また、そういった議論を指す言葉です。反論の「反」とは跳ね返すこと、対立することを表し、「論」とは筋道を立てて述べることや、筋を通した意見を表します。
「反論の余地がない」の意味
上記の例文にある「反論の余地がない」とは、言い争いや議論の場で完全に相手に打ちのめされ、一言も反論が出来ない様子を表します。
「反論権」の意味
反論という言葉を用いた日本語には「反論権」があります。新聞、雑誌、放送などのマスメディアによって批判や攻撃された者が,当該のマスメディアを通じて反論を行う権利を意味します。「反駁権」「応答権」とも言います。
反論の対義語
反論の対義語・反対語としては、人の意見や行動をよいと認めて同意することを意味する「賛成」、る意見・主張などに賛成してその後押しをすることを意味する「支持」、他人の意見などに対して賛成することを意味する「同意」などがあります。
反論の類語
反論の類語・類義語としては、対抗して自分の意見を述べることを意味する「抗論」、相手の発言や行為などを不当として反対の意見要求を主張することを意味する「抗議」、一つの意見に対して反対または不服であるという意見を意味する「異議」などがあります。
反駁の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の意見に反対して非難攻撃を加えること、他から受けた非難攻撃に対して反論することを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2のように反駁という言葉は、ディベートの関して多用されています。例文5にあるように、ソクラテスの論法は「反駁的対話」と呼ばれています。批判的思考を活性化させ考えを明らかにするものであり、問いを立てそれに答えるという対話に基づく論法です。
反論の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の議論に対して言い返すことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「反論状」とは、相手の意見や批判に反対の意見を述べる文書のことです。契約解除や特許侵害、不当請求など取引上で発生した問題に対して作成されるものです。
反駁と反論という言葉はどちら相手の意見に対して反対の意見を述べることを意味します。反駁は文章語やディベート用語で使われ、反論は口語でも文章語でも広く使われることを覚えておきましょう。