似た意味を持つ「内縁」(読み方:ないえん)と「事実婚」(読み方:じじつこん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「内縁」と「事実婚」という言葉は、どちらも事実上の婚姻関係を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
内縁と事実婚の違い
内縁と事実婚の意味の違い
内縁と事実婚の違いを分かりやすく言うと、事実婚は内縁よりも、入籍しないことを積極的に選ぶことを表すという違いです。
内縁と事実婚の使い方の違い
一つ目の内縁を使った分かりやすい例としては、「私には内縁の妻がいます」「内縁の妻に財産を相続したい」「内縁関係の証拠として役立つ書類です」「内縁関係を解消したい」「内縁の妻のメリットは何ですか」などがあります。
二つ目の事実婚を使った分かりやすい例としては、「事実婚を選ぶカップルが増えている」「事実婚がメリットになる人もいる」「事実婚は法律上の手続きは不要です」「人気モデルが離婚して事実婚に切り替えた」などがあります。
内縁と事実婚という言葉は、どちらも社会一般から認められるほどの夫婦関係でありながら、婚姻届を出していないために法律上は夫婦と認められないものを意味します。
内縁と事実婚の使い分け方
内縁と事実婚の意味は、法律上において違いはありませんが、使い方には少し違いがあります。
内縁という言葉の歴史は古く、戦前の日本では跡継ぎの子を妊娠または出産するまで婚姻届を出してもらえない場合などに用いられていました。また、法定家督相続人は他家へ入ることができないなど、家制度のために法律上の結婚ができない場合にも使われていました。
一方、事実婚という言葉は、1960年代以降にマスメディアを中心に広まった言葉です。内縁という言葉が事情があって結婚届を出せないという意味に受け取られやすいため、夫婦別姓を貫きたいなど、結婚届を出さないことを積極的に選んだことを前面に出すために作られた言葉です。
つまり、内縁と事実婚という言葉は法律上は同じ意味を持ちますが、事実婚は内縁よりも、入籍しないことを積極的に選ぶという意味合いが強い言葉なのです。
内縁も事実婚も英語にすると「common law marriage」となり、例えば上記の「内縁の妻」を英語にすると「a common law wife」となります。
内縁の意味
内縁とは
内縁とは、事実上は同居して婚姻関係にありながら、婚姻届を出していないために法律上の夫婦とは認められない男女の関係を意味しています。
表現方法は「内縁の妻」「内縁の夫」「内縁関係」
「内縁の妻」「内縁の夫」「内縁関係」などが、内縁を使った一般的な言い回しです。
内縁の使い方
内縁を使った分かりやすい例としては、「内縁の妻も相続権があるのだろうか」「私たちは内縁関係の夫婦です」「私には内縁の夫がいます」「内縁の妻を被扶養者にできますか」「弁護士の友人に内縁の妻の定義を尋ねた」などがあります。
その他にも、「内縁関係は認められるでしょうか」「内縁関係を証明して下さい」「内縁の妻には連れ子がいます」「内縁者民法上の配偶者に該当しません」「内縁は法律上で保護されます」などがあります。
内縁という言葉は、事実上の夫婦関係を意味します。婚姻の意思をもって同居し、実質的には夫婦としての生活をしていているが、婚姻届をしていないため法律上夫婦とは言えない状態を指す言葉です。
法律婚が主流の日本において、あえて内縁を選ぶ理由は様々ですが、どちらかが前の婚姻関係を解消できていない、国籍の関係で入籍が困難だったり、相続や財産の都合などの消極的理由から婚姻届出を出せない場合があります。
内縁の対義語
内縁の対義語・反対語としては、俗に男女が婚姻届を出して新しい戸籍を作ることを意味する「入籍」、法律において両性の合意と婚姻の届け出によって成立する同棲関係を意味する「婚姻」などがあります。
内縁の類語
内縁の類語・類義語としては、 家族が一つの家で一緒に生活することを意味する「同居」、正式の手続きによらず夫婦になることを意味する「野合」などがあります。
事実婚の意味
事実婚とは
事実婚とは、届け出を欠くため法律上有効ではないが、事実上の婚姻関係があり、社会の慣習上婚姻と認められるものを意味しています。
表現方法は「事実婚を選ぶ」「事実婚にしたい」「事実婚がいい」
「事実婚を選ぶ」「事実婚にしたい」「事実婚がいい」などが、事実婚を使った一般的な言い回しです。
事実婚の使い方
事実婚を使った分かりやすい例としては、「事実婚の子どもの戸籍はどうなりますか」「活躍中のママモデルが事実婚を選択した」「事実婚の夫婦に相続権はありますか」「事実婚にはメリットもデメリットもある」などがあります。
その他にも、「事実婚の夫婦に相続権はないだろう」「事実婚を選択する芸能人は意外といる」「事実婚の手続きはあるのだろうか」「事実婚なので夫と別の姓を名乗ってます」「事実婚にある子どもの将来が心配です」などがあります。
事実婚とは、公的な婚姻届を出さないで、事実上の夫婦生活を営む結婚形態を意味します。夫婦別姓を貫くためや、夫婦関係を公的なものに規制されたくないなど、当事者双方の意思で婚姻届を提出しないことを積極的に選択した時に用いられる言葉です。
事実婚は法律上では内縁関係
事実婚は法律上では「内縁関係」に当たります。内縁との違いは、当事者双方が現行の婚姻制度に対し何らかの疑問をもち、自発的に法律婚を選択しないという点にあります。
事実婚の対義語
事実婚の対義語・反対語としては、法律上の手続きなど一定の形式を必要とする婚姻形態を意味する「形式婚」、一定の法律上の手続きを経て成立する婚姻を意味する「法律婚」などがあります。
事実婚の類語
事実婚の類語・類義語としては、正式に結婚しないまま同じ家で一緒に暮らすことを意味する「同棲」、共に同じ所で生活することを意味する「共生」などがあります。
内縁の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事実上の夫婦関係でありながら婚姻成立要件を欠くために、法律上の夫婦と認められない男女の関係を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「同棲」とは、正式に結婚しないまま同じ家で一緒に暮らすことを意味します。同棲と内縁の違いは婚姻意思があるかどうかです。双方に結婚の意思がなければ、長年一緒に暮らしていても同棲と考えられます。
事実婚の例文
この言葉がよく使われる場面としては、法律上の婚姻成立要件を欠くカップルの関係を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「事実婚の関係」とは、法的に入籍していない状態ではあるが、実質的な夫婦関係にあることを意味します。例文2に関して、何年以上同居したら事実婚になる、といった定義はありません。
内縁と事実婚という言葉は、どちらも法律上は認められない事実上の婚姻関係を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、積極的な理由から入籍しないことを表現したい時は「事実婚」を使いましょう。