似た意味を持つ「転入」(読み方:てんにゅう)と「編入」(読み方:へんにゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「転入」と「編入」という言葉は、どちらも学校や組織に途中から入ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
転入と編入の違い
転入と編入の意味の違い
転入と編入の違いを分かりやすく言うと、転入とは別の所から入ることを表し、編入とは別の組織に組み入れることを表すという違いです。
転入と編入の使い方の違い
一つ目の転入を使った分かりやすい例としては、「マイナンバーカードを持って転入届を出しに行く」「転入届はいつから出来ますか」「転入届の必要書類を揃える」「転入の挨拶が遅れて申し訳ありません」「都会から派手な転入生がやってきた」などがあります。
二つ目の編入を使った分かりやすい例としては、「来年度の学部編入試験を受験するつもりだ」「編入学制度がある大学です」「短大から四年制大学に編入する」「小さな村が隣の市に編入される」などがあります。
「高校に転入する」と「高校に編入する」の違い
転入と編入という言葉は、「高校に転入する」「高校に編入する」などと使われ、どちらも学校や組織に途中から入ることを表します。二つの言葉は似たような表現をしますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
転入とは、別の所から転じて入ることを意味します。「高校に転入する」とは、現在ある高校に在籍している生徒が、別の高校に入学することを表します。年度の途中でも可能であり、空白期間がなく別の高校に移ることになります。
編入とは、既存の組織に途中から組み入れることを意味します。「高校に編入する」とは、すでに高校を中退した生徒が、別の学校に入学することを表します。普通、編入できる時期は決まっているため、中退後すぐに入学することができず、どこの学校にも在籍しない空白期間ができてしまいます。
つまり、転入とは別の所から入ることに重きをおいた表現であり、編入とは既存の組織に途中から組み入れることに重きをおいた表現なのです。
転入と編入の英語表記の違い
転入を英語にすると「transference」「move in」となり、例えば上記の「転入届」を英語にすると「a moving‐in notification」となります。
一方、編入を英語にすると「incorporation」「admission」となり、例えば上記の「編入試験」を英語にすると「an examination for admission」となります。
転入の意味
転入とは
転入とは、他の土地からその土地へ移り住むことを意味しています。
その他にも、他の学校から移ってくることの意味も持っています。
表現方法は「転入する」「転入を開始する」「転入生」
「転入する」「転入を開始する」「転入生」などが、転入を使った一般的な言い回しです。
転入の使い方
「転入届に必要なものを揃える」「転入届はいつまでにすれば良いですか」「市外からの転入です」「転入届は引っ越し前に出せますか」などの文中で使われている転入は、「他の土地からその土地へ移り住むこと」の意味で使われています。
一方、「私のクラスに転入生がやってきた」「小学校の転入手続きを済ませる」「転校生の転入挨拶が面白かった」「学校転入の手続きを確認する」「市役所で転入学通知書を受け取る」などの文中で使われている転入は、「他の学校から移ってくること」の意味で使われています。
転入という言葉の「転」とは、場所を変えることや移ることを表します。転入とは、別の所から転じて入ることであり、他の土地からその土地へ手続きを経て移り住むことや、他の学校から転校して来ることを意味する言葉です。
「転入届」の意味
転入という言葉を用いた日本語には「転入届」があります。これまで居住していた住所から、市区町村が違う住所へ移った際に必要となる届け出のことです。転入した日から14日以内に、その市区町村長に届け出る必要があります。。
転入の対義語
転入の対義語・反対語としては、今までの居住地を出て他の土地に移ることを意味する「転出」などがあります。
転入の類語
転入の類語・類義語としては、住居をかえることや引っ越しを意味する「転居」、他の土地に移り住むことを意味する「移住」、ある学校から他の学校に移ることを意味する「転校」などがあります。
編入の意味
編入とは
編入とは、既にできている組織や団体の中に途中から組み入れることを意味しています。
表現方法は「編入する」「編入に強い短大」「編入を目指す」
「編入する」「編入に強い短大」「編入を目指す」などが、編入を使った一般的な言い回しです。
編入の使い方
編入を使った分かりやすい例としては、「私道を市道に編入する場合があります」「短大から大学編入を狙っています」「専門学校からの編入学で大学卒業資格を取得する」「編入学試験を受ける予定です」「私立小学校への編入という選択もある」などがあります。
その他にも、「編入試験はそう簡単ではないよ」「高校での編入とは珍しい」「編入とは大学によって資格が必要になる」「三年次から編入できる大学もあります」「編入しやすい国立大学を探しています」などがあります。
編入という言葉の「編」とは、組み合わせてまとまった形に仕立てることを表します。編入とは組み入れることであり、ある団体や組織などに途中から組み込むことを意味する言葉です。
「大学編入」の意味
上記の例文にある「大学編入」とは、他大学から二、三年次に編入試験を受けて転学してくることを意味します。また、短大卒業後に四年生大学に編入するケースもあります。編入するためには、外国語や専門科目、面接などの編入試験があり、専門の予備校も存在します。
編入の類語
編入の類語・類義語としては、二つ以上のもの特に組織などが一つに合わさることを意味する「合併」、独立している二つ以上のものが一つになることを意味する「合同」、ある学校の生徒・学生が他の学校へ移ることを意味する「転学」などがあります。
転入の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他の土地からその土地へ移り住むこと、他の学校から転校して来ることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある転入は、他の土地からその土地へ移り住むことの意味で使われています。例文5にある転入は、他の学校から転校して来ることの意味で使われています。「転入学通知書」とは、各自治体の教育委員会が、指定校への転入学を許可することを通知する書面です。
編入の例文
この言葉がよく使われる場面としては、組・団体などに途中から組み込むこと、組み込まれてはいることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4のように、編入という言葉は、高校や大学などの学校組織に途中から入ることを表すことが多い言葉です。例文5の「編入合併」とは廃された市町村の区域が他の市町村に編入されることであり、「新設合併」とは廃された市町村の区域をもって新たな市町村が置かれることです。
転入と編入という言葉は、どちらも学校や組織に途中から入ることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、他の学校から移ってくることを表現したい時は「転入」を、学校を退学して新たに別の学校に入学することを表現したい時は「編入」を使うようにしましょう。