似た意味を持つ「婚姻」(読み方:こんいん)と「入籍」(読み方:にゅうせき)と「結婚」(読み方:けっこん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「婚姻」と「入籍」と「結婚」という言葉は、夫婦になることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
婚姻と入籍と結婚の違い
婚姻と入籍と結婚の意味の違い
婚姻と入籍と結婚の違いを分かりやすく言うと、婚姻は社会的な承認を伴って夫婦になることを表現する時に使い、入籍は戸籍に入ることを表現する時に使い、結婚は夫婦になることを表現する時に使うという違いです。
婚姻と入籍と結婚の使い方の違い
婚姻という言葉は、「婚姻届に両親のサインを貰う時むずがゆい気持ちになった」「婚姻費用は分担しなければならないという法律がある」などの使い方で、社会的、法律的な承認を得て夫婦になることを意味します。
入籍という言葉は、「入籍日には皆で豪華な夕食を食べようと約束をした」「友人から入籍祝いを貰ったためお礼の電話をした」などの使い方で、戸籍に入ることを意味します。
結婚という言葉は、「兄からの結婚祝いは結婚生活で非常に役に立つものであった」「毎年の結婚記念日はお互いに花を贈り合っている」などの使い方で、夫婦になることを意味します。
婚姻と入籍と結婚の使い分け方
婚姻と結婚はどちらも夫婦となることを意味する言葉ですが、前者は法律などの公的な承認を重視し、後者は法律的な意味ももちろん含みますが、公的な文書などではほとんど使われません。
一方、入籍には、男女が夫婦となることだけではなく、離婚後や養子を取る際の戸籍移動などに対しても使われる言葉です。
これらが、婚姻、入籍、結婚の明確な違いです。
婚姻の意味
婚姻とは
婚姻とは、社会的な承認を得て夫婦となることを意味しています。
表現方法は「婚姻を結ぶ」「婚姻を証明する書類」「婚姻届を出す」
「婚姻を結ぶ」「婚姻届を出す」「婚姻を証明する書類」などが、婚姻を使った一般的な言い回しです。
婚姻を使った言葉として、「異類婚姻譚」「婚姻適齢」があります。
「異類婚姻譚」の意味
一つ目の「異類婚姻譚」とは、人間と人間ではない鳥や獣などによる婚姻を主題とする伝説や民話を指す言葉です。
例えば、『南総里見八犬伝』は犬との結婚話が、『鶴の恩返し』として知られる『鶴女房』は鶴との結婚話が取り上げられ、ヨーロッパの『美女と野獣』も異類婚姻譚に含まれます。
「婚姻適齢」の意味
二つ目の「婚姻適齢」とは、法律上、婚姻をすることができる年齢を指す言葉です。男子は満18歳以上で、女性は満16歳以上とされていますが、男女の間の肉体的、精神的側面の差に対応するために、男女で年齢がずれています。
しかし、自身の判断で人生を選択する環境を整備し、若者の社会参加を促して社会をより活力のあるものにするため、民本の一部を改正して男女ともに成年年齢を18歳とし、2022年4月には婚姻適齢も満18歳に統一されることとなります。
婚姻の類語
婚姻の類語・類義語としては、、事実上は婚姻関係にあるものの届けを出していない男女の関係を指す「内縁」、結婚の約束を交わすことを意味する「婚約」、結婚式や婚礼を意味する「祝言」(読み方:しゅうげん)があります。
入籍の意味
入籍とは
入籍とは、すでにある戸籍に入ることを意味しています。
表現方法は「入籍報告」「入籍日」「入籍おめでとう」
入籍を使った表現として、「入籍祝いを頂いた」「入籍届を提出する」「入籍日は外食に行く」「入籍を控える」「入籍おめでとう」「有名人の入籍報告を聞く」などがあります。
入籍の使い方
今日では、本来の意味が転じて、男女が婚姻届けを出して新しい戸籍を作り、その籍に入って夫婦となることを表すために使われることが多い言葉です。
しかし、本来は婚姻だけではなく、離婚をした両親のどちらかの籍に入る時にも、養子縁組の手続きを行う時にも入籍という言葉を使って表します。
メディアなどで報じられる入籍という言葉の多くは結婚に関して使われていますが、話の前後によっては喜びごとではない可能性もあるため注意が必要です。
入籍の対義語
入籍の対義語・反対語としては、戸籍や名簿などから名前を除くことを意味する「除籍」があります。
入籍の類語
入籍の類語・類義語としては、夫婦の関係を結ぶことを意味する「縁組」、婚姻に関する儀礼の総称を意味する「婚礼」があります。
結婚の意味
結婚とは
結婚とは、夫婦になることを意味しています。
表現方法は「結婚する」「結婚できない」「結婚を後悔」
「結婚する」「結婚できない」「結婚を後悔」などが、結婚を使った一般的な言い回しです。
結婚を使った言葉として、「契約結婚」「血族結婚」があります。
「契約結婚」の意味
一つ目の「契約結婚」とは、夫婦関係における生活上の条件や結婚生活を続ける期間などの取り決めを行なってからする結婚を指す言葉です。
家事どちらが行うか、子どもが生まれた時の休暇の取り方などから、離婚時の慰謝料であったり、恋愛感情を持たずに結婚をするといった生活上の問題ではない事柄まで決めることができ、これらの条件を契約書にまとめ、弁護士に相談して完成です。
「血族結婚」の意味
二つ目の「血族結婚」とは、いとこを含んだ近い親族関係にある者同士が結婚することを言い、近親婚とも呼ばれます。古代エジプトやヨーロッパの王族、日本の皇族などは血族結婚を行なっていたものの、後に禁止されていました。
しかし、ヨーロッパの貴族たちは、同じ貴族の人たちとの結婚を繰り返したため、血族結婚は避けられなくなり、教会も見て見ぬふりをするようになり、日本でも江戸時代には血族結婚の方が都合がよいとされていました。
結婚の対義語
結婚の対義語・反対語としては、夫婦が生存中に法律上の婚姻関係を解消することを意味する「離婚」があります。
結婚の類語
結婚の類語・類義語としては、男女が結ばれ結婚することを意味する「和合」(読み方:わごう)、結婚が成立することを意味する「成婚」、結婚の席に灯す火を意味する「華燭」(読み方:かしょく)があります。
婚姻の例文
この言葉がよく使われる場面としては、社会的な承認を伴って夫婦となることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「婚姻届」は公的機関に対して社会的承認を求める届けであるため、「結婚届」という表現に置き換えて使うことはできません。
入籍の例文
この言葉がよく使われる場面としては、男女が新しい戸籍を作って夫婦となることを意味する時などが挙げられます。
ただし、籍を入れることが本来の意味であるため、例文2のように結婚をする男女に対して以外にも使われる言葉です。
結婚の例文
この言葉がよく使われる場面としては、夫婦となることを意味する時などが挙げられます。
結婚という言葉には、公的機関による承認を含まない場合も含まれるため、例文1や例文3のような「結婚式」「結婚指輪」といった表現を「婚姻式」「婚姻指輪」に置き換えて使うことはできません。
婚姻と入籍と結婚どれを使うか迷った場合は、社会的な承認を伴って夫婦になることを表す場合は「婚姻」を、戸籍に入ることを表す場合は「入籍」を、夫婦になることを表す場合は「結婚」を使うと覚えておけば間違いありません。