【過多】と【過剰】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「過多」(読み方:かた)と「過剰」(読み方:かじょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「過多」と「過剰」という言葉は、どちらも多すぎることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




過多と過剰の違い

過多と過剰の意味の違い

過多と過剰の違いを分かりやすく言うと、過多は単に多すぎること意味し、過剰は多すぎてあり余ることを意味するという違いです。

過多と過剰の使い方の違い

一つ目の過多を使った分かりやすい例としては、「栄養過多で太ってしまった」「体重過多でダイエット中だ」「糖分過多な食生活」「情報過多で混乱する」「春は何かとストレス過多になる」「供給過多で売れ残ってしまう」などがあります。

二つ目の過剰を使った分かりやすい例としては、「過剰医療が問題となる」「過剰適応症候群」「給与を過剰に計上してしまった」「批判されても過剰反応しないようにする」「正当防衛と過剰防衛の境界線」などがあります。

過多と過剰という言葉は、日常生活でもビジネスシーンでもよく使われる言葉です。どちらも多すぎることを意味するのですが、本来の意味やニュアンスが異なるので注意が必要です。

過多は、単純に数量が多すぎることを意味します。過剰は、必要な程度を意識したうえで数量が多すぎること、あり余ることを意味します。これが、過多と過剰の違いです。

「体重過多」と「体重過剰」の違い

例えば上記の「体重過多」を例にとると、「体重過多」とは単に体重が重すぎることを表します。これが「体重過剰」となると、例えばベストな体重を60キロと基準していたのに61キロ以上になってしまった、ある基準より体重が増えてしまったことを表します。

過多と過剰の英語表記の違い

過多を英語にすると「too much」となり、例えば上記の情報過多を英語にすると「too much information」となります。一方、過剰を英語にすると「excess」となり、例えば上記の「過剰医療」を英語にすると「excessive medical care」となります。

過多の意味

過多とは

過多とは、多すぎることを意味しています。

過多の使い方

過多を使った分かりやすい例としては、「胃酸過多症で通院している」「ストレス過多でうつ状態になる」「塩分過多で血圧が高めだ」「不良在庫過多のために黒字倒産しそうだ」「業務過多に苦しむ」などがあります。

その他にも、「情報過多でストレスを感じる」「活動過多で疲れてしまった」「過多な脂肪分は体に良くない」「母体の羊水過多症の治療にあたる」「人員不足による社員ひとりへの負担過多だ」などがあります。

表現方法は「ストレス過多」「塩分過多」「業務過多」

過多とは、数量が多すぎることを意味します。過多という言葉は、名詞と結びついてそれが多すぎることを表します。「ストレス過多」とはストレスが多すぎる状態のこと、「塩分過多」は塩分の摂取量が多すぎること、「業務過多」とは業務量が多すぎることを表します。

「胃酸過多症」「羊水過多症」の意味

過多という言葉は、病気の名前にも使われています。「胃酸過多症」とは、胃酸が大量に生成されることによって生じる障害のことです。また、「羊水過多症」とは、妊婦の羊水量が多くなり早産の原因や異常の徴候を表す症状のことです。

過多の対義語

過多の対義語・反対語としては、少なすぎるさまを意味する「過少」、ほんのわずかであることを意味する「僅少」(読み方:きんしょう)などがあります。

過多の類語

過多の類語・類義語としては、数量や時間が一定の限度をこえることを意味する「超過」、程度がすぎることを意味する「過度」、大きすぎるさまを意味する「過大」などがあります。

過多の多の字を使った別の言葉としては、数量の多いことを意味する「幾多」、いろいろと種類の違ったものがあることを意味する「多様」、いろいろなものが入りまじっていることを意味する「雑多」などがあります。

過剰の意味

過剰とは

過剰とは、必要な程度や数量を越えて多いことを意味しています。

表現方法は「過剰に反応」「過剰になる」「過剰すぎる」

「過剰に反応」「過剰になる」「過剰すぎる」などが、過剰を使った一般的な表現方法です。

過剰の使い方

過剰を使った分かりやすい例としては、「過剰歯が見つかった」「何気ない一言に過剰反応されてしまった」は「過剰に入金してしまった」「過剰一般化が日本後教育で問題となっている」 「料金過剰受け取りのお詫び」「過剰運動症候群と診断された」などがあります。

その他にも、「彼の様子は過剰反応のようにみえる」「保険会社に過剰請求してしまい揉め事になった」「過剰クレームに対する取り組み」「過剰な敬語に注意しよう」「過剰歯が1本見つかった」「ストレス過剰のサイン」などがあります。

過剰とは、必要な程度や数量を越えて多いことを意味します。必要な程度を意識したうえで数量が多すぎることを表しています。これが、単に数量が多すぎることを意味する過多との違いです。

「過剰歯」の意味

過剰という言葉を用いた日本語には「過剰歯」があり、永久歯は32本、乳歯は20本という通常の歯の本数よりも多く形成された歯のことを意味します。通常の歯の本数と比較して数が多すぎることを表すため「過剰」という言葉が使われています。

「過剰債務」「過剰請求」の意味

過剰という言葉は会計用語でも多く使われています。「過剰債務」とは、金融機関からの借入金などによる負債がその企業の返済能力に比べて大き過ぎる状態のことを意味します。「過剰請求」とは、本来の請求額より誤って多い金額を請求することを意味します。

過剰の対義語

過剰の対義語・反対語としては、十分でないことを意味する「不足」、不足することを意味する「欠乏」などがあります。

過剰の類語

過剰の類語・類義語としては、適当な程度を超えていることを意味する「過当」、程度や分量がはなはだしいさまを意味する「大層」、考えられる程度をはるかに越えていることを意味する「法外」などがあります。

過剰の剰の字を使った別の言葉としては、あまりや余分を意味する「剰余」、必要分を除いた残りを意味する「余剰」、余った人員を意味する「剰員」などがあります。

過多の例文

1.昨今は情報過多で、余計な情報に振り回されて疲弊する人も少なくない。
2.残業や職場でのストレス過多を軽減するリフレッシュ法として軽い運動がおすすめだ。
3.胃酸過多の体質のため空腹になると吐き気をもよおすので、いつでも飴を持ち歩いている。
4.私はお菓子や甘い物が大好きで糖分摂取過多なので、糖尿病にならないか心配だ。
5.二酸化炭素の排出過多は世界的に取り組まないと解決しない問題だ。
6.ネットが普及しどんなことでも手軽に調べられるようになった反面、情報過多になりやすく、自分に必要な正しい情報を得ることが難しくもなった。
7.思い返せば彼の食事と言えば、朝からステーキ、昼は背脂ギトギトのラーメン、夜は中華のフルコースといった感じで栄養過多状態であった。
8.最近は体重過多のために階段を登るだけですぐに息切れしてしまうものだから、そろそろダイエットしなくてはならないとは思っているが、ただ思っているだけであった。
9.SNSを閲覧するのは楽しいのだが、いつしか頭の中が情報過多になってドッと疲れてしまうことがあるので、今ではデジタルデトックスをするよう心がけている。
10.彼は皆と同じようにマスクでひと儲けしようとたくさん仕入れたのはいいが、すでに供給過多になって彼も多くの在庫を抱えていたが、商売をやったことないものが下手に手を出すべきではないなと思った次第だ。
11.わたしたちは海外旅行先でたくさんお土産を買いすぎたせいで、空港の荷物検査で重量過多になってしまい、不足分の料金を支払うことになった。

この言葉がよく使われる場面としては、多すぎることを表現したい時などが挙げられます。

例文1で使われている「情報過多」とは、大量の情報が蔓延する状態を意味しています。例文2で使われている「ストレス過多」とは、大きな負荷がかかっていることを意味しています。

過剰の例文

1.食物アレルギーとは食べ物に対する免疫の過剰な反応である。
2.彼は自意識過剰で、女性に好かれていると勘違いしているイタイ男だ。
3.丁寧に言おうとするあまり過剰敬語や二重敬語になってしまうので気を付けている。
4.日本の飲食店における接客は、海外と比べると過剰サービスであると言われている。
5.周囲の期待に応えようと過剰に頑張ってしまい疲れてしまった。
6.彼は見様見真似で敬語を使ってみるも、過剰な敬語は相手に滑稽な感情を抱かせたり、不愉快な印象を与えたりするものだから、いつしか皆からは奇異な目で見られるようになった。
7.一部の医者が診療報酬をもらうため過剰医療を施す場合があり、例えば大量に薬を処方したり、必要のない検査をさせたりなど、社会保障の問題と相まって大きな問題となっている。
8.イケメンと付き合えたのはいいが彼は過剰なまでの潔癖症で、少しでも汚れているとヒステリックを起こしたように怒り出すものだから参ってしまっている。
9.因縁をつけられた相手に対して行った反撃で大怪我を負わせてしまった事件があったが、それが正当防衛だったのか過剰防衛だったのかが、現在裁判で争われている。
10.彼は自信過剰で自分は何でも出来ると思っているが、実際に何もできないことがわかるとすぐに責任転嫁をしだすものだから皆から総スカンを食らっていた。
11.彼はもともと指揮者としては一流だったが、過剰な自尊心のせいで楽団員からは嫌われており、なかなか日の目を見ないでいたが、あるピアニストとの出会いがきっかけでその状況が大きく変わることになった。

この言葉がよく使われる場面としては、必要な程度や数量を越えて多いことを表現したい時などが挙げられます。

例文2で使われている「自意識過剰」とは、他人が自分をどう見ているかを気にしすぎる状態を意味します。例文3で使われている「過剰敬語」とは、相手を尊重するあまり過剰に敬語を使ってしまうことを意味します。

過多や過剰という言葉は人生の中ので数えきれないほど、聞いたり使ったりする言葉なはずです。
どちらも多すぎることを意味するのですが、過剰は必要な程度を意識したうえで数量が多すぎることを意味すると覚えておけば良いでしょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター