似た意味を持つ「試算」(読み方:しさん)と「概算」(読み方:がいさん)と「見積」(読み方:みつもり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「試算」と「概算」と「見積」という言葉は、大体の見当をつけることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
試算と概算と見積の違い
試算と概算と見積の意味の違い
試算と概算と見積の違いを分かりやすく言うと、試算は試しに計算をする時に使い、概算は似たような事例が参考にされる時に使い、見積は図面や条件などの資料が参考にされる時に使うという違いです。
試算と概算と見積の使い方の違い
試算という言葉は、「受け取ることのできる見込み額の試算を行ってもらう」「その機体の維持費に莫大な額が必要だと試算されていた」などの使い方で、大体の見当をつけるために計算してみることを意味します。
概算という言葉は、「新商品発売決定が発表されたが概算価格の表示であった」「人件費の概算を行う」などの使い方で、大体の数量または金額を計算することを意味します。
見積という言葉は、「大量の見積書が届いたため読み込む時間が必要だ」「依頼された条件をもとに見積を立てる」などの使い方で、目分量などでおおよその見当をつけることを意味します。
試算と概算と見積の使い分け方
概算と見積はどちらも何かを参考にして大体の見当をつけることを意味しますが、前者が過去の事例や経験が参考にされるのに対して、後者は図面であったり発注者の条件が参考にされて、大体の金額や数量が算出されます。
一方、試算は試しに行う計算を意味するため、概算や見積よりも具体的で正確な数値が算出されます。
これが、試算、概算、見積の明確な違いです。
試算の意味
試算とは
試算とは、大体の見当をつけるために計算してみることを意味しています。
その他にも、計算に誤りがないかを確かめることも意味します。
表現方法は「試算する」「試算される」「試算を行う」
「試算する」「試算される」「試算を行う」などが、試算を使った一般的な言い回しです。
「試算表」の意味
試算を使った言葉として、「試算表」があります。これは、取引内容などを記録した総勘定元帳から数字を写して作るもので、転記や計算ミスなどが無いかを確かめるために使われるものです。
試算表には、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表と三つの種類が存在し、会社によって作成されるタイミングは異なります。
数値が記載されている総勘定元帳の数値の誤りなどを発見することができるのがメリットではありますが、売上高や利益などの金銭の流れを把握することで経営状況の確認にもつながります。
試算の類語
試算の類語・類義語としては、調べあらためることを意味する「検閲」、二つ以上のものを互いに比べ合わせることを意味する「比較」、照らし合わせて調べることを意味する「照査」、他の事柄や物と比べることを意味する「引照」などがあります。
概算の意味
概算とは
概算とは、大体の数量または金額を計算することを意味しています。
表現方法は「概算を出す」「概算になります」「概算の見積もり」
「概算を出す」「概算になります」「概算の見積もり」などが、概算を使った一般的な言い回しです。
概算を使った言葉として、「概算払い」「概算価格」があります。
「概算払い」の意味
一つ目の「概算払い」とは、支払額が未定の時、後で精算する条件でおよその見積額を支払うことを意味する言葉です。
補助金などの支払い方法の一つですが、報告書を精査して金額が確定されてから支払われる「精算払い」が原則です。ただし、補助金がなければ代金を支払うことができないばあいは「概算払い」で交付をする自治体もあります。
「概算価格」の意味
二つ目の「概算価格」とは、大体の状況を把握した際に提示するおおよその価格を指す言葉です。特に、家の修繕やリフォームに関する用語として使われることが多い言葉です。
家の環境や築年数などによって修繕すべき箇所や度合いは異なるため、それに必要なコストも変化します。そのため、見ただけでは判明しなかった問題も後から出てくる可能性があり、およその価格を提示することしかできません。
概算の対義語
概算の対義語・反対語としては、金額などを細かく計算することを意味する「精算」があります。
概算の類語
概算の類語・類義語としては、数量を推定によって計算することを意味する「推算」、他から受ける作用などをあらかじめ見積っておくことを意味する「勘定」、物事の成り行きや将来のことを予測することを意味する「見通し」などがあります。
見積の意味
見積とは
見積とは、目分量などでおおよその見当をつけることを意味しています。
工事の計画や製品の製造に関してなどにおいて、費用や日数などを前もって算出することも意味します。
見積は「見積もり」や「見積り」とも表記する
見積は「みつもり」という読み方をしますが、送り仮名を伴って「見積もり」や「見積り」という表記がなされることもあります。動詞として使う場合は「見積もる」「見積る」と表記しますが、「見積」だけで「みつもる」と読むことはありません。
表現方法は「見積もりを出す」「見積書を出す」「見積もりが甘い」
「見積もりを出す」「見積書を出す」「見積もりが甘い」などが、見積を使った一般的な言い回しです。
「相見積」の意味
見積を使った言葉として、「相見積」(読み方:あいみつもり)があります。これは、複数の業者から見積書を提出してもらうことを指す言葉です。複数の業者に見積を出してもらうことで、最終的なコストなどを抑えることができるなどのメリットがあります。
「あてみつ」「すてみつ」の意味
また、複数の見積を出してもらったにも関わらず、比較をしても依頼する先を選ぶ気がない場合は当て馬の見積を略した「あてみつ」、もしくは捨てるだけで採用されない見積を略した「すてみつ」と呼ばれることがあります。
見積の類語
見積の類語・類義語としては、物事を判断することを意味する「鑑定」、作品などの価値や優劣を論じ定めることを意味する「品評」、金額などを調査した上で決定することを意味する「査定」、値段を見積ってつけることを意味する「値踏み」などがあります。
試算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大体の見当をつけるために計算してみることを意味する時などが挙げられます。
試算という言葉は、概算は見積とは精密さが異なるため、置き換えて使うことはできるものの、ニュアンスが変わってしまいます。
概算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大体の数量または金額を計算することを意味する時などが挙げられます。
例文2の「概算払い」とは、後で精算する条件でおよその見積額を支払うことを指す言葉です。
例文3の「概算数流発注方式」とは、工事に使用する物などの数量の概数を算出し、詳細が判明した時点で確認を行い、変更などを行う方法を指す言葉です。
見積の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目分量などでおおよその見当をつけることを意味する時などが挙げられます。
例文1のように数社に見積書を提出してもらうことを「相見積」と言います。
試算と概算と見積どれを使うか迷った場合は、試しに計算をすることを表す場合は「試算」を、似た事例が参考にされることを表す場合は「概算」を、図面や条件などの資料が参考にされることを表す場合は「見積」を使うと覚えておけば間違いありません。