似た意味を持つ「猛威」(読み方:もうい)と「脅威」(読み方:きょうい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「猛威」と「脅威」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
猛威と脅威の違い
猛威と脅威の意味の違い
猛威と脅威の違いを分かりやすく言うと、猛威はすさまじい威力や勢いを表し、脅威は威力により生じる危険や恐怖を表すという違いです。
猛威と脅威の使い方の違い
一つ目の猛威を使った分かりやすい例としては、「台風の猛威になすすべもない」「山火事が猛威をふるう」「猛威を振るう風水害や熱波」「世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるう」などがあります。
二つ目の脅威を使った分かりやすい例としては、「AIは人類にとって脅威となるのか」「自然の脅威に立ち向かって文明を切り拓いた」「Web脅威対策で有害サイトをブロックする」「セキュリティ脅威のスキャン結果」などがあります。
「自然の猛威」と「自然の脅威」の違い
猛威と脅威という言葉は、「自然の猛威」「自然の脅威」など似た表現をするために、混同して使われやすいのですが、意味は大きく異なるので注意が必要です。猛威はすさまじい威力や勢いを意味し、脅威は威力や勢いでおびやかすことや、おびやかされて感じる恐ろしさを意味します。
「台風の猛威」と「台風の脅威」の違い
上記の例の「台風の猛威になすすべもない」とは、台風の威力に対してどのようにしたらよいか手段や方法がないことを意味します。これが「台風の脅威になすすべもない」となると、台風が危険な状態を引き起こし恐怖を感じてどうしたらよいか分からないことを意味します。
猛威と脅威の使い分け方
つまり、猛威は激しい威力という勢いの程度を表し、脅威は威力により生じる危険や感じる恐怖を表します。例えば、「猛威を振るう感染症に脅威を感じる」とは、感染症が物凄い勢いで広い範囲で広がり、その危うい状況に恐怖を感じることを意味します。
猛威と脅威の英語表記の違い
猛威を英語にすると「fury」「violence」「ferocity」となり、例えば上記の「台風の猛威」を英語にすると「violence of a typhoon」となります。一方、脅威を英語にすると「menace」「threat」となり、例えば上記の「人類にとって脅威」を英語にすると「threat to the race」となります。
猛威の意味
猛威とは
猛威とは、すさまじい威力、猛烈な勢いを意味しています。
表現方法は「猛威にさらされる」「猛威を感じる」「猛威をふるった」
「猛威にさらされる」「猛威を感じる」「猛威をふるった」などが、猛威を使った一般的な言い回しです。
猛威の使い方
猛威を使った分かりやすい例としては、「冬になるとインフルエンザが猛威を振るう」「台風の猛威で甚大な被害を受けた」「奈良時代に天然痘が猛威をふるった」「感染症の猛威により学級閉鎖が相次ぐ」などがあります。
その他にも、「昨年はスギ花粉が猛威を振るった」「気候変動の猛威にさらされる」「津波の猛威により侵食された」「嵐の猛威が止まらない」「倒木をみて台風の猛威を感じる」などがあります。
猛威の語源
猛威という言葉は、すさまじい威力や猛烈な勢いを意味し、人々をおびやかすほどの勢いの程度を表す言葉です。猛威の「猛」は、はげしいことや程度がひどいを意味し、「威」は人を恐れさせ従わせる強い勢いを意味します。
「猛威を振るう」の意味
猛威を用いた言い回しには「猛威を振るう」があり、物凄い勢いで広い範囲に影響を及ぼすことを意味します。病気や災害など好ましくないことに使われ、ニュースや新聞などで見聞きする言葉です。なお、「ふるう」の漢字表記は「振るう」です。気力を盛んにする「奮う」ではありません。
猛威の類語
猛威の類語・類義語としては、きわめてはげしいことを意味する「激烈」、性質が荒く乱暴であることを意味する「獰猛」(読み方:どうもう)、物事のようすや人の行動が並外れて激しいことを意味する「荒々しい」などがあります。
猛威の猛の字を使った別の言葉としては、勢いの激しいさまを意味する「猛然」、きびしく反省することを意味する「猛省」、勢いが強くはげしいさまを意味する「猛烈」などがあります。
脅威の意味
脅威とは
脅威とは、強い力や勢いでおびやかすこと、おびやかされて感じる恐ろしさを意味しています。
表現方法は「脅威を感じる」「脅威となる」「脅威に立ち向かう」
「脅威を感じる」「脅威となる」「脅威に立ち向かう」などが、脅威を使った一般的な言い回しです。
脅威の使い方
脅威を使った分かりやすい例としては、「残念ながら脅威的な効果が得られた」「テロの脅威を感じる映画だった」「感染症の拡大は経済的脅威となる」「脅威アピール説得の効果が出始めた」「脅威均衡論の視点から分析する」などがあります。
その他にも、「このままではサイバー攻撃の脅威にさらされる」「お昼時に脅威情報ニュースレターが配信された」「脅威インテリジェンスサービスを適用する」「脅威のサービスが停止しましたという警告が表示された」などがあります。
脅威の語源
脅威という言葉の「脅」は、人に迫っておびやかす、危うくするという意味があります。脅威は威力によりおびやかすことや恐ろしさを表し、マイナスのイメージがある言葉です。
「脅威にさらされる」の意味
上記の例の「脅威にさらされる」とは、危険な目にいつ合うかどうか分からない状態にあることを意味します。
脅威はセキュリティ関連で使われる傾向あり
自然災害や紛争などに対して使われる脅威という言葉ですが、近年はコンピューターに対しても使われるようになりました。企業や組織のコンピューターへのサイバー攻撃が横行しており、サイバーセキュリティ関連の情報を「脅威情報」「脅威インテリジェンス」などと表現しています。
脅威の類語
脅威の類語・類義語としては、恐れることや怖いと思うことを意味する「恐怖」、怖がる気持ちや恐怖心を意味する「怖気」(読み方:おじけ)、こわがる気持ちや不安を意味する「恐れ」などがあります。
脅威の脅の字を使った別の言葉としては、相手にあることをさせようと脅しつけることを意味する「脅迫」、おどかすことを意味する「威脅」、おどしつけて恐れさせることを意味する「脅嚇」(読み方:きょうかく)などがあります。
猛威の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すさまじい威力、猛烈な勢いを表現したい時などが挙げられます。
猛威という言葉は、例文1や例文2のように自然災害のすさまじい威力や、また例文3から例文5のように感染症の猛烈な勢いを表す時に使われています。例文4にある「猛威がおさまる」とは、勢いがなくなり穏やかな状態になることを意味します。漢字では「収まる」と表します。
脅威の例文
この言葉がよく使われる場面としては、強い力や勢いでおびやかすこと、おびやかされて感じる恐ろしさを表現したい時などが挙げられます。
脅威という言葉は、例文1のように自然災害によってもたらされる危険や、例文3のように紛争や社会問題に対する恐れを表すことが多い言葉です。例文3や例文4にあるように、「脅威」と同音異義語に「驚異」があります。驚異は驚きや驚くほどすばらしい事象を意味し、意味は大きく異なります。
例文5にある「脅威的」とは、危険や不安を感じたり、おびやかされる性質のものであることを表します。同音の「驚異的」という言葉の方が一般的に使われていますが、驚くほどすばらしいさまを表し、全く異なる意味を持ちます。
猛威と脅威という言葉は、自然災害や感染症などに対して使われ、似た表現をする言葉なのですが、それぞれ意味が異なります。すさまじい威力や勢いを表現したい時は「猛威」、威力により生じる危険や恐怖を表現したい時は「脅威」を使うようにしましょう。