【成長】と【発育】と【発達】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「成長」(読み方:せいちょう)と「発育」(読み方:はついく)と「発達」(読み方:はったつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「成長」と「発育」と「発達」という言葉は、どれも育って大きくなることを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




成長と発育と発達の違い

成長と発育と発達の意味の違い

成長と発育と発達との違いを分かりやすく言うと、成長とは、物事の程度が大きくなることを意味していて、発育とは、動植物が大きくなることを意味していて、発達とは、機能が高度になることを意味しているという違いです。

成長と発育と発達の使い分け方

一つ目の成長というのは、動植物が育ち大きくなることや、物事の規模が大きくなることを意味する言葉です。例えば「植えた種が芽を出しぐんぐんと成長する」や「経済成長を加速させる」などのように使われる言葉です。

二つ目の発育というのは、動植の体が育つことを、植物が育つことを意味する言葉です。例えば「発育が良い」や「発育が人より遅れている」などのように使われます。成長とは異なり、動植物だけにしか使われません。

発育と言う言葉は、幼いもの、若いものが育つことを意味する言葉で、ある程度成長したものが一層育つことには使われません。

植物に使う場合には「生長と発育」のようにセットにして考えられる言葉です。「生長」(読み方:せいちょう)は草木が育つという意味です。かつては同じ読み方の「成長」と「生長」は区別なく使われましたが、現代では「生長」は植物の意味だけを持ちます。

三つ目の発達というのは、体や精神、社会などの機能が向上することを意味する言葉です。例えば「筋肉の発達」「道徳心の発達」「交通機関の発達」のように使われます。

発達と言う言葉は、完全に近づくという意味合いを持ちます。単に規模が大きくなることではなく、洗練され、まとまりのあるものとして整っていくというニュアンスです。

成長の意味

成長とは

成長とは、動植物が育ち大きくなること、物事の規模が大きくなることを意味しています。

表現方法は「成長する」「成長を感じる」「自己成長を促す」

「成長する」「成長を感じる」「自己成長を促す」などが、成長を使った一般的な言い回しです。

成長の使い方

例えば「人間的に成長する」とは、精神的・人格的に強くなることで、「市場成長」とは経済の規模が大きくなることです

成長の長は、「長さ」という空間的な意味で親しまれているものですが、他にも「大きい、盛んである」という意味があります。「大きく成る」ことを表現するのが成長という言葉です。

この言葉の特徴は、その適用範囲の広さです。動物や植物のサイズが育って大きくなることも、人間の精神面が強くなることも、また社会的な物事の規模が大きくなることに対しても使うことが出来ます。

成長の対義語

成長の対義語・反対語としては、年を取り心身の機能が弱まることを意味する「老いる」、勢いが盛んでなくなることを意味する「衰える」、順調に進まず一箇所にとどまることを意味する「停滞」などがあります。

成長の類語

成長の類語・類義語としては、十分に成長して熟しきることを意味する「成熟」、物事の勢いが激しくなることを意味する「増進」などがあります。

成長の成の字を使った別の言葉としては、大人であることを意味する「成人」、育てることを意味する「育成」、育つことを意味する「成育」などがあります。

成長の長の字を使った言葉としては、機能や特徴のうち優れているものを意味する「長所」、成長を手助けすることを意味する「助長」などがあります。

発育の意味

発育とは

発育とは、動植物が大きくなることを意味しています。

表現方法は「発育がいい」「発育を良くする」「発育が早い」

「発育がいい」「発育を良くする」「発育が早い」などが、発育を使った一般的な言い回しです。

発育の使い方

成長とは異なり、発育は動物や植物の物理的なサイズが大きくなることにしか使えません。成長には「精神的な成長」や「事業の成長」などの使い方がありましたが、発育にはありません。

発育は、小さい・幼い・若いものが育ちサイズを大きくすることに対して用いられる言葉で、ある程度成長したものが一層成長することには使えません。

人間でいえば成長期あたりまでは使うことが出来る言葉ですが、それ以上の年齢、例えばプロスポーツ選手がトレーニングで筋肉を増やし身体を大きくすることを「発育」と呼ぶことはありません。

発育の対義語

発育の対義語・反対語としては、植物が枯れることを意味する「枯死」などがあります。

発育の類語

発育の類語・類義語としては、劣悪な環境が原因で植物の茎や枝などが異様に伸びることを意味する「徒長」、成長を早めるために手を加えることを意味する「促成」などがあります。

発達の意味

発達とは

発達とは、物事の機能が高まり、洗練されることを意味しています。

表現方法は「発達する」「発達を促す」「発達を図る」

「発達する」「発達を促す」「発達を図る」などが、発達を使った一般的な言い回しです。

発達の使い方

体や精神、社会などの機能が向上することに使われる言葉です。「瞬発性の発達」「人間精神の発達」「行政機構の発達」のように使われます。

発達という言葉は、物事の機能が高まることを意味します。単に大きくなることを意味するのではなく、「洗練される」や「完全なものになる」という意味合いを持つ言葉です。

「人間精神の発達」というのは、人間性という観点から見てより完全なものになることを意味しています。「行政機構の発達」という表現も、足りないものが補われ、一層完全な形態に近づくという意味合いを持っています。

この「完全に近づく」という意味は、成長や発育にはないものです。生長や発育は、ともに「以前のものに比べて大きくなる」という意味合いの言葉ですが、発達は逆に「将来へと進む」ような意味合いを持っています。「到達」という言葉を思い出して下さい。

なお、主に社会的な能力の不全を意味する「発達障害」という言葉がありますが、この場合の「発達」は心身の機能に関して使われているということを、今までの説明と絡めて覚えておくようにしましょう。

発達の対義語

発達の対義語・反対語としては、勢いや活力が弱まることを意味する「衰退」「衰微」、栄えていたものが衰えることを意味する「没落」、萎むように衰えることを意味する「凋落」などがあります。

発達の類語

発達の類語・類義語としては、物事の勢いが盛んになることを意味する「発展」、知識が蓄積され、文明が発展することを意味する「開明」などがあります。

発達の達の字を使った言葉としては、目的を成し遂げることを意味する「達成」、技術などをよく身につけることを意味する「上達」、ある物事に通じている人、奥義に達している人を意味する「達人」などがあります。

成長の例文

1.失業率を改善するためには、経済成長が急務だ。
2.仕事を通じて人間として成長できた実感はありますか?
3.私の妻は子供の成長過程を毎日かかさず日記につけている。
4.子供はあっという間に成長するものだと、親になった今強く実感している。
5.今春我が部署に、成長株の新人が五人も配属されてきた。
6.現在成長期の息子は、ぐんぐん背が伸びており、今にも私を追い越しそうな勢いだ。

この言葉がよく使われる場面としては、物事が育ち大きくなることを表現したい時などが挙げられます。成長という言葉が使われる範囲は広く、動植物がサイズを大きくすること、人が精神的に強くなること、物事の規模が大きくなること等、様々に表現出来ます。

特に、成長と発達の違いに注意するようにしましょう。成長が「以前と比べて大きくなっている」というある意味で素朴な意味合いを持つのに対して、発達は「目指すものに向けて完成度が高まる」という意味合いを持ちます。

どちらの言葉を使うのか一概には言えず難しいですが、どちらの言葉を使うべきか迷った場合には、この区別を思い出してみて下さい。

発育の例文

1.妻は子供が周囲の子と比べて発育がやや遅れているのではないかと心配している。
2.中学二年生までは身長も低く体格も細かったが、三年生になり一気に発育した。
3.内乱で慢性的な食糧不足に苦しむ子供たちの発育状態を目の当たりにする。
4.夕方のニュースで、先日生まれたパンダの赤ちゃんの発育は順調で、健康状態も良好と知り、とても安心した。
5.二頭とも同じように飼育したはずの牛が、片方は正常発育、もう片方は発育不良となった原因を調査している。
6.母親とのスキンシップは赤ちゃんの発育に良い影響を与える、と聞いたことがある。

この言葉がよく使われる場面としては、動植物の大きさを表現したい時などが挙げられます。発育という言葉は、動植物の物理的なサイズを表現する言葉です。成長や発達に比べて、適用できる対象が少ない分、使われる頻度も低い言葉です。

さらに発育という言葉には「幼いもの、若いもの、小さいものが育ち大きくなることにだけ使える」という限定があります。大人になってから体を鍛えて大きくしても、それを「発育」と表現することは出来ません。

発達の例文

1.技術の発達が人類の進歩を支えてきたことは確かである。
2.この街は早くから交通網が整備され、この辺り一帯の玄関口として発達してきた。
3.紛争や政治的混乱などを見るにつけ、まだまだ人類は未発達だと思う。
4.言葉の発達には個人差があるとはいえ、娘は3歳になるまでほとんど話さなかったら心配したものだ。
5.遠い昔から動植物は、環境に対応しながら体を発達させ進化を続けてきたのだろう。
6.心身の発達を促すには、栄養バランスのとれた食事だけでなく、適度な運動も欠かせない。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の機能が向上し、より完成に近づくことを表現したい時などが挙げられます。「洗練されて完成に近づく」という意味合い、成長や発育にはなく、発達に独特のものです。

この意味合いは、発達の達という字から来ています。「目標に到達する」や「目的を達成する」、はたまた「達人」という言葉を考えてみて下さい。

発達という言葉を使う時には、単に育ち大きくなるという意味だけではなく、「目標に近づく」や「完成形に近づく」という意味合いがあることを意識するようにしてみて下さい。

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