【効く】と【利く】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「きく」という読み方、似た意味を持つ「効く」と「利く」の違いと使い方を分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、このページの使い分け方を参考にしてみて下さい。

「効く」と「利く」という言葉は、どちらも上手く働くことを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使用される傾向があります。

効くと利くの違い

効くと利くの違いを分かりやすく言うと、効くとは別の物に作用することで効果・結果を出すことを意味していて、利くとは物がうまく機能することを意味しているという違いです。

一つ目の「効く」というのは、別の物に作用して効果・結果を生むことを意味する言葉です。「風邪薬が効く」というのは、薬が人体という別の物に作用して、体調の回復という効果・結果を生むことを表現しています。

「効く」という言葉のポイントは「別の物に作用する」という点です。単に十分に役割を果たすだけではなく「別の物に働きかける」という意味合いを持つのが「効く」という言葉です。効くとは必ず「何々に効く」です。

「良く効く薬」というのは、「体調に良く効く薬」という意味です。「何々に」の部分は多くの場合省略されるため気付くことが難しくなっていますが、効くという言葉は何かに働きかける場合でなければ使うことが出来ません。

二つ目の「利く」というのは、ある機能がうまく働いていることを意味する言葉です。例えば「鼻が利く」というのは、嗅覚が鋭く、匂いに人よりも気付くことや、そうした能力のことを指し示しています。

「効く」とは違って、「利く」という言葉には「他の物に作用して結果をもたらす」という意味はありません。効くが他の物に働きかける他動詞的なニュアンスの言葉だとすれば、利くは自動詞的に用いられる言葉です。

「鼻が利く」と表現されるのは、鼻が何かに働きかけて結果を生み出せるようなものではないからです。鼻は匂いをかぐための受容器官です。例えば「いい匂いをかぐ」時、鼻は匂いをクサイものから心地よいものに変えているのではありません。

逆に、薬が「体内で機能を果たしている」としても、その働きを「利く」と表現することは出来ません。薬は人体という別のものに作用して結果を生み出しているからです。

効くの意味

効くとは、ある物が別のものに作用して結果を生み出すことを意味しています。例えば「よく効く薬」や「この薬は効き目が薄い」などのように、薬は「効く」を使ってその働きを評価されます。

「効く」という言葉のポイントは「別の物に作用して結果を生む」という点です。薬の場合であれば、人体という別の物に作用して、体調回復という結果を生んでいます。

また「広告が効く」とは広告が人々に作用して売上が伸びたり話題になることで、「ボクサーのパンチが効く」とは、あるボクサーの放ったパンチが対戦相手のボクサーの体に作用して、ダメージを与えることです。

効くという言葉は必ず「何々に効く」という意味を持つ、他動詞的な言葉です。

効くの効の字を使った別の言葉としては、働きかけによって現れる結果を意味する「効果」、良い結果もたらすことの出来る働きを意味する「効能」、労力と成果の割合を意味する「効率」などがあります。

利くの意味

利くとは、本来の働きを十分に果たすことを意味しています。「利く」という言葉には、「他の物に作用して結果を生み出す」という意味合いはありません。例えば「右利き・左利き」の「利く」は、どちらの手が手の本来の役割を果たすかを表現しています。

「機転が利く」というのは、考えるという頭脳の本来の役割がうまく働いていることを意味していますし、「気が利く」も、気づかうという人間が本来持つ能力が優れていることを意味しています。

また、仲介することを意味する「口を利く」という表現もあります。私達は普段「話しで相手の考えを変える」というように、話には他人の考えに作用する働きがあるという考え方をしていますが、「口を利く」はそのような考え方とは違うものです。

確かによく考えてみると、例えば職を斡旋するために口利きをしても、採用か不採用かを決定することは出来ません。口利きが出来るのはせいぜい推薦だけで、決定するのはあくまで雇用主です。

利くの利の字を使った別の言葉としては、事業などの収益や、自分の得になることを意味する「利益」、功績と利益など、自分にとって得な結果を意味する「功利」、利益を上げることを意味する「利得」などがあります。

効くの例文と使い方

1.薬の効き目が出てきて、息子はぐっすり眠ってしまった。
2.たまにはパンチが効いたラーメンが食べたい。
3.私に反論されたのがよほど効いたのか、それっきり彼は意見しなくなってしまった。
4.ガンガン冷房が効いて、部屋がドンドン涼しくなっていった。
5.お風呂は長く入るよりもサッと浸かるのが疲れに効くんだよ。

この言葉がよく使われる場面としては、ある物が別の物に作用して、何かの結果を生み出すことを表現したい時などが挙げられます。

例文2の「パンチが効いたラーメン」というのは、強い味覚を引き起こすラーメンという意味です。「パンチを効かせるように強力な味」という程度の意味です。

日常の言葉遣いの中では「何々に効く」の「何々に」の部分が省略されることが多いため、「別の物に作用する」という「効く」という言葉の大事な点が気づかれにくくなっていますが、「効く」という言葉を使う際には必ず意識するようにしましょう。

利くの例文と使い方

1.知り合いに仕事の口利きを頼んだら、すんなりと内定した。
2.彼女はよく気が利く人だけれど、神経質過ぎるのが玉にキズだ。
3.彼は幼い頃から鼻が利く方だったけれど、歳をとってからはそれも衰えを見せ始めた。
4.私は機転が利く方じゃないから、事前準備は入念にしようと心掛けている。
5.このアルバイトは時間の無理が利くところが魅力的なんだ。

この言葉がよく使われる場面としては、物の本来の機能が十分に働いていることを表現したい時などが挙げられます。例文1の「口利き」という言葉は、実は難しい表現です。なぜなら「相手の考え方に影響する」というように考えれば「効く」を使うからです。

しかし「利く」という言葉が使われている以上、日本人はそのようには考えていなかったということです。確かに、口利きは推薦こそ出来たとしても、採否の決定という結果をそれ自体が生み出しているわけではありません。

また、例文5のような「利く」の使い方もあります。「融通が利く」や「定期の利く区間」など、「何かが出来る」という意味でも使われます。