似た意味を持つ「臨機応変」(読み方:りんきおうへん)と「行き当たりばったり」(読み方:いきあたりばったり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「臨機応変」と「行き当たりばったり」という言葉は、どちらも前もって決めていた行動をするわけではないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「臨機応変」と「行き当たりばったり」の違い
「臨機応変」と「行き当たりばったり」の意味の違い
「臨機応変」と「行き当たりばったり」の違いを分かりやすく言うと、「臨機応変」とはプラスのイメージで使うことが多い、「行き当たりばったり」とはマイナスのイメージで使うことが多いという違いです。
「臨機応変」と「行き当たりばったり」の使い方の違い
一つ目の「臨機応変」を使った分かりやすい例としては、「臨機応変に行動する」「臨機応変な処置をする」「臨機応変に取り計らいました」「彼は臨機応変い動ける人です」「彼女は臨機応変な措置をとった
などがあります。
二つ目の「行き当たりばったり」を使った分かりやすい例としては、「行き当たりばったりの施策は失敗に終わるだろう」「あの人は何事も行き当たりばったりです」「女は行き当たりばったりの経営の仕方ながらなんとか店を続けている」などがあります。
「臨機応変」と「行き当たりばったり」の使い分け方
「臨機応変」と「行き当たりばったり」はどちらも前もって決めていた行動をするわけではないことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「臨機応変」はその時その場に応じて適切な手段をとることというプラスのイメージで使うことが多いのに対して、「行き当たりばったり」は計画を立てないでその場の成り行きにまかせることというマイナスのイメージで使うことが多いのが違いになります。
「臨機応変」と「行き当たりばったり」の英語表記の違い
「臨機応変」を英語にすると「according to circumstances」「flexible」「according to the occasion」となり、例えば上記の「彼女は臨機応変な措置をとった」を英語にすると「She took such steps as according to the occasion demanded」となります。
一方、「行き当たりばったり」を英語にすると「random」「haphazard」「happy‐go‐lucky」「hit-or-miss」となります。
例えば上記の「彼女は行き当たりばったりの経営の仕方ながらなんとか店を続けている」を英語にすると「She manages to keep his store afloat even with her haphazard manner of running it」となります。
「臨機応変」の意味
「臨機応変」とは
「臨機応変」とは、その時その場に応じて適切な手段をとることを意味しています。
表現方法は「臨機応変に対応する」「臨機応変にお願いします」「臨機応変な対応力」
「臨機応変に対応する」「臨機応変にお願いします」「臨機応変な対応力」などが、臨機応変を使った一般的な言い回しです。
「臨機応変」の使い方
「臨機応変」を使った分かりやすい例としては、「彼女は臨機応変に仕事ができる人です」「接客の仕事は臨機応変な対応力が必要です」「プロサッカー選手は臨機応変なプレーが求められている」などがあります。
「臨機応変」とはその場の成り行きに応じて、適切な手段をとったり対応を変えたりすることを意味する四字熟語です。
また、その時その場に応じて適切な手段をとることを意味する「臨機」と、思いがけない出来事に応じて適切な処置をとることを意味する「応変」の二つの言葉に分けて考えることができます。
「臨機応変」に悪い意味やイメージはない
「臨機応変」は日常生活とビジネスシーンどちらでも使うことができる言葉ですが、基本的にプラスのイメージを伴って使用します。
「臨機応変」の由来
臨機応変の由来は、中国の歴史書である『南史』に登場する、梁の総司令官である蕭明の言葉になります。
蕭明は、「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ」という言葉を言いました。「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ」とは、「私は状況に応じて自分自身で上手く立ち回れるので余計なことは言わないでくれ」という意味になります。
このことが転じて、その時その場に応じて適切な手段をとることを「臨機応変」と言うようになりました。
「臨機応変」の類語
「臨機応変」の類語・類義語としては、機会を捉えて素早く決断することを意味する「当機立断」(読み方:とうきりつだん)、実際の状況に応じて物事を現実に適した形で処理する策を講じることを意味する「量体裁衣」(読み方:りょうたいさいい)などがあります。
「行き当たりばったり」の意味
「行き当たりばったり」とは
「行き当たりばったり」とは、計画を立てないでその場の成り行きにまかせることを意味しています。
表現方法は「行き当たりばったりで生きる」「行き当たりばったりな生活」
「行き当たりばったりで生きる」「行き当たりばったりな生活」「行き当たりばったりな人」などが、「行き当たりばったり」を使った一般的な言い回しになります。
「行き当たりばったり」の使い方
「行き当たりばったり」を使った分かりやすい例としては、「彼女は行き当たりばったりの方法で情報を集めている」「父は何をするにも行き当たりばったりだ」「行き当たりばっかりの仕事をしないでください」などがあります。
「行き当たりばったり」は基本的にマイナスなイメージでしか使わない言葉です。また、「行き当たりばったりの旅行は楽しかった」のように、「行き当たりばったり」な行動をとった結果、プラスな結果に繋がることもあると覚えておきましょう。
ただし、結果がプラスなだけであって、行き当たりばったりという意味がプラスになってるわけではないので注意してください。
「行き当たりばったり」の由来
「行き当たりばったり」は難しい事態に直面することを意味する「行き当たる」と続いていた物事が急に途絶えることを意味する「ばったり」が合わさり、難しい事態に直面して物事が途絶えることの意味なります。
上記の意味が転じて、計画を立てないでその場の成り行きにまかせることの意味で使われるのが「行き当たりばったり」です。
「行き当たりばったり」の読み方
「行き当たりばったり」の正式な読み方は「ゆきあたりばったり」ですが、現在では「いきあたりばったり」と読む方が一般的になっています。
「行き当たりばったり」の類語
「行き当たりばったり」の類語・類義語としては、物事に計画性がなく目先の効果だけを考えたその場の思いつきで行うことを意味する「場当たり」、将来のことを考えずに行動することを意味する「向こう見ず」などがあります。
「臨機応変」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その時その場に応じて適切な手段をとることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「臨機応変」はポジティブなニュアンスで使う言葉です。
「行き当たりばったり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、計画を立てないでその場の成り行きにまかせることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「行き当たりばったり」はネガティブなニュアンスで使う言葉です。
「臨機応変」と「行き当たりばったり」はどちらも前もって決めていた行動をするわけではないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスのイメージで使うのが「臨機応変」、マイナスのイメージで使うのが「行き当たりばったり」と覚えておきましょう。