【越える】と【超える】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「こえる」という読み方、似た意味を持つ「越える」と「超える」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「越える」と「超える」という言葉は、読み方は同じでも意味は大きく違いますので、混同しないようご注意下さい。




「越える」と「超える」の違い

「越える」と「超える」の意味の違い

越えると超えるの違いを分かりやすく言うと、越えるとは間を隔てている物を越えて向こうへ行くことを意味していて、超えるとは基準や限度を上回ることを意味しているという違いです。

「越える」と「超える」の使い分け方

一つ目の「越える」は「時代や国境など、二つの物を隔てる物を越えて向こうへ行く」を意味する言葉です。例えば「時代を越えるベストセラー」や「国境を越えて向こうへ行く」や「大海原を越える」などのように使われます。

「越える」という言葉は、「二つの間の障害物の上にアーチを掛けて、両者を繋ぐようなイメージ」の言葉だと考えると、意味が分かりやすくなります。「大海原を超える」は、ある陸地から海を渡って別の陸地を目指すことで、地図の上でルートを引くことが出来ます。

二つ目の「超える」は「基準や限度を上回ること」を意味する言葉です。例えば「残業時間が3時間を超えた」や「来場者数が3万人を超える」や「常識を超える」などのように使われます。

「超える」という言葉は、「ボーダーラインや枠を突破するイメージ」の言葉だと考えると、意味が分かりやすくなります。「残業が3時間を超える」は、8時間のボーダーラインが突破されているようなイメージです。

「超える」は「推移や移動」に関係する言葉で、「超える」は「程度が凄まじい」という意味合いを持つ言葉です。

「越える」の意味

「越える」とは

越えるとは、こちらから向こうへ、二つを隔てるものを越えて行くことを意味しています。

表現方法は「垣根を越える」「国境を越える」「山を越える」

「垣根を越える」「国境を越える」「山を越える」などが、越えるを使った一般的な言い回しです。

「越える」の使い方

「時代を越えたベストセラー小説」の場合、例えば出版された1980年と現代の間には、約40年の隔たりがあります。しかし、相変わらず愛されているということが、80年代から2019年にやって来ているというイメージを持たせるので、「越える」が使われています。

また「国境を越える」の場合、こちらの国から向こうの国へ、両者を隔てる国境を越えて向こう側に行くことを表現しています。「時間の経過や場所の移動」などと結びつくのが「越える」という言葉だと考えると、意味が分かりやすくなります。

また、越えるという言葉には「障害物の上を行く」というイメージがあるため、例えば「困難を乗り越える」のような使い方もされます。

「越える」の対義語

越えるの対義語・反対語としては、運動していたものが運動をやめることを意味する「止まる」、場所を変えずに居続けることを意味する「留まる」などがあります。

「越える」の類語

越えるの類語・類義語としては、ここからあそこへの道筋があることを意味する「通る」、場所や時間を通り越すことを意味する「過ぎる」、一方から他方へ、両者を隔てているものを越えていくことを意味する「渡る」などがあります。

越えるの越の字を使った別の言葉としては、境界線をこえて向こう側へ行くことを意味する「越境」、冬の季節を過ごし、それを乗り切ることを意味する「越冬」、はなはだしく優れていることを意味する「卓越」などがあります。

「超える」の意味

「超える」とは

超えるとは、数量などが基準の値を上回ることを意味しています。

表現方法は「世代を超える」「壁を超える」「限度を超える」

「世代を超える」「壁を超える」「限度を超える」「時代を超える」「時を超える」「1万人を超える」などが、超えるを使った一般的な言い回しです。

「超える」の使い方

「限界や限度が設定されている状況で、それを上回る」ことが「超える」と表現されます。

例えば「父を超える」は、何かの実力に関して、これまでは父に劣っていたが、何かの拍子に追い越すことを意味しています。ここで父とは、自分の成長度合いを測る一つの基準だったわけです。

また「想像を超える出来事」は、想像の範囲内に収まりきらない出来事を意味しています。

「超える」は「基準や範囲を超える」という意味を持つ言葉ですが、「物事の程度の凄まじさ」を表現していると考えることも出来ます。例えば「エレベーターの定員を超える人数が乗った」は、数の凄まじさを表現していると考えることが出来ます。

「超える」の対義語

超えるの対義語・反対語としては、ある枠の中に入り切ることを意味する「収まる」などがあります。

「超える」の類語

超えるの類語・類義語としては、基準よりも上になることを意味する「上回る」、他の物よりも上であることを意味する「勝る」、他の物を抜き去り、上や前に出ることを意味する「凌ぐ」などがあります。

超えるの字を使った言葉としては、ある範囲をはるかに超えることを意味する「超越」、限度や基準を超えることを意味する「超過」、人並外れた能力を有した人を意味する「超人」などがあります。

「越える」の例文

1.この映画は確実に世代を越えるものになると、私は確信しています。
2.この小説は、時を越えて愛され続けるベストセラーなんだよ。
3.人種という垣根を越えて語らい合うことが出来た。
4.五十歳を越えると、白髪もどんどん増えてくるんだ。
5.明け方に急に倒れた母の容態は、なんとか峠を乗り越えることが出来た。
6.突然倒れ緊急手術を受けた父も、どうやら峠を越えたたようで、今日ICUから一般病棟に移された。
7.今回のプロジェクトは、部門間の垣根を越えてグループ企業全体で協力し合わないと成功を収められそうにない。
8.どうやらドイツとオランダの国境を越える瞬間に寝てしまったようで、気づいたらアムステルダムに着いてしまっていた。
9.新聞が発刊されて120年になる記念日では普段はライバル同士の新聞各社が共同社説や社長の対談記事を出すなどの垣根を越えた活動をしていた。
10.日頃夫婦げんかをしていると思うのだが、やはり男女間でお互い越えられない壁があるように思えたのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、一方から他方への移動や推移を表現したい時などが挙げられます。時間の経過や場所の移動などと結びつくのが、越えるという言葉です。

例文3の「垣根を越える」は「お互いの立場を超える」と同じ状況を表現しています。「垣根を越える」の場合、自分から相手へ、相手から向こうへ、やりとりが交わされているというような印象を与えます。

他方、「立場を超える」の場合、お互いが自分の立場という枠を破って外側に行っているというニュアンスがあります。

「超える」の例文

1.先人を超えることは、めったに出来ることではない。
2.予想を超える入場者が押し寄せたため、現場のスタッフが混乱をきたしてしまった。
3.自分の能力を著しく超える量の仕事を割り振られて、正直とてもまいっている。
4.暴飲暴食と運動不足がたたり、ついに体重が80キロを超えてしまった。
5.予報では、今日の気温は38度を超えるという。
6.飛行機に預ける荷物の重量が規定を超えてしまい、追加料金を払う羽目になった。
7.このプロジェクトにはすでに億を超える資金が投下されているので、絶対に成功させなくてはならない。
8.社運をかけて作り出した今回の新商品の出来映えは、想像を遥かに超えて各方面から称賛の声が上がっているそうだ。
9.あんな20桁もある難しい計算をいとも簡単に暗算で問いてしまうなんて彼は人間の能力を超えているよ。
10.ホームセンターによる敵対的TOBで、議決権が得られる過半数を超えられるかどうか固唾をのんで見守っている。

この言葉がよく使われる場面としては、基準・限度・限界などを上回ることを表現したい時などが挙げられます。越えるは、こちらから向こうへ、というイメージを持つ言葉ですが、超えるは、向こうへ、というイメージを持つ言葉ではありません。

むしろ、「超える」は「程度が甚だしい」という意味合いを持つ言葉です。この程度という意味合いは、越えるにはないものです。二つの言葉の使い分けに迷った場合は、この違いを念頭に置いてみて下さい。

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