似た意味を持つ「訓告」(読み方:くんこく)と「戒告」(読み方:かいこく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「訓告」と「戒告」という言葉は、どちらも会社員や公務員への処分を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
訓告と戒告の違い
訓告と戒告の意味の違い
訓告と戒告の違いを分かりやすく言うと、訓告よりも戒告の方が重い処分を表すという違いです。
訓告と戒告の使い方の違い
一つ目の訓告を使った分かりやすい例としては、「文書訓告は懲戒処分には含まれません」「接待問題で官僚二人が訓告処分となった」「口頭訓告は比較的軽い処分です」「退学、停学、訓告の基準は学校により異なります」などがあります。
二つ目の戒告を使った分かりやすい例としては、「口頭による戒告で反省を求められた」「弁護士に対する戒告処分が公告された」「上司がパワハラで戒告の懲戒処分となった」「戒告による通知は代執行法に基づく行政処分です」などがあります。
訓告と戒告の使い分け方
訓告と戒告という言葉は、日常生活で使われることはありませんが、ビジネスの場においては規律違反や業務違反をした人に対する処分として用いられています。訓告とは教えを告げることであり、戒告とは過失や失態などを強く戒めることです。
公務員法における戒告は、懲戒処分の一つです。懲戒処分とは、無断欠勤や犯罪行為などがあった時などに検討されるもので、具体的には解雇や停職、減給などを指します。戒告は、職務上の義務に違反したときに厳重に注意することであり、懲戒処分のなかで最も軽い処分になります。
一方、訓告は戒告よりも軽い処分であり、懲戒処分にあたりません。訓告は職務違反による注意勧告を受ける程度のものです。つまり、訓告と戒告を比べると、戒告の方が重い処分という位置づけになります。
訓告と戒告の英語表記の違い
訓告を英語にすると「remonstration」「admonitory warning」となり、例えば上記の「文書訓告」を英語にすると「written admonitory warning」となります。
一方、戒告を英語にすると「monition」「reprimand」となり、例えば上記の「口頭による戒告」を英語にすると「oral reprimand」となります。
訓告の意味
訓告とは
訓告とは、教え告げること、戒め告げることを意味しています。
訓告の使い方
訓告を使った分かりやすい例としては、「教育委員会は男性教諭に対して文書訓告を行った」「地方公務員における訓告と譴責はどう違うのか」「訓告は公務員法で規定された処分のひとつです」などがあります。
その他にも、「問題の社員に訓告や厳重注意で反省を促す」「私の会社では訓告は文書または口頭で行われます」「訓告では退職金が満額もらえます」「ベトナム人労働者への訓告文書を英語で作成する」などがあります。
訓告とは、教え告げること、注意して導くことです。訓告の「訓」は教えさとすこと、「告」は知らせることを表します。特にビジネスの場において、何か問題を起こした人に、同じ過ちを犯さないように注意することを意味する言葉です。
会社と公務員における訓告
会社における訓告は、最も軽い懲戒処分として就業規則に定められることが一般的です。そのため、給料やボーナスに影響がないことがほとんどです。公務員についても、懲戒処分に至らない軽微な違法行為に対する処分として、訓告の規定が設けられています。
訓告の対義語
訓告の対義語・反対語としては、褒めたたえることを意味する「称賛」、大いにほめることを意味する「称揚」などがあります。
訓告の類語
訓告の類語・類義語としては、 口頭でさとし告げることを意味する「諭告」、警告を発して人の迷いをさますことを意味する「警醒」、教えいましめることを意味する「教戒」、言い聞かせることを意味する「告諭」、気をつけるよう告げ知らせることを意味する「警告」などがあります。
戒告の意味
戒告とは
戒告とは、過失・失態・非行などを強く戒めることを意味しています。
その他にも、「公務員などの職務上の義務違反に対する懲戒処分の一つ」「行政上の義務の履行を催告する通知行為」の意味も持っています。
戒告の使い方
「上司から戒告書を渡された」「戒告よりも訓告の方が軽い処分になります」「戒告よりも譴責の方が重い処分です」「戒告処分は退職金にも影響するだろうか」などの文中で使われている戒告は、「過失や失態などを強く戒めること」の意味で使われています。
一方、「教員が戒告処分を受ける」「公務員の戒告制度を調べる」などの文中で使われている戒告は「職務上の義務違反に対する懲戒処分」の意味で、「代執行がなされた戒告事例を集める」の文中で使われている戒告は「行政上の義務を催告する通知行為」の意味で使われています。
戒告は「誡告」とも書きますが、一般的には常用漢字を用いた「戒告」と表記されています。
戒告の語義
戒告の語義は、過失や非行などを戒め注意することですが、企業や学校、公務員制度などでは厳重注意を言い渡す懲戒処分の意味で用いられています。多くの会社では、解雇や降格、減給などの懲戒処分のなかでも最も軽い処分として定められています。
法律上では二つの意味があり、国家公務員法や地方公務員法上では、公務員の職務上の義務違反に対し,本人に将来を戒める旨の申渡しをする処分を表します。行政代執行法上は、行政上の義務を履行しない者に対して、行政機関が代執行をすべきことを通告することを意味します。
戒告の対義語
戒告の対義語・反対語としては、褒めたたえることを意味する「賛美」、すばらしいものとして褒めたたえることを意味する「礼賛」などがあります。
戒告の類語
戒告の類語・類義語としては、物事の理非や善悪を教えさとし戒めることを意味する「訓戒」、相手の欠点や過ちを戒めさとすことを意味する「忠告」、注意を与えて慎ませることを意味する「戒飭」(読み方:かいちょく)などがあります。
訓告の例文
この言葉がよく使われる場面としては、教え告げること、戒め告げることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある学校における訓告とは、学校教育法施行規則に記されている「生徒に対して行う校長による懲戒処分」の一つです。生徒に対する懲戒処分には、大きく分けて退学、停学、訓告の三つがあります。
戒告の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 過失や非行などを戒め注意すること、公務員が職務上の義務に違反した場合の懲戒処分、行政上の一定の義務を履行するように催告することを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の文中にある戒告は、過失や非行などを戒め注意することの意味で使われています。例文3や例文4にある戒告は、国家公務員法や地方公務員法における懲戒処分を表しています。例文5の戒告は、行政代執行法上の戒告を指しています。
訓告と戒告という言葉は、どちらも会社員や公務員への処分を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、教え告げることを表現したい時は「訓告」を、戒め注意することを表現したい時は「戒告」を使うようにしましょう。