【貫禄】と【威厳】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「貫禄」(読み方:かんろく)と「威厳」(読み方:いげん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「貫禄」と「威厳」という言葉は、堂々とした様子を意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。







貫禄と威厳の違い

貫禄と威厳の違いを分かりやすく言うと、貫禄とはその人の身に備わった風格を表し、威厳とは近寄りがたい厳かさを表すという違いです。

一つ目の貫禄を使った分かりやすい例としては、「彼は近頃貫禄がついてきた」「貫禄のある門構えを目にする」「貫禄のある人の特徴を探る」などがあります。

二つ目の威厳を使った分かりやすい例としては、「彼は地位に見合った威厳を保っている」「威厳を感じるような言葉遣いを心掛けたい」「彼のたたずまいに威厳を感じるようになった」などがあります。

貫禄と威厳はどちらも堂々としている様子を意味する言葉ですが、威厳はやや距離感を感じる言葉として使われます。

また、貫禄は経験などによって備わった風格を表すため「試合に勝利し貫禄を示す」という表現ができますが、この例文で使われている貫禄を威厳に置き換えて使うことはできません。これらが貫禄と威厳の明確な違いです。

貫禄を英語にすると「dignity」「presence」となり、例えば上記の「貫禄がついてきた」を英語にすると「have gained presence」となります。

一方、威厳も同様に「dignity」となり、例えば上記の「威厳を保っている」を英語にすると「maintain a dignity」となります。

貫禄の意味

貫禄とは、体つきや態度などから感じる人間的な重みや風格、立派さを意味しています。

貫禄を使った分かりやすい例としては、「圧倒するような迫力と貫禄をもつ」「貫禄のある雰囲気の宿泊施設に泊まる」「回を重ねるごとに貫禄を増していく」「期待に応える姿は貫禄十分である」などがあります。

「貫」は中世以降土地の単位として使われており、室町時代には武家が支配し管理する米穀の収穫量を表す際に使われていました。また、「禄」は大名らに仕える者に与えられる給与を意味します。

上記からわかるように、貫禄とは領地の大きさや給与の額など武士の値打ちを表す言葉であり、その値打ちが高い者が「貫禄のある者」とされました。これが転じて今の意味となりました。

また、値打ちに関連した表現で、より高い値打ちや評価がつくことを「箔がつく」という言葉で表しますが、貫禄が増すという意味もこの言葉の意味に含まれています。

貫禄の類語・類義語としては、高位の官職や階級などを意味する「品格」、尊敬に値する性質を意味する「矜持」(読み方:きょうじ)や「沽券」(読み方:こけん)などがあります。

貫禄の禄の字を使った別の言葉としては、天から授かる幸福を意味する「天禄」、江戸時代の大名に仕えた人がもらった給与を意味する「俸禄」(読み方:ほうろく)などがあります。

威厳の意味

威厳とは、近寄りがたいほど堂々としておごそかなことを意味しています。

威厳を使った分かりやすい例としては、「威厳漂う閑静な場所に訪れた」「出世ができた次の自分の目標は威厳がある人になることだ」「旦那には威厳が足りない」「久しぶりに会った友人は威厳のある態度になっていた」などがあります。

威厳の意味が含まれている言葉として、りりしく威厳のある様子を意味する「威風凛然」(読み方:いふうりんぜん)、威厳はあっても人間的な温かみが感じられて荒々しくないことを意味する「威ありて猛からず」(読み方:いありてたけからず)などがあります。

威厳の類語・類義語としては、規模や大きさが強い印象を与えることを意味する「威風」、態度と外観が形式ばった様子を意味する「厳威」(読み方:げんい)などがあります。

威厳の威の字を使った別の言葉としては、相手を押さえつけること様子を意味する「威圧」、怒鳴るなど人を脅すことを意味する「威喝」(読み方:いかつ)、相手にこちらの意思を押し付けて従わせる力を意味する「威権」(読み方:いけん)などがあります。

威という文字は大きな斧で両手を重ねてひざまずく女性を脅す様子を漢字にしたため、「威す」(読み方:おどす)という使い方が常用外の読み方として存在します。

貫禄の例文と使い方

1.上司にふさわしい貫禄を出すために、普段身に纏う衣服の見直しから始めた。
2.取引先の担当者に貫禄負けしないよう、自信を持つためにも事前準備を欠かさないようにしている。
3.お世辞にも貫禄があるとは言えないが、彼の仕事ぶりは真面目できちんと結果も出している。
4.美術館でまず目にしたのは、重厚で貫禄を放つ調度品であった。
5.ここ数年連続して優勝している選手が、他の選手と圧倒的な差をつけ今年も優勝し、王者としての貫禄を見せつけた。

この言葉がよく使われる場面としては、堂々としている様子を意味する時などが挙げられます。

例文2の「貫禄負け」は、従来の風格の意味を持たせて使うことが多いですが、人間性などの面で劣っている様子を表す際にも使います。

例文3の「貫禄がある」という表現は、特に女性に対して使う際、老けている、太っているという意味合いでとられることがあります。

また、恰幅の良いという意味を込めて使っても、悪気はなくとも嫌味としてとらえられてしまうなど、マイナスイメージを相手に感じさせてしまう可能性があるため注意してください。

威厳の例文と使い方

1.父親としての威厳を保つためにも、子供を褒めるときは褒め、叱るときは叱る必要があるだろう。
2.威厳ある山の登頂は、多くのアルピニストが憧れとしており挑戦している。
3.犬に一度なめられてしまうと威厳を取り戻すのは難しく、なかなか言うことを聞いてくれなくなる。
4.先輩の威厳に満ちた態度は新入社員に効果覿面であるが、気軽に話しかけにくいとも言われるようにもなった。
5.言葉一つで威厳を損なう可能性もあるため、ビジネス間でのコミュニケーションは慎重になる。

この言葉がよく使われる場面としては、人を圧するような立派さを意味する時などが挙げられます。

例文2の「威厳のある山」とように、威厳は自然などを形容する場合にも使われます。その場合には近寄りがたいという意味よりも、立派ですばらしいという意味で使われます。

また、今日では例文3や例文5のように、相手より下に見られないよう堂々とする様子を表す意味で使われることが多く見受けられます。

貫禄と威厳どちらを使うか迷った場合は、経験を積んで身についた風格を表す場合には「貫禄」を、近寄りがたいほど堂々としている様子や立派さを表す場合は「威厳」を使うと覚えておけば間違いないはずです。