似た意味を持つ「盛者必衰」(読み方:じょうしゃひっすい)と「栄枯盛衰」(読み方:えいこせいすい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「盛者必衰」と「栄枯盛衰」という言葉は、どちらも世の儚さを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
盛者必衰と栄枯盛衰の違い
盛者必衰と栄枯盛衰の意味の違い
盛者必衰と栄枯盛衰の違いを分かりやすく言うと、盛者必衰とは勢いの盛んな者が衰退することを表し、栄枯盛衰とは繁栄と衰退を繰り返すことを表すという違いです。
盛者必衰と栄枯盛衰の使い方の違い
一つ目の盛者必衰を使った分かりやすい例としては、「盛者必衰の理に倣い、過去の栄光となってしまった」「歴史を振り返っても盛者必衰であることは明らかである」「盛者必衰は人の常です」「平家物語で盛者必衰の運命をたどる」どがあります。
二つ目の栄枯盛衰を使った分かりやすい例としては、「人生の栄枯盛衰は儚いと悟りました」「ギリシャ帝国の栄枯盛衰を描いた小説です」「栄枯盛衰は世の常です」「テレビを観ていると芸能界の栄枯盛衰を感じる」などがあります。
盛者必衰と栄枯盛衰の使い分け方
盛者必衰と栄枯盛衰という言葉は、人の世の儚さを表す四字熟語ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
盛者必衰とは、勢いが盛んな者でも必ず衰えるときが来ることを意味します。人生の無常や、永遠不変のものはないという人生の儚さを表す言葉です。一方、栄枯盛衰とは、栄えたり衰えたりを繰り返す人の世の儚さを意味します。物事や人の繁栄や衰退を指す言葉です。
つまり、盛者必衰とは栄えて絶頂にいた者が衰退するという局面を捉えた表現であり、栄枯盛衰とは栄えたり衰えたりすることが交互に訪れるという様子を捉えた表現になります。
盛者必衰と栄枯盛衰の英語表記の違い
盛者必衰を英語にすると「all that is fair must fade」「even the mighty must fall」となり、例えば上記の「盛者必衰の理」を英語にすると「logic of even the mighty must fall」となります。
一方、栄枯盛衰を英語にすると「the rise and fall」「vicissitude」となり、例えば上記の「人生の栄枯盛衰」を英語にすると「the vicissitudes of life」となります。
盛者必衰の意味
盛者必衰とは
盛者必衰とは、無常なこの世では、栄華を極めている者も必ず衰えるときがあるということを意味しています。
盛者必衰の使い方
盛者必衰を使った分かりやすい例としては、「盛者必衰の理に抗うことはできません」「この世は盛者必衰であり諸行無常で変わらないものはない」「せっかくチャンピオンになれたのだから、盛者必衰の理はお断りです」などがあります。
その他にも、「人気アイドルが消えてしまうことは盛者必衰の理をあらわす」「盛者必衰の身近な例にモテ期が終わった友人の話をした」「今は強豪チームでも盛者必衰なので勝てなくなる時が来るだろう」などがあります。
盛者必衰の由来
盛者必衰という言葉の由来は、仏教の無常観にあります。ひとたび盛んになっても必ず衰える時が来る、という世の中の有為転変を表現した言葉です。人生の無常を表す時にも用いられています。
盛者必衰を用いた有名な一節には、「娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことはりを表す」があります。これは平家の栄華と没落を描いた「平家物語」の冒頭の文章であり、「盛者必衰の理」とは、全ての人や物事には繁栄と衰退があることを意味します。
盛者必衰の対義語
盛者必衰の対義語・反対語としては、いつまでも永遠に果てることなく続くさまを意味する「永永無窮」、物事に一度失敗した者が非常な勢いで盛り返すことを意味する「捲土重来」、これから無限に長い年月にわたることを意味する「未来永劫」などがあります。
盛者必衰の類語
盛者必衰の類語・類義語としては、この世に生を受けた者は必ず滅び死ぬことを意味する「生者必滅」、世の中の一切のものは常に変化し生滅して永久不変なものはないことを意味する「諸行無常」などがあります。
栄枯盛衰の意味
栄枯盛衰とは
栄枯盛衰とは、栄えたり衰えたりすることを意味しています。
栄枯盛衰の使い方
栄枯盛衰を使った分かりやすい例としては、「会社や事業の栄枯盛衰を多く見てきました」「栄枯盛衰の激しいITビジネス業界です」「栄枯盛衰と諸行無常の法則を肝に銘じる「複雑な民族構成を持つ土地に栄枯盛衰を感じる」などがあります。
その他にも、「栄枯盛衰は世の習いとはよく言ったものです」「栄枯盛衰と盛者必衰が繰り返された歴史がある」「英語という言語の栄枯盛衰を検証する」「栄枯盛衰は世の常であり起業があれば倒産もあります」などがあります。
栄枯盛衰という言葉の「栄枯」とは草木が茂ることと枯れること、「盛衰」とは栄えることと衰退することを意味します。栄枯盛衰とは、栄えることと衰えることを意味し、世の中すべての人や物事には繁栄と衰退があるということを意味する言葉です。
栄枯盛衰の対義語
栄枯盛衰の対義語・反対語としては、永遠に変わらないことを意味する「千古不易」、いつまでも果てしなく続いて変わらないことを意味する「永久不変」、永遠に変わらないことを意味する「万代不易」などがあります。
栄枯盛衰の類語
栄枯盛衰の類語・類義語としては、栄えることと衰えることを意味する「浮沈」、勢いが衰えたり盛んになったりすることを意味する「消長」、国や民族などが興り栄えたかと思うと滅びてしまい長くは続かないことを意味する「興亡恒なし」をいうなどがあります。
盛者必衰の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ひとたび盛んとなっても必ず衰えるときがあることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「盛者必衰」は勢いの盛んな者もついには衰え滅びるということを表すことに対し、「諸行無常」は世の中の一切のものは常に変化していることを表します。どちらも人生の無常を言う四字熟語です。
栄枯盛衰の例文
この言葉がよく使われる場面としては、隆盛と衰退が交互にめまぐるしく訪れるさまを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「栄枯盛衰は世の習い」とは、世の中は盛んな時もあれば衰えることもあり繰り返していることです。「世の習い」とは世間のならわしや世間にありがちなことを意味します。
盛者必衰と栄枯盛衰という言葉は、どちらも人の世の儚さを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、勢いの盛んな者が衰退することを表現したい時は「盛者必衰」を、繫栄と衰退を繰り返すことを表現したい時は「栄枯盛衰」を使うようにしましょう。