似た意味を持つ「品行方正」(読み方:ひんこうほうせい)と「清廉潔白」(読み方:せいれんけっぱく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「品行方正」と「清廉潔白」という言葉は、どちらも「きちんとして正しいこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
品行方正と清廉潔白の違い
品行方正と清廉潔白の意味の違い
品行方正と清廉潔白の違いを分かりやすく言うと、品行方正とは正しい行いを表し、清廉潔白とは清く正しい心を表すという違いです。
品行方正と清廉潔白の使い方の違い
一つ目の品行方正を使った分かりやすい例としては、「彼は真面目で品行方正な人です」「品行方正な生徒は先生からの信頼が厚い」「品行方正で礼儀正しい紳士です」「品行方正で面白味の無い人だな」などがあります。
二つ目の清廉潔白を使った分かりやすい例としては、「清廉潔白な政治家なんているだろうか」「トップは常に清廉潔白であるべきだ」「芸能人に清廉潔白さを求めてしまう」「清廉潔白な生き方を選ぶ」などがあります。
品行方正と清廉潔白の使い分け方
品行方正と清廉潔白という言葉は、どちらも「きちんとしていて正しいこと」を表し、ほぼ同義の言葉ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
品行方正とは、行いが正しく立派なさまを意味します。礼儀正しい振る舞いや、きちんとした言葉遣いなど、非の打ちどころがない行動を表す言葉です。「品行方正な生徒」とは校則を守り、授業態度が真面目な生徒を表します。
清廉潔白とは、心が清く正しく、不正をしたりすることのないことを意味します。心が道徳にかなっている様子を表し、「清廉潔白な政治家」とは私欲がなく、違法な献金などとは無縁そうな政治家のことです。
つまり、品行方正とは正しい行いに主眼を置いた表現であり、清廉潔白とは正しい心のあり方に主眼をおいた表現なのです。
品行方正と清廉潔白の英語表記の違い
品行方正を英語にすると「good conduct」「perpendicular」「morality」となり、例えば上記の「品行方正な人」を英語にすると「a person of good conduct」となります。
一方、清廉潔白を英語にすると「incorruption」「clean hands」「absolute honesty」となり、例えば上記の「清廉潔白な政治家」を英語にすると「an incorruptible politician」となります。
品行方正の意味
品行方正とは
品行方正とは、行いが正しく立派で、模範的であるさまを意味しています。
表現方法は「品行方正な振る舞い」「品行方正な人」「品行方正に生きる」
「品行方正な振る舞い」「品行方正な人」「品行方正に生きる」などが、品行方正を使った一般的な言い回しです。
品行方正の使い方
品行方正を使った分かりやすい例としては、「貴族には品行方正な振る舞いが求められます」「皇室は品行方正で清廉潔白であるべきです」「英語の先生は品行方正できちんとしています」などがあります。
その他にも、「品行方正な人は話がつまらない」「品行方正が悪いわけじゃないけど面白くない」「品行方正で成績優秀な優等生です」「品行方正を座右の銘にしています」「職場では品行方正キャラで通してます」などがあります。
品行方正の読み方
品行方正の読み方は「ひんこうほうせい」と読みます。誤って「ひんぎょうほうせい」「ひんこうほうしょう」などと読まないようにしましょう。
品行方正の由来
品行方正の由来は、古代中国の政治論集「管子」にあるという説があります。その中に「身行方正」という記述があり、これが転じて「品行方正」となったとされています。
品行方正の「品行」は日ごろの行いや身持ち、「方正」は行動や心の持ち方の正しいことを表します。品行方正とは、心や行いが正しく立派なさまを意味する言葉です。
品行方正は基本的にはポジティブな言葉ですが、文脈によっては堅物でつまらないというネガティブな意味で使われることもあります。使う時には、誤解を招かないように注意が必要です。
品行方正の対義語
品行方正の対義語・反対語としては、人格や人柄などが卑しく行動や振る舞いなどが下品なことを意味する「品性下劣」、道に背いたひどい行いであることを意味する「悪逆無道」、この上なく悪く道理にはずれていることを意味する「極悪非道」などがあります。
品行方正の類語
品行方正の類語・類義語としては、心や行動がきちんとして正しいことを意味する「規行矩歩」、きちんとした正しい行いをする人のことを意味する「方正之士」、三つの基本的な道徳と五つの守るべき正しい行いのことを意味する「三綱五常」などがあります。
清廉潔白の意味
清廉潔白とは
清廉潔白とは、行いや心が清く正しく、私欲や偽りがまったくないことを意味しています。
清廉潔白の使い方
清廉潔白を使った分かりやすい例としては、「英語を教えてくれた牧師は清廉潔白な人でした」「人間はそんなに清廉潔白ではない」「公職につく人には清廉潔白を求めてしまう」「完全に清廉潔白な人なんていないだろう」などがあります。
その他にも、「清廉潔白な国防軍なんて神話です」「清廉潔白な人生を送った偉人もいます」「清廉潔白だと思っていた人が犯罪者となった」「芸能界に清廉潔白な人はいないだろう」「美人には清廉潔白なイメージがある」などがあります。
清廉潔白は「清廉」と「潔白」の二つの熟語から成る四字熟語です。「清廉」は心が清らかで私欲がないこと、「潔白」は心や行いが正しくて後ろ暗い所がないことを表します。清廉潔白とは、心が清く正しく、やましいところがないさまを意味する言葉です。
清廉潔白な人のたとえとされる故事成語には「伯夷叔斉」があります。伯夷と叔斉は、中国の歴史書「史記」に記された二人の兄弟の名前です。伯夷と叔斉は父の位を譲り合って他国に移り、その国が元に住んでいた国を討ったため、不義の粟を食わずといって餓死したと言われています。
清廉潔白の対義語
清廉潔白の対義語・反対語としては、心が曲がって性質が悪く汚らわしいことを意味する「佞悪醜穢」、名利や愛憎にとらわれる心を意味する「俗心」、俗塵に汚れた心や俗世間の名利をむさぼる心を意味する「塵心」などがあります。
清廉潔白の類語
清廉潔白の類語・類義語としては、つつしみ深くまじめで正直であることを意味する「謹厳実直」、潔白で後ろ暗いことのないことのたとえを意味する「青天白日」、心に汚れがなく澄みとおっているたとえを意味する「青雲秋月」などがあります。
品行方正の例文
この言葉がよく使われる場面としては、行いがきちんとして正しいことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「品行方正で聖人君子みたいな人」とは、慎み深く行いが正しい理想的な人物のことです。「聖人君子」とは、立派な人徳や優れた知識教養を身につけた理想的な人物を表します。
清廉潔白の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心が清くて私欲がなく、後ろ暗いところのないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「清廉潔白にして公明正大」とは、清い心を持ち、私心をさしはさまずに公正に事を行うことを表します。公明正大とは、公平で良心に恥じるところがなく正しいことを意味する四字熟語です。
品行方正と清廉潔白という言葉は、どちらもきちんとして正しいことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、きちんとした正しい振る舞いを表現したい時は「品行方正」を、清く正しい心のあり方を表現したい時は「清廉潔白」を使うようにしましょう。