似た意味を持つ「回議」(読み方:かいぎ)と「合議」(読み方:ごうぎ)と「稟議」(読み方:りんぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「回議」と「合議」と「稟議」という言葉は、確認事項や原案などについて意見を言うことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
回議と合議と稟議の違い
回議と合議と稟議の意味の違い
回議と合議と稟議の違いを分かりやすく言うと、回議は会議の場で書類が回されることを表現する時に使い、合議は二人以上の話し合いを表現する時に使い、稟議は会議の場以外で確認書類が回ることを表現する時に使うという違いです。
回議と合議と稟議の使い方の違い
回議という言葉は、「今回回議される案は自分の物である」「回議が行われるまでに事前情報に目を通す」などの使い方で、担当者が作った原案を関係者に順番に回して意見を聞き、または承諾を求めることを意味します。
合議という言葉は、「近々提案された事項に関しての合議を行う」「合議制ではない話し合いの場の方が少なくなってきた」などの使い方で、二人以上が集まって相談することを意味します。
稟議という言葉は、「稟議のための書類を作成する」「稟議書に承認と押印をお願いする」などの使い方で、会議を開くほどではない事項に関する書類を関係者に回して、承認を求めることを意味します。
回議と合議と稟議の使い分け方
回議と稟議はどちらも、原案などの書類を関係者に順に回し承認を得ることを意味する言葉ですが、前者は会合などが行われる場で行われ、後者は会議などの集まりは開かれないまま進められます。
また、回議は「回議する」と動詞のように使うことができますが、稟議は「稟議する」のように使うことはできません。
一方、合議という言葉は、二人以上の人が集まって会合などの集まりで話し合いをすることを意味する言葉であるため回議の前提となりえるものですが、回議や稟議のような意味はありません。
これが、回議、合議、稟議の明確な違いです。
回議の意味
回議とは
回議とは、担当者が作った原案を関係者に順番に回して意見を聞き、または承諾を求めることを意味しています。
回議の読み方
回議は「かいぎ」という読み方をしますが、同じ読み方をする「会議」とは意味が異なりますが、場合によっては置き換えて使っても不都合ないこともあります。
表現方法は「回議お願いします」「回議いたします」「回議します」
回議を使った表現として、「回議お願いします」「回議いたします」「回議します」「回議承認後に提出」などがあります。ビジネスシーンで多く使われる言葉ですが、稟議が代わりに使われる事の方が多いです。
「回議書」「回議先」「回議ルート」は企業によって異なる
また、「回議書」「回議先」「回議ルート」などの表現もありますが、これら三つは基本的に企業によって異なるため、一般的に定められている定義は存在しません。
合議の意味
合議とは
合議とは、二人以上が集まって相談することを意味しています。
合議の読み方
合議は「ごうぎ」という読み方をしますが、「あいぎ」という読み方をすることもあります。
表現方法は「合議の上」「合議を行う」「合議します」
「合議の上」「合議を行う」「合議します」などが、合議を使った一般的な言い回しです。
合議を使った言葉として、「合議機関」「合議制裁判所」があります。
「合議機関」の意味
一つ目の「合議機関」とは、一人の意思によって決まるのではなく、数人の意思を総合して決定を行う組織を指す言葉です。具体的には、国家規模であれば国会、企業規模であれば株主総会が合議機関に該当します。
合議機関と対になる組織として、一人だけで構成される組織は単独機関が存在します。これは具体的に、各省大臣や都道府県知事、株式会社における代表取締役などが該当します。
「合議制裁判所」の意味
二つ目の「合議制裁判所」とは、複数の裁判官によって構成され相談が行われる裁判所を指す言葉です。最高裁判所と高等裁判所では常に合議制がとられ、地方裁判所と家庭裁判所では場合によって合議制がとられます。
合議の類語
合議の類語・類義語としては、集まって相談することを意味する「協議」、会って話し合うことを意味する「会談」、計画し相談することを意味する「謀議」、意見を出し合って相談することを意味する「評議」などがあります。
稟議の意味
稟議とは
稟議とは、会議を開くほどではない事項に関する書類を関係者に回して、承認を求めることを意味しています。
稟議の読み方
「稟議」は「りんぎ」という読み方をしますが、「りんぎ」は慣用読みで、もとは「ひんぎ」という読み方をする言葉です。
「稟議書」の意味
稟議を使った言葉として、「稟議書」(読み方:ひんぎしょ)があります。会社や官庁などにおいて会議を開催せずに、案件を関係者に回して同意の捺印と承認を求めるための書類を指す言葉ですが、官庁では起案書と呼ばれ、企業では立案書などとも呼ばれます。
どんな組織でも意思の内容や意思が形成される過程は、文書の形で記録に残すことが望ましく、後に第三者から見て監査や調査をすることを簡単なものにするためという理由が一つとして挙げられます。
表現方法は「稟議を上げる」「稟議を通す」「稟議を申請する」
稟議を使った表現として、「稟議を上げる」「稟議を通す」「稟議を申請する」「稟議致します」「稟議申請」「社内稟議」などがあります。どれもビジネスシーンで多く使われる言葉です。
回議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、担当者が作った原案を関係者に順番に回して意見を聞き、または承諾を求めることを意味する時などが挙げられます。
例文3の「回議録」は稟議や稟議書とも言い換えることができます。
合議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二人以上が集まって相談することを意味する時などが挙げられます。
どの例文の合議も、協議や会議などの言葉に置き換えて使うことができますが、回議や稟議に置き換えて使うことはできません。
稟議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、会議を開くほどではない事項に関する書類を関係者に回して、承認を求めることを意味する時などが挙げられます。
例文2の稟議は、会議が開かれないことを前提にしているため、回議に置き換えて使うことはできません。
回議と合議と稟議どれを使うか迷った場合は、会議の場で書類が回されることを表す場合は「回議」を、二人以上の話し合いを表す場合は「合議」を、会議の場以外で確認書類が回ることを表す場合は「稟議」を使うと覚えておけば間違いありません。