【根本的】と【抜本的】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「根本的」(読み方:こんぽんてき)と「抜本的」(読み方:ばっぽんてき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「根本的」と「抜本的」という言葉は、どちらも「物事の根源に関するさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




根本的と抜本的の違い

根本的と抜本的の意味の違い

根本的と抜本的の違いを分かりやすく言うと、根本的とは物事の根源であるさま、抜本的とは物事の根源を正しくしようとするさまという違いです。

根本的と抜本的の使い方の違い

一つ目の根本的を使った分かりやすい例としては、「問題を解決するには根本的な変更が必要です」「子どもへのしつけを根本的に見直す」「あなたと私では根本的な考え方が違うようです」「あらゆる社会構造を根本的に変容させる」などがあります。

二つ目の抜本的を使った分かりやすい例としては、「もっと抜本的な対策を講じるべきです」「防衛力の抜本的な強化が必要だ」「地方公営企業の抜本的な改革の取組状況を調べる」「抜本的かつ具体的な再発防止策を示す」などがあります。

根本的と抜本的の使い分け方

根本的と抜本的という言葉は、どちらも物事のおおもとや根源に関わる様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

根本的とは、物事を成り立たせるおおもとや基礎となるものに関するさまを意味します。「根本的な原因」「根本的な考え方」のような使い方で、物事の基幹部分や核心部分を指す言葉であり、必ずしも是正するという意味合いはありません。

抜本的とは、物事の根源に立ち戻って悪い点を改めて正しくするさまを意味します。「抜本的な改革」「抜本的な改善」のような使い方で、物事の根源を正しい状態に戻すことを表し、是正するという意味合いを持つ言葉です。

つまり、根本的とは物事の根源や基本という部分を表し、抜本的とは物事の根源を是正することを表現します。二つの言葉を比べると、抜本的よりも根本的の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。

根本的と抜本的の英語表記の違い

根本的を英語にすると「fundamental」「basic」「essential」となり、例えば上記の「根本的な変更」を英語にすると「fundamental change」となります。

一方、抜本的を英語にすると「drastic」「profound」「radical」となり、例えば上記の「抜本的な対策を講じる」を英語にすると「take drastic measures」となります。

根本的の意味

根本的とは

根本的とは、物事が成り立っているおおもとに関するさま、基本的であるさまを意味しています。

根本的の使い方

根本的を使った分かりやすい例としては、「日本の気候は根本的な構造変化が起こっています」「それでは根本的な解決にはなりませんよね」「根本的な原因を特定することは効果的な改善策につながります」などがあります。

その他にも、「根本的な帰属の誤りを避けるために状況を考慮する」「ビジネスモデルを根本的に変革する」「根本的な解決策は無いかもしれません」「長年悩まされている病気を根本的に治したい」などがあります。

根本的の「根本」は 物事のおこりや、物事が成り立っている基礎になるものを表します。そのような性質をもったものを表す接尾語「的」と結びつき、根本的とは、物事が成立するおおもとに関すること、基本的であることを意味します。

表現方法は「根本的な帰属の誤り」

根本的を用いた日本語には「根本的な帰属の誤り」があります。根本的な帰属の誤りとは、人の行動を説明する際に、その人の性格や内面を過剰に重視し、当人が置かれた環境や状況を軽視する傾向を意味します。「基本的帰属錯誤」「対応バイヤス」「基本的な帰属のエラー」とも言います。

根本的の対義語

根本的の対義語・反対語としては、物事の見かけだけに関するさまを意味する「表面的」などがあります。

根本的の類語

根本的の類語・類義語としては、物事の基礎に関連するさまを意味する「基礎的」、物事の根本的な性質にかかわるさまを意味する「本質的」、基本的であるさまや根本的であることを意味する「ファンダメンタル」などがあります。

抜本的の意味

抜本的とは

抜本的とは、根本に立ち戻って是正するさまを意味しています。

抜本的の使い方

抜本的を使った分かりやすい例としては、「抜本的な英語力の強化を図ります」「より抜本的な改良が予定されている」「抜本的な解決策を探しています」「本腰を入れた抜本的な対策が迫られています」などがあります。

その他にも、「公営企業の抜本的改革を検討しています」「抜本的な経営改革によって業務を効率化する」「抜本的なルール変更が求められています」「英語教育システムの抜本的な改革を提案する」などがあります。

抜本的の「抜本」は、物事の根本の原因となるものを抜き除くこと、根本的な対策を表します。そのような性質をもったものを表す「的」と組み合わさり、抜本的とは、問題や状況を根本から解決しようとすることを意味します。

表現方法は「公営企業の抜本的改革」

上記例文にある「公営企業の抜本的改革」とは、公営企業が行っている事業そのものの意義や必要性あるいは採算性などについて改めて検討し、事業継続の是非や事業手法について判断することです。近年、公営企業は施設の老朽化や経営の効率化の遅れなどの問題を抱えています。

抜本的の対義語

抜本的の対義語・反対語としては、物の見方や考え方などが上辺だけにとどまっているさまを意味する「外面的」などがあります。

抜本的の類語

抜本的の類語・類義語としては、そのものの本質に関わっているさまを意味する「本質的」、物事の基本となるような性質をもっているさまを意味する「基本的」、基本的なことや初歩的なことを意味する「ベーシック」などがあります。

根本的の例文

1.根本的な原因に対策を打つことで、さまざまなヒューマンエラーを防ぐことができるだろう。
2.行動を根本的に変えたいのであれば、思考や価値観を改めるしかありません。
3.一つの事象を取り上げて対策を練っても、根本的な解決にはならないでしょう。
4.本質的かつ根本的な解決を目指すために、問題を明確にして客観的に把握すべきです。
5.英語が根本的に分からないので、英語の授業に全くついていけません。

この言葉がよく使われる場面としては、物事がそれによって成り立つおおもとに及んでいるさまを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、根本的の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「根本的な原因」「根本的な解決」などがあります。例文4にある根本的と本質的の違いは、根本的は物事の土台に関わるさまを表すことに対し、本質的は物事の重要な性質を指す点にあります。

抜本的の例文

1.労働生産性を高めるために、既存の業務を抜本的に見直すことから始めました。
2.日本の英語教育には抜本的改革が必要だとは思いますが、良い手立てが見つかりません。
3.介護保険制度の抜本的な改善を求めるために、署名活動をしています。
4.気候変動に関する抜本的対策は、環境問題を抜きにして論じることはできません。
5.職場における熱中症対策として、労働環境を抜本的に改善していくべきです。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の根本に戻って全体を考えるさまを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、抜本的の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「抜本的に見直す」「抜本的改革」「抜本的な改善」などがあります。「抜本的改革」とは、問題を根本から見直して立て直そうとする大規模な改革を意味します。

根本的と抜本的という言葉は、どちらも「物事の根源に関わるさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事の根源であることを表現をしたい時は「根本的」を、物事の根源を正しい状態に戻すことを表現したい時は「抜本的」を使うようにしましょう。

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