似た意味を持つ「カタルシス」と「カタストロフィ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「カタルシス」と「カタストロフィ」という言葉は意味が大きく異なりますが、混同して使われる傾向があります。
カタルシスとカタストロフィの違い
カタルシスとカタストロフィの意味の違い
カタルシスとカタストロフィの違いを分かりやすく言うと、カタルシスは純化を表現する時に使い、カタストロフィは破滅を表現する時に使うという違いです。
カタルシスとカタストロフィの使い方の違い
一つ目のカタルシスを使った分かりやすい例としては、「悲劇ばかりではなく笑いのカタルシスにも大きな力がある」「他人のカタルシスを得る方法が自分にはあまり効果がないこともあるだろう」「カタルシスを営業の際に役に立てることもできる」などがあります。
二つ目のカタストロフィを使った分かりやすい例としては、「連続的なカタストロフィに当時の国民は希望を見失っていた」「戦争も一種のカタストロフィと言える気がする」「その作品のカタストロフィは他に無い描写であるため好んでいる」などがあります。
カタルシスとカタストロフィの使い分け方
カタルシスとカタストロフィはどちらも演劇用語として使われている言葉ですが、それぞれ表すものは大きく異なります。
カタルシスは、芸術作品を鑑賞することで、日々の不平不満などの負の感情と別れて軽快な気持ちになる浄化や純化を意味する言葉として使われています。
一方のカタストロフィは、突然大きく変わることや大きな破滅を意味する言葉で、演劇用語として使われる場合には、物語の最終部分において悲劇的な結末が決定的となったシーンや、単純に物語の結末部分を指す言葉として使われています。
そのため、カタルシスは演劇などによって軽快な気持ちになることを表し、カタストロフィは演劇などでの悲劇的な結末を表すという明確な違いがあります。
また、カタルシスのために使われる題材は悲劇が定義されていることが多いため、カタストロフィーによってカタルシスを得るなど、この二つには大きな関係があるとも言えます。
カタルシスとカタストロフィの英語表記の違い
カタルシスを英語にすると「catharsis」となり、例えば上記の「笑いのカタルシス」を英語にすると「laughter catharsis」となります。
一方、カタストロフィを英語にすると「catastrophe」となり、例えば上記の「連続的なカタストロフィ」を英語にすると「the continuum of catastrophe」となります。
カタルシスの意味
カタルシスとは
カタルシスとは、浄化や純化を意味しています。
表現方法は「カタルシスを感じる」「カタルシスを得る」「カタルシス効果」
「カタルシスを感じる」「カタルシスを得る」「カタルシス効果」などが、カタルシスを使った一般的な言い回しです。
カタルシスの使い方
カタルシスを使った分かりやすい例としては、「泣くカタルシス以外にも心の中の毒素を排出する方法はある」「カタルシス効果によって激しい感情噴出が引き起こされた」「スポーツで汗を流すことはカタルシスを感じられる行為だ」などがあります。
その他にも、「カタルシスを得るためにも時間を作りたい」「自分のストレス発散方法で他者もカタルシスを得ることができるとは限らない」「悲劇を見てカタルシスを感じる人もいれば喜劇を見て笑いで鬱憤を晴らす人もいる」などがあります。
カタルシスは英語で「catharsis」と表記され、想像的経験による感情の浄化、抑圧感情を取り除かせようとする精神療法を意味し、日本語でも同じように「重苦しい気持ちを解放すること」の意味で使われています。
哲学や心理学において浄化を意味するギリシア語が由来となった言葉で、アリストテレスが悲劇によって観客に怖れや憐みの感情を植え付けることで精神を浄化する効果という定義で使用していたことから、演劇用語として使われることとなります。
後に、医学用語として体内の浄化などの治療行為を表す言葉として使われることになり、フロイトが悲惨な話を聞いて涙を流す行為や、それによって不安などの情動を解放する反応をカタルシスと呼んだことから精神療法用語としても使われるようになります。
カタルシスの対義語
カタルシスの対義語・反対語としては、欲求を阻止するような環境や、その環境に身を置いて八方塞がりな状態を意味する「フラストレーション」があります。
カタルシスの類語
カタルシスの類語・類義語としては、抑圧されていた様々な不安や緊張などが激しい形で解放されることを意味する「解除反応」があります。
カタストロフィの意味
カタストロフィとは
カタストロフィとは、大変動や破滅を意味しています。
その他にも、演劇や小説などの物語における悲劇的な結末や大詰めを表す言葉として使われることもあります。
カタストロフィの使い方
「予想以上のカタストロフィが描写された作品だった」「忍び寄るカタストロフィには環境問題も含まれている」「いつ地震によるカタストロフィが引き起こされるか分からない」などの文中で使われているカタストロフィは、「破滅」の意味で使われています。
一方、「劇的なカタストロフィに目を奪われた」「カタストロフィでは登場人物の感情変化も描写されている」「カタストロフィを迎えて大団円となった」などの文中で使われているカタストロフィは、「物語の結末」の意味で使われています。
カタストロフィは英語で「catastrophe」と表記され、大惨事や大災害、破滅、結末、大変動を意味します。日本語でも同じように使われ、「キャタストロフィ」と表記されることもあります。「倒す」を意味するギリシア語が語源となっている言葉です。
演劇用語として使われる場合は劇の構成におけるクライマックスを指し、登場人物らの運命に大きな変化が訪れたことで不幸のまま物語を終えることを表します。これが転じて、悲劇ではなくとも物語の結末を表すこともあり、大団円の意味で使われることもあります。
カタストロフィの対義語
カタストロフィの対義語・反対語としては、新しく作り出すことを意味する「創造」、勢いの盛んなことを意味する「隆盛」、栄えることを意味する「繁栄」があります。
カタストロフィの類語
カタストロフィの類語・類義語としては、事がまとまらずに収拾のつかない場面を意味する「破局」、天災や戦争などによる惨い不幸を意味する「惨禍」、突然身に降りかかる災いを意味する「災難」などがあります。
カタルシスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、浄化や純化を意味する時などが挙げられます。
宗教的に使われる場合は穢れを除去することを、医学的に使われる場合は排泄することを指していますが、今日では「心の中の抑圧された感情を解放すること」「心のモヤモヤをスッキリさせること」といった意味で使われていることがほとんどです。
カタストロフィの例文
この言葉がよく使われる場面としては、大変動や破滅を意味する時などが挙げられます。
例文4と例文5のように、「物語の結末」を意味する言葉としても使われています。
カタルシスとカタストロフィのどちらを使うか迷った場合は、純化や浄化を表す場合は「カタルシス」を、破滅や大変動を表す場合は「カタストロフィ」を使うと覚えておけば間違いありません。