似た意味を持つ「場末」(読み方:ばすえ)と「郊外」(読み方:こうがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「場末」と「郊外」という言葉は、どちらも「都心から離れた場所」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
場末と郊外の違い
場末と郊外の意味の違い
場末と郊外の違いを分かりやすく言うと、場末とは町はずれだけでなく寂れたイメージを表し、郊外とは都市に隣接した場所のみを表すという違いです。
場末と郊外の使い方の違い
一つ目の場末を使った分かりやすい例としては、「町の場末に家を建てる」「場末の酒場で一杯ひっかける」「場末のバーでホステスをしています」「場末のカラオケで盛り上がる」「場末のシネマのような安っぽいセリフだ」「母屋から場末感漂う写真が出てきた」などがあります。
二つ目の郊外を使った分かりやすい例としては、「都心に住むか郊外に住むか悩んでいます」「私の住む街が人気の郊外の街にランクインした」「郊外型の住宅開発が進められました」「都心にあるチェーン店が郊外に展開するようだ」などがあります。
場末と郊外の使い分け方
場末と郊外という言葉は、どちらも都心から離れた場所や、中心部から少し離れた地域を表します。二つの言葉はほぼ同じような意味を持ちますが、使い方には違いがあります。
場末とは、繁華街の中心部から離れた場所を意味します。「町の場末」「場末の酒場」のように、地理的に町はずれである場所を表す一方、「場末感漂う写真」「場末の女」のように、懐かしさや寂れた感じのイメージで用いられることもあります。
郊外とは、都市に隣接した市街地周辺を意味します。上記の例文にあるように、都心という言葉と対比して使われることが多く、地理的に都心から外れた場所を表す時に一般的に用いられています。場末のような付随するイメージはありません。
つまり、場末は地理的な場所を表すだけでなく、寂れたイメージを表すことがあり、郊外は地理的な場所のみを表す言葉なのです。
場末と郊外の英語表記の違い
場末も郊外も英語にすると「outskirts」「suburb」となり、例えば上記の「町の場末」を英語にすると「the outskirts of the city」となります。
場末の意味
場末とは
場末とは、繁華街の中心部から離れた場所、都心からはずれた所を意味しています。
場末の読み方
場末の読み方は「ばすえ」です。誤って「ばまつ」「じょうまつ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「場末のスナック」「場末の街」「場末感」
「場末のスナック」「場末の街」「場末感」などが、場末を使った一般的な言い回しです。
場末の使い方
場末を使った分かりやすい例としては、「場末のスナックで働いています」「旨い場末の焼き肉屋に案内するよ」「叔父に会うために場末の町を訪れる」「そのゲームセンターは場末にありました」「場末のパーマ屋を予約した」などがあります。
その他にも、「場末のキャバレーに連れて行かれた」「都心なのに場末感のある街だ」「この場末感漂う居酒屋が心地よい」「宿泊したホテルは場末感で溢れていました」「哀れな場末の女に成り下がってしまった」などがあります。
場末の語源
場末とは、都市の中心からはずれた所や町はずれを意味します。場末の「場」は何かが行われる所、盛り場を表し、「末」は広い地域の最も端の所を表します。場末の語源は、「盛り場から離れた所」「繁華街のはずれ」になります。
場末は、古びたイメージや廃れたイメージを伴う言葉です。上記の例文にある「場末感」はこのニュアンスが強く、実際には町はずれではなくとも、栄えておらず寂しい雰囲気のある場所を表します。また、「場末の女」は、場末のような落ちぶれた雰囲気を漂わす女性を表現しています。
場末の対義語
場末の対義語・反対語としては、大都会の中心部を意味する「都心」、いつも人がたくさん集まっている場所を意味する「盛り場」、商店などが建ち並び多くの人でにぎわっている地域を意味する「繁華街」などがあります。
場末の類語
場末の類語・類義語としては、路地をはいり込んだ表通りに面していない所を意味する「路地裏」、表通りの裏側にある町を意味する「裏町」、表通りから横へ入った町筋を意味する「横丁」、狭くむさくるしい町を意味する「陋巷」などがあります。
郊外の意味
郊外とは
郊外とは、都市に隣接した地域、市街地周辺の田園地帯を意味しています。
郊外の使い方
郊外を使った分かりやすい例としては、「退職したら郊外に住むつもりです」「郊外住宅地での地域問題は変化しています」「金沢市郊外のおいしい店を紹介します」「郊外電車の初乗り運賃が値上げされます」などがあります。
その他にも、「賑やかな都心よりも静かな東京郊外に住みたい」「郊外にある英語教室の講師をしています」「人口増加に伴って郊外化が進みました」「ニュータウンからの都心回帰という逆郊外化が起こる」などがあります。
郊外とは分かりやすく言うと、都市の周辺地域のことです。はっきりした定義はありませんが、オフィスビルが建ち並ぶ都心から離れた、通勤に便利な住宅地やベッドタウンを指すことが多い言葉です。郊外の「郊」は都の外、「外」は特定の範囲から離れた外側を表します。
「郊外化」の意味
郊外を用いた日本語には「郊外化」があります。郊外である都市の周辺地域において、都市的要素と農村的要素が混在するようになるまでの変化を指していう言葉です。消費活動の多くが郊外に移転する現象であり、飲食業を経営する店舗も商圏を郊外に移動させるようになっています。
郊外の対義語
郊外の対義語・反対語としては、人が多数住み商工業や文化が発達していたりする土地を意味する「都会」、その地方の政治経済や文化の中心となっている地域を意味する「都市」などがあります。
郊外の類語
郊外の類語・類義語としては、都市周辺の地域を意味する「近郊」、市の周辺の地域を意味する「市外」、都会から離れた地方を意味する「田舎」、都会から離れた地方を意味する「在所」などがあります。
場末の例文
この言葉がよく使われる場面としては、賑やかな町の中心部から離れた所を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある「場末」は、賑やかな繁華街から離れた地理的な場所の意味で用いられています。一方、例文5の「場末感」は、寂れた場所のような感じの意味で使われ、地味であったり落ちぶれていたりする人の雰囲気を表現しています。
郊外の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 都市に隣接した地域、市街地に隣接した田園地帯を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「田舎」と「郊外」の違いは、田舎は都市部から距離のある場所であり、自然に恵まれた地域であることに対し、郊外は都市部に隣接した場所であり、住宅地が広がる地域であることにあります。
場末と郊外という言葉は、どちらも「都心から離れた場所」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、廃れて寂しいイメージを表現したい時は「場末」を、地理的に都市に隣接した場所を表現したい時は「郊外」を使うようにしましょう。