似た意味を持つ「烏合の衆」(読み方:うごうのしゅう)と「有象無象」(読み方:うぞうむぞう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「烏合の衆」と「有象無象」という言葉は、どちらもくだらない群衆や集団のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「烏合の衆」と「有象無象」の違い
「烏合の衆」と「有象無象」の意味の違い
「烏合の衆」と「有象無象」の違いを分かりやすく言うと、「烏合の衆」とは集団そのものに意味がないこと、「有象無象」とは一人一人がつまらないことという違いです。
「烏合の衆」と「有象無象」の使い方の違い
一つ目の「烏合の衆」を使った分かりやすい例としては、「ハロウィンの渋谷は烏合の衆で埋め尽くされた」「緊急時にはまとめる人がいないと烏合の衆になってしまう」「彼らのような集団を烏合の衆と言うのだろう」などがあります。
二つ目の「有象無象」を使った分かりやすい例としては、「有象無象の言うことなんて聞く意味がないだろう」「このお店は有象無象と言いたくなるものばかり売っている」「有象無象の人に関わる時間が惜しい」「彼女は有象無象を相手に演説をしました」などがあります。
「烏合の衆」と「有象無象」の使い分け方
「烏合の衆」と「有象無象」はどちらもくだらない群衆や集団のことの意味しており、大きな違いはありません。
あえて違いを挙げるならば、「烏合の衆」は集団そのものに意味がないこと表現している場合に使い、「有象無象」は集団の中の一人一人がつまらないことを意味しているというのが違いです。
つまり、「有象無象」は集団を指している言葉ですが、つまらない人が集まってできた集団になります。
また、「烏合の衆」はことわざなのに対して、「有象無象」は四字熟語というのも違いの一つです。
「烏合の衆」と「有象無象」の英語表記の違い
「烏合の衆」を英語にすると、「a rabble」「disorderly crowd」「a mob」となり、例えば上記の「ハロウィンの渋谷は烏合の衆で埋め尽くされた」を英語にすると「Shibuya on Halloween was filled with a disorderly crowd」
一方、「有象無象」を英語にすると「the riffraff」「the mob」「a rabble」となり、例えば上記の「彼女は有象無象を相手に演説をしました」を英語にすると「she made a speech before the rabble」となります。
「烏合の衆」の意味
「烏合の衆」とは
「烏合の衆」とは、規律も統一もなく寄り集まった群衆のことを意味しています。
「烏合の衆」の読み方
「烏合の衆」の読み方は「うごうのしゅう」です。誤って「ちょうごうのしゅう」などと読まないようにしましょう。また、「烏合の衆」の「烏」は、「鳥」(読み方:とり)ではなく「烏」(読み方:からす)なので間違ないように注意が必要です。
表現方法は「烏合の衆と化す」「烏合の衆に過ぎない」「烏合の衆では負け戦」
「烏合の衆と化す」「烏合の衆に過ぎない」「烏合の衆では負け戦」などが、「烏合の衆」を使った一般的な言い回しになります。
「烏合の衆」の使い方
「烏合の衆」を使った分かりやすい例としては、「まとめ役がいないため彼らは烏合の衆と化している」「いくら人を集めても烏合の衆では役に立たないだろう」「敵は烏合の衆なのでこの戦は勝てるだろう」などがあります。
「烏合の衆」は規律も統一もなく寄り集まった群衆のことを意味しており、役に立たない集団というマイナスなイメージを持って使う言葉です。
「烏合の衆」を使う上で注意しなければならないのは、能力がない人の集団を指しているという意味ではない点です。ただ単にまとまりがないだけで、一人一人が無能ということは意味してるわけではありません。
「烏合の衆」の由来
「烏合の衆」の由来は中国の古典後漢書の耿弇伝(読み方:こうえんでん)になります。武将である耿弇が部下のやりとりの中で、「烏合の衆など簡単に蹴散らすことができる」と述べていた記述がありました。
また、「烏合」とはカラスの集まりのことで、カラスが集まってもただ騒ぐだけで統一性に欠けています。このことが転じて、規律も統一もなく寄り集まった群衆のことを「烏合の衆」と言うようになりました。
「烏合の衆」の類語
「烏合の衆」の類語・類義語としては、徒党を組んで乱暴を働く者のことを意味する「暴徒」、系統も考えずにただ単に寄せ集めたもののことを意味する「寄せ集め」、群がり集まった人々のことを意味する「群衆」などがあります。
「有象無象」の意味
「有象無象」とは
「有象無象」とは、数は多いが種々雑多なくだらない人や物のことを意味しています。その他にも、形を持つものと持たないもののことの意味も持っています。
「有象無象」の読み方
「有象無象」の読み方は「うぞうむぞう」です。誤って「ゆうしょうむしょう」「ゆうぞうむぞう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「有象無象の一人」「有象無象の輩」「有象無象の集まり」
「有象無象の一人」「有象無象の輩」「有象無象の集まり」などが、有象無象を使った一般的な言い回しです。
「有象無象」の使い方
「有象無象」を使った分かりやすい例としては、「彼にとって私たちは有象無象に過ぎないのだろう」「有象無象の商品にならないよう努力いたします」「あなたのような有象無象に私の気持ちは分かりません」などがあります。
「有象無象」は二つの意味を持つ言葉ですが、形を持つものと持たないもののことの意味は仏教用語であり、一般的には使われていません。そのため、数は多いが種々雑多なくだらない人や物のことと覚えておけば問題ないでしょう。
「有象無象」はビジネスシーンでも使うことができる言葉ですが、皮肉や嫌味を含んだマイナスなイメージを持つ言葉なので、目上の人には使わないように注意しましょう。主に自分を謙遜する場合に使うことが多いです。
「有象無象」の語源
「有象無象」の語源は「有相無相」(読み方:うそうむそう)という仏教用語です。「有相無相」は形を持つものと持たないもののことを意味しており、この世の全てを意味する言葉として仏教の世界で使われていました。
しかし、「相」という言葉が一般的に理解されにくかったため、「象」という漢字が当てられて「有象無象」になりました。
また、「有象無象」が数は多いが種々雑多なくだらない人や物のことの意味で使われるようになったのは、語感が「うじょうじょ」「うじゃうじゃ」に似ていたのが理由となっています。
「有象無象」の類語
「有象無象」の類語・類義語としては、つまらない人物のことを意味する「小物」、地位の低い者や取るに足りない者のことを意味する「雑魚」、取るに足らない人物のことを意味する「雑輩」(読み方:ざっぱい)などがあります。
「烏合の衆」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、規律も統一もなく寄り集まった群衆のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「烏合の衆」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「有象無象」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数は多いが種々雑多なくだらない人や物のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「有象無象」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「烏合の衆」と「有象無象」はどちらもくだらない群衆や集団のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、集団そのものに意味がないこと表現している時は「烏合の衆」を、一人一人がつまらないことを意味している時は「有象無象」を使うかと覚えておきましょう。