【有る】と【在る】と【或る】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「ある」という読み方、似た意味を持つ「有る」と「在る」と「或る」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「有る」と「在る」と「或る」という言葉は、どれも存在することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。

有ると在ると或るの違い

有ると在ると或るの違いを分かりやすく言うと、有るとは備わっていること、在るとは場所に位置すること、或るとは漠然とした物事を意味しているという違いです。

三つの言葉は意味は違いますが、どれも普通は「ある」とひらがなで表記されます。この方針は、国が定めた「公用文における漢字使用等について」などで決められたものです。

有ると或るは動詞で「がある」「である」というように使われ、或るは「ある日」「ある本」などのように名詞の頭につく連体詞です。

一つ目の「有る」は「物事が備わっている」というニュアンスの「ある」です。有るという言葉にこのようなニュアンスがあることは、「所有」(読み方:しょゆう)という言葉を思い出してみると納得出来ます。

例えば「権利がある」や「お金がある」は所有するという意味なので、漢字にすると「有る」です。また「熱がある」も持っているという意味なので「有る」です。「熱を持つ」という言い方があることも考えてみて下さい。

二つ目の「在る」は「場所にある」という意味の「ある」です。人がいるところを意味する「所在」(読み方:しょざい)という言葉から、在るにはこのような意味があることが分かります。

例えば「実家は九州にある」は具体的な場所に位置しているという意味で、「支配下にある」は力関係や地位という意味で、それぞれ漢字にすると「在る」です。

日本語では地位も比喩的に場所のようなイメージで表現されます。例えば「在位」や「在職」などの言葉を考えてみて下さい。地位や力関係が場所と結びつけられることは、例えば上座や下座の座り方の風習の中にも定着しています。

ただし、「有る」と「在る」のどちらを使っても良い場合もあります。例えば「庭に池がある」や「家にベランダがある」のような場合を考えてみて下さい。

これらの「ある」は空間的な場所を意味している点では「在る」ですが、庭や家から見れば所有の意味が強くなり、「有る」になります。

三つ目の「或る」は「物事を漠然と意味する」というニュアンスの連体詞です。他の二つの言葉とは意味が違いますが、語源的な繋がりがあるので、有るや在ると同様に「存在する」というニュアンスを持ちます。

「ある晴れた日」の「ある」は「何月何日とははっきり言わないけれど、晴れの日があった」という意味なので漢字にすると「或る」です。「ある女」や「ある筋の話」なども同じです。

ただし「中心に駅のある街」の「ある」は動詞で、その場所にあるという意味なので漢字にすると「在る」です。或るは連体詞で文法上の役割が他の二つとは違うので、注意して下さい。

繰り返しになりますが、三つの言葉はどれも普通は「ひらがな」で表記されますので、どの意味で使われているかをその都度判断する必要があります。

有るの意味

有るとは、所有や含有、身につけるという意味の「ある」を意味しています。

例えば「彼には資産がある」は所有という意味で「有る」で、「演技に貫録がある」は含むという意味で「有る」で、「教養がある」は身につけているという意味で、それぞれの「ある」は漢字に直せば「有る」になります。

ただし普通「有る」と表記されることはなく、ひらがなで書かれます。なぜかと言えば「在る」とどちらを使っても良いケースもあれば、どちらの「ある」にも正確には当てはまらないようなものも存在するからです。

例えば「校内にプールがある」の「ある」は、普通は場所の意味で「在る」という漢字になりますが、学校の敷地内にプールという施設が含まれているという意味で「有る」と表記することも出来ます。

また例えば「彼の口から謝罪の言葉があった」の「ある」は、場所の「在る」でも所有の「有る」でもない「ある」です。また「一瞬間があった」の「ある」も、どちらとも言えない「ある」だと考えられます。

有るという言葉は知識としては覚えておくことが好ましいですが、実際に使うことはほとんどないです。

有るの有の字を使った別の言葉としては、効果を持つことを意味する「有効」、心を持っていることを意味する「有情」、一つの物を複数人で所有することを意味する「共有」、やろうとする意志を持っていることを意味する「有志」などがあります。

在るの意味

在るとは、物が場所に位置していること、ある関係性の中で位置を持っていることを意味しています。

例えば「東京渋谷には明治神宮がある」や「パリにあるカフェ」などは現実の世界の空間の中に位置しているという意味なので、漢字にすると「在る」です。また「日本の漢字文化は中国の影響下にある」も漢字にすると「在る」です。

「影響下にある」という意味での「在る」は比喩的な意味で使われています。一般に、日本語では地位や力関係などは場所的なイメージと結びつきます。

王様の位に就いていることを意味する「在位」、職業に就いていることを意味する「在職」、ある任務に就いていることを意味する「在任」などはそうした地位や力関係という比喩的な使い方をされている「在」です。

地位や力関係と場所との結びつきは、例えば上座や下座といった慣習にも見て取ることが出来ます。

「有る」と同じく「在る」は普通は漢字で表記されることはなく、ひらがなで書かれます。もちろん「公用文における漢字使用等について」などで国が指針を定めているからなのですが、言葉の意味に即した説明も出来ます。

理由は二つあります。在ると有るのどちらを使っても良いケースもあれば、どちらにも正確には当てはまらない「ある」も存在するからです。

例えば「グラウンドの脇には花壇がある」は普通は「在る」という場所を表す漢字になりますが、学校の敷地内に花壇が含まれているという意味で「有る」と表記することも出来ます。

ただし「東京に本社がある」の場合は「在る」という場所の意味にしかなりません。東京都という行政機構は会社を所有することは出来ないからです。逆に学校のグラウンドの例は、花壇は学校の所有物なので帰属や所有を表す「有る」を使うことが出来るのです。

また、例えば「君に言いたいことがある」の「ある」は、場所の「在る」でも所有の「有る」でもありません。

このように、どちらとも言えない「ある」が存在することから、普通は漢字ではなく「ある」とひらがな表記をする決まりになっています。ただし、使うことはなくともニュアンスを覚えておくことは、日本語の理解力を高めることに繋がります。

在るの類義語としては、人がある場所に存在することを意味する「居る」などがあります。現代語では、人を含めた動物に対しては普通ひらがな表記の「いる」を用います。

「いる」は例えば「彼には娘が一人いる」などのように用いられますが、戦前の小説などでは「娘がある」というような表現も見られます。

在るの在の字を使った別の言葉としては、過去と未来の間にある今を意味する「現在」、表立って表れず、内側に潜んでいることを意味する「潜在」、いなかにいることを意味する「在郷」、変わらず元気でいることを意味する「健在」などがあります。

或るの意味

或るとは、漠然とした物事を意味しています。或るも他の二つの言葉と同じく普通はひらがなで表記されます。

他の二つの言葉は動詞ですが、或るだけは連体詞という品詞で、名詞の前に付きます。例えば「ある朝」は特定の朝を指さずに漠然と朝を指します。また「とある筋の話によると」などのような表現もあります。

この言葉が使われる時は、具体的にどれなのか特定する必要がない時や、特定したくない時などが挙げられます。

例えば「ある日」は、物語の始まる予感を抱かせる言葉ですが、物語にとって大切なのは話の中身であって日付はどうでもいい、というような場合にこの言葉が使われます。また「とある筋の話によると」には情報の出所を明確にしたくないという意図が感じられます。

有るの例文と使い方

1.最初の5分で子供の才能の有る無しを見分けることが出来るという。
2.人生にはきっと何らかの意義が有るに違いない。
3.弟は今日は宿題が有るといって、一緒にテレビを見ようとしない。

この言葉がよく使われる場面としては、所有・含有・帰属の意味で「ある」を表現したい時などが挙げられます。ただし有ると在るは厳密に使い分けがあるわけではないので、「ある」とひらがな表記されること一般的です。

例文1の「有る無し」という言葉は「有無」(読み方:うむ)と同じ意味です。この慣用表現から分かるように、無しの対義語は有るであって、在るではありません。

例文2は「有意義」と読み替えて下さい。「有罪」「有名」「有益」など、有が先頭に付く熟語は普通「それがある」という意味になります。有意義は意義があること、有罪は罪があること、有名は名が(知れ渡って)あること、有益は益があることです。

在るの例文と使い方

1.今日と明日で東京に在る観光名所を巡る。
2.事件が在った現場で花を手向ける多くの人々をテレビカメラが逃すはずがなかった。
3.彼は以後、没するまでその職に在った。

この言葉がよく使われる場面としては、場所に「ある」ことや、地位や関係性が「ある」ことを表現したい時などが挙げられます。「在る」は例文1と2では具体的な場所の意味で、例文3の場合は地位の意味で使われています。

ただし「在る」も「有る」同様に普通はひらがなで書かれます。在という漢字は「存在」「所在」「在住」などの熟語に使われていることがほとんどです。

或るの例文と使い方

1.その日、或る列車で田舎に帰った。
2.或る夜、寝室で眠りについていると、リビングから物音が聞こえてきたんだ。。
3.或るルートから得た情報によると、犯人は明日の朝、必ずこの道を通る。

この言葉がよく使われる場面としては、対象を特定することなく漠然と表現したい時などが挙げられます。或るも他の二つの言葉と同様にひらがなで表記されるのが普通ですが、動詞ではなく連体詞で、名詞の前に付きます。

「或る」は明確にしないために使われる言葉です。「ある日」は「無数にある日の一つだが、どれかは明確ではない」という意味で、「ある情報筋」は「情報ルートは無数にあり、その中のどれか一つだが、どれかは伏せておく」というニュアンスがあります。

なお、例文1に関係して、例えば「趣きのある列車」の場合の「ある」は「有る」です。表記はひらがなで同じでも、意味は異なりますので注意して下さい。