【臨戦態勢】と【戦闘態勢】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「臨戦態勢」(読み方:りんせんたいせい)と「戦闘態勢」(読み方:せんとうたいせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「臨戦態勢」と「戦闘態勢」という言葉は、どちらも「戦いに備えること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




臨戦態勢と戦闘態勢の違い

臨戦態勢と戦闘態勢の意味の違い

臨戦態勢と戦闘態勢の違いを分かりやすく言うと、臨戦態勢とは戦いに備えることだけでなく物事の準備が整っていることも表し、戦闘態勢とは戦いに備えることのみを表すという違いです。

臨戦態勢と戦闘態勢の使い方の違い

一つ目の臨戦態勢を使った分かりやすい例としては、「敵国の攻撃に備えて臨戦態勢を整えている」「各党が一気に衆院選の臨戦態勢に入る」「開幕戦にむけて臨戦態勢は万全です」「新システム稼働にあたり臨戦態勢をとる」などがあります。

二つ目の戦闘態勢を使った分かりやすい例としては、「軍の核抑止部隊が戦闘態勢を整える」「アクションゲームの戦闘態勢を解除する」「カマキリが戦闘態勢になっている写真をSNSに投稿する」「決勝戦に向け戦闘態勢を整える」などがあります。

臨戦態勢と戦闘態勢の使い分け方

臨戦態勢と戦闘態勢という言葉は、どちらも戦争あるいは競争や勝負など、戦いに対処するための備えが整っている状態を意味します。二つの言葉はほぼ同じ意味を持つため、上記の例文にある「戦闘態勢を整える」「臨戦態勢に入る」は、互いに置き換えて使うことができます。

さらに臨戦態勢という言葉は、気持ちを引き締めて取り組まなければならない場面で、物事に対処できるよう準備を整えている様子も表します。

上記の例文にある「新システム稼働にあたり臨戦態勢をとる」とは、新システムの誤作動やトラブルに対応できるようサポート体制を備えていることを表します。戦闘態勢にはこのような意味がないため、この文の「臨戦態勢」は「戦闘態勢」に置き換えることができません。

二つの言葉を比べると、戦闘態勢よりも臨戦態勢の方が広い意味を持ち、幅広いシーンで使われる言葉なのです。

臨戦態勢と戦闘態勢の英語表記の違い

臨戦態勢を英語にすると「preparation for action」「preparedness for war」となり、例えば上記の「臨戦態勢を整えている」を英語にすると「be prepared for war」となります。

一方、戦闘態勢を英語にすると「combat readiness」「battle readiness」「fighting trim」となり、例えば上記の「戦闘態勢を整える」を英語にすると「make fighting trim」となります。

臨戦態勢の意味

臨戦態勢とは

臨戦態勢とは、いつでも戦えるように戦闘の準備が整った状態を意味しています。

表現方法は「臨戦態勢をとる」「臨戦態勢に入る」「臨戦態勢を整える」

「臨戦態勢をとる」「臨戦態勢に入る」「臨戦態勢を整える」などが、臨戦態勢を使った一般的な言い回しです。

臨戦態勢の使い方

臨戦態勢を使った分かりやすい例としては、「司令官は臨戦態勢を取るように命じた」「これより全軍を結集し臨戦態勢に入る」「軍を臨戦態勢に移している」「隣国で猛威をふるう疫病に政府は臨戦態勢で臨む方針だ」などがあります。

その他にも、「電力会社は猛暑を予想し臨戦態勢を整える」「商談前に万全の臨戦態勢をとる」「新規ビジネスの着手に向けて臨戦態勢は万全です」「イラスレーターは締切前の臨戦態勢に入っている」などがあります。

臨戦態勢という言葉は、「臨戦」と「態勢」から成る複合語です。臨戦は戦いに臨むことや戦闘に対応すること、態勢はある物事や情勢に対してとる構えを表し、臨戦態勢とは、予想される戦いに対処するための備えを意味します。

臨戦態勢は、基本的に戦争や戦闘について使用される軍事用語ですが、日常的には「予想される事態に対処するための準備」の意味で用いられています。熾烈な戦いとなる選挙戦や、緊張感のある取引などビジネスシーンでも使用される言葉です。

臨戦態勢の対義語

臨戦態勢の対義語・反対語としては、事が起こってから慌てて対策を立てたり準備をしたりすることを意味する「泥縄」などがあります。

臨戦態勢の類語

臨戦態勢の類語・類義語としては、いつでも戦場にいる心構えで事をなせという心得を意味する「常在戦場」、想定できる危機を厳重に警戒した人や物の配置を意味する「厳戒態勢」、敵や迫りくるものに対し対応できる姿勢をとることを意味する「身構える」などがあります。

戦闘態勢の意味

戦闘態勢とは

戦闘態勢とは、いつでも交戦できる準備が整った状態を意味しています。

表現方法は「戦闘態勢を整える」「戦闘態勢に入る」「戦闘態勢をとる」

「戦闘態勢を整える」「戦闘態勢に入る」「戦闘態勢をとる」などが、戦闘態勢を使った一般的な言い回しです。

戦闘態勢の使い方

戦闘態勢を使った分かりやすい例としては、「大統領は戦闘態勢に入るよう指示しました」「両軍は戦闘態勢を整えている」「西太平洋においてアメリカ軍との戦闘態勢に入れり」「有事には即座に戦闘態勢をとることができます」などがあります。

その他にも、「日本代表はカタール戦に向けて戦闘態勢を整える」「英語講師は戦闘態勢を崩すなと受験生を鼓舞しました」「獲物を狙う猫の戦闘態勢をイラストにする」「犬が体をグッと低くする戦闘態勢になっている」などがあります。

戦闘態勢とは、いつても戦闘に臨むことができるように準備や構えが整っていることを意味する言葉です。もともとは軍事用語ですが、現在では戦争だけではなく、スポーツの試合や大学受験などあらゆる競争や争いの場面で使われています。

「戦闘体制」は誤り

戦闘態勢の誤った表記には「戦闘体制」があります。「態勢」と「体制」は同じく「たいせい」と読みますが意味は異なり、態勢は一時的な対応や身構えを表すことに対し、体制は持続的な組織や仕組みを表します。

戦闘態勢の対義語

戦闘態勢の対義語・反対語としては、武力紛争が起こらないように戦闘のための装備を取り去ることを意味する「武装解除」などがあります。

戦闘態勢の類語

戦闘態勢の類語・類義語としては、戦いの陣をしくことを意味する「布陣」、軍の陣立てを意味する「軍陣」、外敵や災害を防ぐための備えを意味する「防備」、戦いのための陣営を意味する「戦陣」、戦うための姿勢や戦う意志を示す構えを意味する「ファイティングポーズ」などがあります。

臨戦態勢の例文

1.大統領は、今後予想される戦争に備えて臨戦態勢を整えるよう国軍に求めました。
2.合格のカギとなる英語を得意科目にして、大学受験の臨戦態勢を早めに構築しよう。
3.半年後の選挙に向けて、与党は候補者を決めて臨戦態勢をとるが、野党側の各政党は候補者を絞り切れていないようだ。
4.こだわりのビジネススーツを身に纏うと、臨戦態勢の仕事モードに切り替わります。
5.明日リリースするシステムにトラブルが起きた場合に備えて、臨戦態勢をとる予定です。
6.早く帰る約束をすっぽかし飲み会で午前様の旦那を臨戦体制で待っていたのだが、わたしが大好きな限定スイーツを差し出し土下座されたので許すことにした。
7.当時軍全体が敵国の攻撃に備えて臨戦態勢を整えていたが、国民にはその情報が十分に伝えられていなかった。
8.サッカークラブチームの監督は、開幕戦に向けて臨戦態勢は万全と言っていたのに結果は伴いませんでした。
9.弊社ではすべてのシステムを入れ替えて、新システムの稼働へ臨戦態勢をとっているので、社内では緊張感が漂っている。
10.来週の商談を前に臨戦態勢をとるために、資料集めやらプレゼンのリハーサルやらいろいろやることがありました。

この言葉がよく使われる場面としては、戦闘を目前に控えている様子を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、臨戦態勢という言葉は、戦争に関してだけでなく、受験やスポーツあるいはビジネスの場など、競い合う場面や緊迫したシーンで用いられています。

戦闘態勢の例文

1.将軍は、敵が攻め込んでる前に戦闘態勢を整えるよう家臣に命じました。
2.百姓たちは槍の使い方を教えられていたため、すぐに戦闘態勢に入ることができました。
3.幕府は十分に戦闘態勢を整えることができず、徳川家による政治体制が崩壊することとなりました。
4.私はTOEIC試験に向けて戦闘態勢に入り、英語漬けの生活を送っています。
5.お掃除ロボットが動き出すと、我が家の猫は背中を丸めた威嚇ポーズをして「攻撃できるぞ!」という戦闘態勢になる。
6.私は取引先とは穏便に付き合いたいが、先輩は常に新しい提案を欠かさずいつでもさあいくよ!と戦闘態勢全開で向かうので、営業成績の違いは歴然だった。
7.敵軍による首都包囲作戦が失敗に終わったところで、我が軍には戦闘態勢の立て直しのチャンスがやってきた。
8.スポーツニュースでは、母校のサッカーチームが決勝戦に向け戦闘態勢を整えている様子が伝えられていた。
9.有事に際しては即座に戦闘態勢をとることができるようにはなっているが、それでも不安は尽きなかった。
10.私は、防戦一方の対戦相手に戦闘態勢を整えるすきを与えないようにプレッシャーを与え続けた。

この言葉がよく使われる場面としては、陣形を整えて戦いに備えることを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の文中にある戦闘態勢は、戦場において陣形を整えることを表しています。例文4では試験を戦いの場にたとえており、例文5では攻撃の準備の意味で戦闘態勢という言葉が用いられています。

臨戦態勢と戦闘態勢という言葉は、どちらも「戦いに備えること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、戦いに備えることや物事の準備が整っていることを表現したい時は「臨戦態勢」を、戦いに備えることを表現したい時は「戦闘態勢」を使うようにしましょう。

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