似た意味を持つ「防ぐ」(読み方:ふせぐ)と「守る」(読み方:まもる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「防ぐ」と「守る」という言葉は、どちらも他から害を受けないようにすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「防ぐ」と「守る」の違い
「防ぐ」と「守る」の意味の違い
「防ぐ」と「守る」の違いを分かりやすく言うと、「防ぐ」は特別な対象がなくても使える、「守る」は特別な対象がないと使えないという違いです。
「防ぐ」と「守る」の使い方の違い
一つ目の「防ぐ」を使った分かりやすい例としては、「川の氾濫を防ぐために堤防を作る」「すきま風を防ぐために布を当てました」「泥棒を防ぐために防犯カメラを設置する」「この薬は吐き気を防ぐ役割があります」などがあります。
二つ目の「守る」を使った分かりやすい例としては、「彼の名誉を守るために私たちは立ち上がりました」「伝統を守ることはとても大切です」「集団生活をする上で規則を守ることは必要だろう」「危険から身を守る」などがあります。
「防ぐ」と「守る」の使い分け方
「防ぐ」と「守る」はどちらも他から害を受けないようにすることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「防ぐ」は好ましくない事態が生じないようにすることを意味する言葉で、好ましくないものを遮って中に入れないようにするというニュアンスで使います。
そのため、「事故を未然に防ぐ」「風邪を防ぐためにマスクをする」などのように、特別な対象がなくても使うことができます。
一方、「守る」は侵されたり害が及ばないように防ぐことを意味しており、「子供を犯罪から守る」「国を守るために私は戦います」などのように、守りたい特別な対象がいないと使えないと覚えておきましょう。
「防ぐ」と「守る」の英語表記の違い
「防ぐ」を英語にすると「defend」「protect」「keep away」「prevent」となり、例えば上記の「この薬は吐き気を防ぐ役割があります」を英語にすると「This medicine prevents vomiting」となります。
一方、「守る」を英語にすると「defend」「guard」「protect」となり、例えば上記の「危険から身を守る」を英語にすると「protect oneself from harm」となります。
「防ぐ」の意味
「防ぐ」とは
「防ぐ」とは、好ましくないもの遮って中に入れさせないようにすることを意味しています。その他にも、好ましくない事態が生じないようにすることの意味も持っています。
表現方法は「未然に防ぐ」「感染を防ぐ」
「未然に防ぐ」「感染を防ぐ」などが、「防ぐ」を使った一般的な言い回しになります。
「防ぐ」の使い方
「本土への侵攻を防ぐために戦う」「窓を二重にして寒さを防ぐ」などの文中で使われている「防ぐ」は、「好ましくないもの遮って中に入れさせないようにすること」の意味で使われています。
一方、「二次感染を防ぐために立ち入り禁止にしました」「混乱を防ぐために警備員を配置する」などの文中で使われている「防ぐ」は、「好ましくない事態が生じないようにすること」の意味で使われています。
「防ぐ」は好ましくないもの遮って中に入れさせないようにすることと、好ましくない事態が生じないようにすることの二つの意味を持つ動詞です。
「防ぐ」の特徴
「防ぐ」は好ましくない事態や状態が生じないように、事前に対策する場合に使います。そのため、「感染症を防ぐ」「水害を防ぐ」などのように、特別な対象がなくても使えるが特徴になります。
「防ぐ」は広く一般的に使われているので、日常生活やビジネスシーンなど、様々な場面で使うことができる言葉です。
「防ぐ」の類語
「防ぐ」の類語・類義語としては、防ぎとめることを意味する「防止」、流れを遮って止めることを意味する「遮断」、ある行為をやめさせることを意味する「差し止める」、物事の進行や遂行に支障が起こるようにする「妨げる」などがあります。
「守る」の意味
「守る」とは
「守る」とは、侵されたり害が及ばないように防ぐことを意味しています。その他にも、決めたことや規則に従うこと、相手の攻撃に備え守備すること、の意味も持っています。
「守る」の別表記
「守る」は別の漢字表記として「護る」とすることもできます。
「守る」の使い方
「紫外線から肌を守るために日傘を指すようにしています」「身を守る術は身に付けた方がいいと思いますよ」などの文中で使われている「守る」は、「侵されたり害が及ばないように防ぐこと」の意味で使われています。
一方、「教えを守ることはとても大事です」「外野を守るのが私の仕事です」などの文中で使われている「守る」は、「決めたことや規則に従うことや相手の攻撃に備え守備すること」の意味で使われています。
「守る」は複数の意味を持つ動詞です。人や体だけでなく、大切にしているものが他からの攻撃などによって侵されないように防いだり、その安全を保つ場合に使います。そのため、とても幅広い範囲で使うことができると覚えておきましょう。
「守る」の特徴
また、「守る」は「約束を守る」「期限を守る」などのように、抽象的なことに対しても使うことができるというのが特徴です。
「守る」の対義語
「守る」の対義語・反対語としては、戦争や試合などでこちらから進んで戦いを仕掛けることを意味する「攻める」があります。
「守る」の類語
「守る」の類語・類義語としては、他ら害を受けないように助け守ることを意味する「かばう」、外からの危険や脅威などからかばい守ることを意味する「保護する」、敵の攻撃に対して味方を守るべく備えることを意味する「守備する」などがあります。
「防ぐ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、好ましくないもの遮って中に入れさせないようにすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、好ましくない事態が生じないようにすることを表現したい時にも使います。
例文1と例文2は好ましくないもの遮って中に入れさせないようにすること、例文3から例文4は好ましくない事態が生じないようにすることの意味で使っています。
「守る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、侵されたり害が及ばないように防ぐことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、決めたことや規則に従うことや相手の攻撃に備え守備することを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は侵されたり害が及ばないように防ぐこと、例文4は決めたことや規則に従うこと、例文5は相手の攻撃に備え守備することの意味で使っています。
「防ぐ」と「守る」はどちらも他から害を受けないようにすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、特別な対象がなくても使える「防ぐ」、特別な対象がないと使えないのが「守る」と覚えておきましょう。