【人間性】と【人柄】と【人格】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「人間性」(読み方:にんげんせい)と「人柄」(読み方:ひとがら)と「人格」(読み方:じんかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「人間性」と「人柄」と「人格」という言葉は、人間の性格という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




人間性と人柄と人格の違い

人間性と人柄と人格の意味の違い

人間性と人柄と人格の違いを分かりやすく言うと、人間性は先天的に持っている性格を表現する時に使い、人柄は対外的な性格を表現する時に使い、人格は後天的に作られる性格を表現する時に使うという違いです。

人間性と人柄と人格の使い方の違い

人間性という言葉は、「人間性を養うには本を読んだり映画を見たりするのが早いと思う」「人間性を欠いたような言動には気を付けなければならない」などの使い方で、人間の生まれ持った本質を意味します。

人柄という言葉は、「彼女の人柄が言葉の一つ一つに滲み出ている」「たった数分話しただけでわかる人柄だけでは深く付き合うことはできないだろう」などの使い方で、その人に備わっている性質や品格を意味します。

人格という言葉は、「人格者はなろうと思って一日二日でなれるものではない」「二重人格を疑うほど態度が違う女性はいっそ怖い」などの使い方で、その人の人間としてのあり方を意味します。

人間性と人柄と人格の使い分け方

人間性と人格はどちらも、人間に備わっている性格を意味する言葉ですが、前者は生まれてからの環境や社会によって培われる本質を指し、後者も周囲の環境に左右されるものではありますが、獲得したあとに矯正などができる性質を指します。

一方の人柄は、他者から見てその人が持ち合わせている性格を指す言葉で、他者の性格や立ち居振る舞いなどを見聞きして判断されるものです。そのため、考え方や根本的な部分までは、人間性や人格といった言葉のように含まれていません。

これが、人間性、人柄、人格の明確な違いです。

人間性の意味

人間性とは

人間性とは、人間の生まれ持った本質を意味しています。

表現方法は「人間性を養う」「人間性を磨く」「人間性を疑う」

人間性を使った表現として、「人間性を養う」「人間性を磨く」「人間性を疑う」「人間性に欠ける行為をするな」「豊かな人間性を育むための教育に注力する」などがあります。

「人間性が高い」は誤用の可能性あり

その他にも、「人間性が高い」という表現がされることもありますが、人間性という言葉自体が生まれた時に持ち合わせる性質を指すことから、良し悪しで表せるものではないため誤用とされることもあります。

また、社会などの環境にも左右されることから、必ずしも生まれてから身についていることがわかるものではないと考えられることもしばしばあります。

実際会話上では、人に備わっているとされる他者への配慮の心を指すことがほとんどで、「人間性に欠けている」という表現は、そういった思いやりの心が感じられないといった意味で使われます。

人間性の類語

人間性の類語・類義語としては、その人やその物に感じられる上品さや気高さを意味する「品格」、道徳をわきまえた正しい品性を意味する「徳性」、信頼できる人物として人々から慕われることを意味する「人望」などがあります。

人柄の意味

人柄とは

人柄とは、その人に備わっている性質や品格を意味しています。

表現方法は「人柄がいい」「人柄が出る」」「人柄がにじみ出る」

人柄を使った表現として、「人柄がいい」「人柄が出る」」「人柄がにじみ出る」「人柄の良さが伝わる」「人柄を重視した仕事内容と言われたなどがあります。

性格や感情などが当人が無意識であったとしても言動の端々から感じられる様子などを表す時などに多く使われる表現で、他者への評価のために使われることがほとんどです。

「お人柄が表れる」「お人柄溢れる作品だ」のような敬語表現も

日常会話はもちろん、「お人柄が表れる」「お人柄溢れる作品だ」などの使い方で目上の人に対する敬語表現としても使うことができる言葉です。

人柄の類語

人柄の類語・類義語としては、生来の性質を意味する「人となり」、身なりや顔立ちなどを通して感じられる品格を意味する「人品」、生まれつきの性質を意味する「性分」、他人に対する態度などに現れるその人の心の持ち方を意味する「気立て」などがあります。

人格の意味

人格とは

人格とは、その人の人間としてのあり方を意味しています。

表現方法は「人格が変わる」「人格を磨く」「人格を否定する」

「人格が変わる」「人格を磨く」「人格を否定する」などが、人格を使った一般的な言い回しです。

人格を使った言葉として、「人格化」「人格教育」があります。

「人格化」の意味

一つ目の「人格化」とは、物や出来事をまるで人格を持つ人間であるかのように扱うことを意味する言葉です。擬人化と似たような表現ですが、物語性などを付与する擬人化とは異なり、単に人のように扱うことだけを表すのが人格化です。

「人格教育」の意味

二つ目の「人格教育」とは、道徳的な価値を理解したうえでそれを実践できるような人格の形成を目的とした教育を指す言葉です。

特に、子どもたちの人格形成や発展に働きかけるために、倫理観などを培わせる教育が行われます。そのため、性格教育や品格教育とも言われます。

人格の類語

人格の類語・類義語としては、人や物にそれぞれ備わった特有の性質を意味する「個性」、道徳的規準から見たその人の性質を意味する「品性」、心の持ち方を意味する「心柄」(読み方:こころがら)などがあります。

人間性の例文

1.彼の心無い言葉を耳にするたびに彼の人間性を疑ってしまうが、度が過ぎる場合はやんわりと注意してあげることも必要だと思っている。
2.父に言われて今まで色々な本を読んできたが、読書経験によって人間性が磨かれたように思えるため、将来子どもにも本を読むように勧めたい。
3.人間性が豊かな彼女には、これまでの人生でどのような生き方をしたのだろうと不思議な気持ちにさせられる。
4.彼のサッカー選手としてのプレーは地味なんですが、周りがよく見えているし非常に献身的です。やはりプレーにも人間性が出るものですね。
5.人間性を養いたいなら、ビジネスハウツー本に飛びつくのではなく、じっくりと名作小説を読むことが肝要だろう。
6.残念ながら人間性を磨くことに近道はない。地道にみずからを律することでしか人間性は向上しない。
7.上司は時に人間性を疑うような言動があるので、もしかしたらサイコパスではないかと疑っている。
8.男はどんな身分の者でも頭を下げることを怠らない。そういうところにその人の人間性が垣間見えるのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、人間の生まれ持った本質を意味する時などが挙げられます。

一般的には、他を思いやる気持ちや、もとより持ち合わせている人間らしさを意味する言葉として使われています。

人柄の例文

1.人柄の良さが態度ににじみ出る上司には、相談事でも他愛のない話でも声を掛けてしまって迷惑ではないかと心配になることがある。
2.まだお若いのにお人柄がいい先生ね、と母は担任のことを褒めていたが、実際学校でも多くの生徒に慕われている。
3.基本的なパソコンの使い方などは知っておいてもらわなければ、人柄重視と言えども仕事をするうえで非常に苦労するだろう。
4.彼は毒舌だが決して弱い者いじめはせず、元気のなさそうな人にはさりげなく声をかけるなど、常にまわりのことを気づかっているので、そういう人柄が人望を集めているのだと思う。
5.いざというときは、お金や名声などではなく、これまで積み上げてきた人柄財産がものを言うんです。
6.彼女はもともとお嬢様学校を出ているだけあって言動の一つ一つに人柄の良さが出ている。
7.この会社の人事担当者は人柄を重視した採用をしていると言っていたが、そうはいっても学歴フィルターがあるのではないか。
8.男が皆から慕われていたのは人柄によるものであって、身分とか学歴とかそういうものではないのだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、その人に備わっている性質や品格を意味する時などが挙げられます。

例文2の「お人柄」という表現は、敬語表現として使われている言葉です。

人格の例文

1.先輩は仕事ができるのはもちろん、誰にでも分け隔てなく接することができ、周囲に気を配ることにも長けている人格者だ。
2.自分でも別の人格があるのではないかと思うほど情緒が不安定な時があるため、そういう時は出来るだけ人と関わらないようにしている。
3.子どもの人格形成には子どもたちを取り巻く環境を整えることが必要不可欠で、それは身体面はもちろん精神面にも言えるだろう。
4.のんびり屋の息子に「本当に何をやっても遅い子ね」と言ったら、夫から子どもの人格を否定するようなことを言うのも虐待だよと言われ、日頃の言動を見直さなければと思った。
5.友達から「××くんは、顔はいいんだけど、人格に難があるよね」とカジュアルに言われて、相当落ち込みました。
6.わたしの好きなことを嗤われると、なんだか人格を否定されたような気持ちになって、とても落ちこんでしまった。
7.時代の価値観が変わったとしても、人格教育を主軸とした教育方針はしっかりと携えておかなければならない。
8.女はある時は子供のように振る舞い、ある時は不良のように振る舞っていたが、もしかしたら多重人格ではないだろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、その人の人間としてのあり方を意味する時などが挙げられます。

例文1の「人格者」とは、優れた人格を持ち合わせている人を意味し、周囲から尊敬されるような人に対して使われる言葉です。

人間性と人柄と人格どれを使うか迷った場合は、先天的に持っている性格を表す場合は「人間性」を、対外的な性格を表す場合は「人柄」を、後天的に作られる性格を表す場合は「人格」を使うと覚えておけば間違いありません。

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