似た言葉の「一事が万事」(読み方:いちじがばんじ)と「人間万事塞翁が馬」(読み方:にんげんばんじさいおうがうま)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」の違い
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」の意味の違い
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」の違いを分かりやすく言うと、「一事が万事」とは一つの物事から他の全てのことを推し量ること、「人間万事塞翁が馬」とは人生の幸福や不幸は予測できないことという違いです。
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」の使い方の違い
一つ目の「一事が万事」を使った分かりやすい例としては、「彼のやることは一事が万事だらしないです」「一事が万事なので遅刻癖は治すように上司から注意されました」「一事が万事という言葉が苦手です」などがあります。
二つ目の「人間万事塞翁が馬」を使った分かりやすい例としては、「人間万事塞翁が馬なので就活失敗したからって落ち込む必要はありません」「人間万事塞翁が馬は私の座右の銘です」などがあります。
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」の使い分け方
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」はどちらも「万事」という言葉を使っていますが、共通点はそれだけで意味は全く異なっているので、間違えないように注意しましょう。
「一事が万事」は一つの物事から他の全てのことを意味しているのに対して、「人間万事塞翁が馬」は人生の幸福や不幸は予測できないことを意味しています。
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」の英語表記の違い
「一事が万事」を英語にすると「all the time」「seen it al」となります。一方、「人間万事塞翁が馬」を英語にすると「Inscrutable are the ways of Heaven」「fortune is unpredictable and changeable」となります。
「一事が万事」の意味
「一事が万事」とは
「一事が万事」とは、一つの物事から他の全てのことを推し量ることができることを意味しています。
「一事が万事」の読み方
「一事が万事」の読み方は「いちじがばんじ」です。誤って「いちじがまんじ」などと読まないようにしましょう。
「一事が万事」の使い方
「一事が万事」を使った分かりやすい例としては、「一事が万事の考え方しかできない人は嫌いです」「一事が万事のようで彼らは他の場所でも他人に迷惑をかけている」「同僚が一事が万事とい言われ上司からパワハラを受けている」などがあります。
「一事が万事」とは一つの物事から他の全てのことを推し量ることができることを意味することわざです。例えば、会社に出勤しているのに髪がボサボサだったり服装が乱れている人に対して、その人はだらしない人なんだろうなと感じる状況が、「一事が万事」になります。
また、「一事が万事」は人の性格や生活態度などに対して注意したり、皮肉を言う場合に使うことが多く、基本的にはマイナスなイメージで使う言葉と覚えておきましょう。そのため、使う場面や相手を選ぶことはとても重要です。
「一事が万事」の由来
「一事が万事」の由来は中国や日本の考え方です。昔から中国や日本では人は一つのものを見て、他のものも同様だと判断するという考え方が根付いていました。このことが転じて、一つの物事から他の全てのことを推し量ることができることを「一事が万事」と言うようになりました。
「一事が万事」の類語
「一事が万事」の類語・類義語としては、物事の一部を聞いただけで全部を理解できることを意味する「一を以て万を知る」、物事の一部を見てその全体を推し量ることを意味する「一斑を見て全豹を卜す」(読み方:いっぱんをみてぜんぴょうをぼくす)などがあります。
「人間万事塞翁が馬」の意味
「人間万事塞翁が馬」とは
「人間万事塞翁が馬」とは、人生の幸福や不幸は予測できないことを意味しています。
「人間万事塞翁が馬」の読み方
「人間万事塞翁が馬」の読み方は「にんげんばんじさいおうがうま」です。誤って「にんげんまんじさいおうがうま」などと読まないようにしましょう。
「人間万事塞翁が馬」の使い方
「人間万事塞翁が馬」を使った分かりやすい例としては、「人間万事塞翁が馬なので一度振られたくらいで落ち込んではいけません」「人間万事塞翁が馬なので順位が確定するまでは油断しないほうがいいだろう」「私は人間万事塞翁が馬という言葉が好きです」などがあります。
「人間万事塞翁が馬」は人生の禍福は転々として予測できないことを意味することわざです。禍福とは災難と幸福のことを意味しているので、分かりやすく言うならば、人生の幸福や不幸は予測できないという意味の言葉になります。
「人間万事塞翁が馬」の由来
「人間万事塞翁が馬」の由来は中国の思想書「淮南子」(読み方:えなんじ)です。
「淮南子」とはある老人の飼っていた馬が逃げたのでみんなが同情したが、彼はこれは幸運の象徴と言います。そして、その通りその馬が優れた別の馬を連れて帰ってきました。そこでみんなが祝福すると、今度は不運の兆しだと言います。
しばらくすると老人の息子がその馬から落馬して足を折ったのでみんなが同情しますが、また、幸運の前触れだと言います。息子は怪我したおかげで兵役を逃れて命が助かったというお話です。
このお話が転じて、人生の幸福や不幸は予測できないことを「人間万事塞翁が馬」と言うようになりました。
「人間万事塞翁が馬」の類語
「人間万事塞翁が馬」の類語・類義語としては、幸福と不幸はより合わせた縄のように交互にやってくるということを意味する「禍福は糾える縄の如し」(読み方:かふくはあざなえるなわのごとし)、長い人生には悪いことも良いこともあることを意味する「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」などがあります。
「一事が万事」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一つの物事から他の全てのことを推し量ることができることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「一事が万事」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「人間万事塞翁が馬」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人生の幸福や不幸は予測できないことを表現したい時などが挙げられます。
「人間万事塞翁が馬」は上記の例文のように使うことが可能です。
「一事が万事」と「人間万事塞翁が馬」は似た言葉ですが、意味は全く異なっています。
どちらの言葉を使うか迷った場合、一つの物事から他の全てのことを推し量ることを表現したい時は「一事が万事」を、人生の幸福や不幸は予測できないこと表現したい時は「人間万事塞翁が馬」を使うと覚えておきましょう。