似た意味を持つ「転記」(読み方:てんき)と「転載」(読み方:てんさい)と「転用」(読み方:てんよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「転記」と「転載」と「転用」という言葉は、元あるものを別のもののために使うという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
転記と転載と転用の違い
転記と転載と転用の意味の違い
転記と転載と転用の違いを分かりやすく言うと、転記は数値などを書き写すことを表現する時に使い、転載は著作物を別場所で公開することを表現する時に使い、転用は別の目的のために使うことを表現する時に使うという違いです。
転記と転載と転用の使い方の違い
転記という言葉は、「自身の住所を身分証明書に書かれている通りに転記する必要がある」「彼女の電話番号を手帳に転記しておけばいつでも連絡が取れる」などの使い方で、文書に記載されている内容を他の文書に書き写すことを意味します。
転載という言葉は、「教科書の画像を授業プリントにページ情報と共に転載しておく」「愛犬の写真を無断転載された」などの使い方で、他の書物など著作物に載せられている写真や文章などを別の場所で公開することを意味します。
転用という言葉は、「借りた機器類をそのまま転用したい」「貰ったお金を好きなことに転用してもいいという許しを得た」などの使い方で、本来の目的と異なり他のもののために使いことを意味します。
転記と転載と転用の使い分け方
転記と転載はどちらも、もとの文書や画像をそのまま別の場所に移すことを表しますが、前者は文章や文字に対してのみ使い、後者は画像や動画ファイルなどに対しても使います。
また、転載という言葉は、他者の作り上げた文章などを別の場所に書き写して、それを公に発表する時に使われることから、著作権法で問題にされる場合に多く使われています。
一方の転用は、転記や転載のように文章やデータファイルだけではなく、土地や金銭などに対しても使うことができます。
これが、転記、転載、転用の明確な違いです。
転記の意味
転記とは
転記とは、文書に記載されている内容を他の文書に書き写すことを意味しています。
転記は、簿記や会計処理などの用語として使われており、エクセルなどのデータ処理ソフトなどで転記を行う方法なども様々な場所で紹介されています。
表現方法は「転記処理」「転記元のデータ」「転記する」
転記を使った表現として、「転記処理を行ってもらう」「もとの数値を転記して提出する」「転記元のデータと比較をする」「新しい住所を転記する」などがあります。
転載や転用、複製なども転記と同じように、元の文章などを書き写すことを意味する言葉ですが、公に発表するために書き写すわけではなく、業務上の書類や公的な必要書類などに対して使われるため、禁止される行為ではありません。
そのため、ビジネスシーンで多く使われていますが、役所などでの手続きやその他契約などにおいては耳にすることもある言葉です。
転記の類語
転記の類語・類義語としては、写してあるものをもとにもう一度写すことを意味する「複写」、手本を見ながら字を書くことを意味する「臨書」、手書きによって本を写すことを意味する「写本」などがあります。
転載の意味
転載とは
転載とは、他の書物など著作物に載せられている写真や文章などを別の場所で公開することを意味しています。
転載を使った言葉として、「無断転載」「禁転載」があります。
「無断転載」の意味
一つ目の「無断転載」とは、文章、イラストや写真などの画像ファイル、動画などの著作物を作者の許可なしに別の場所に掲載することを表す言葉です。
転載に似た言葉に「引用」がありますが、転載と引用では書き写す量が異なり、転載は全て、もしくは半分以上が自分で生み出したものではない場合に使われる言葉です。
そのため、無断引用は問題となりませんが、無断転載は著作権法に違反するため罪に問われることとなります。また、引用をする場合でも、引用元の文献情報を明記して、自身が作り上げた部分とは明確に分ける必要もあります。
「禁転載」の意味
二つ目の「禁転載」とは、文章や図などを無断で転載することを禁止することを意味する言葉で、書籍や新聞などに多く記載されています。「禁無断転載」や「禁転載複製」などと表記されていることもあります。
表現方法は「転載禁止」「転載許可」「転載の転載」
上記以外では「転載禁止」「転載許可」「転載の転載」などが、転載を使った一般的な言い回しです。
転載の類語
転載の類語・類義語としては、文章や図面などを写し取ることを意味する「転写」、書物や資料などに載せることを意味する「収載」、他人に所有権があるものを無断で使用すること「盗用」などがあります。
転用の意味
転用とは
転用とは、本来の目的と異なり他のもののために使いことを意味しています。
表現方法は「転用する」「転用届」「転用行為」
「転用する」「転用届」「転用行為」などが、転用を使った一般的な言い回しです。
「農地転用」の意味
転用を使った言葉として、「農地転用」があります。これは、農地として使っていた土地を道路や資材置き場、工場、住宅など別の用途のための土地に転換させることを表す言葉です。
畑などの作物を育てる場所として使っている土地はもちろん、過去農地として使われていた土地で現在は使われていなかったとしても、耕作をすることができる土地であれば農地と見なされます。
農業の生産力を確保するために転用許可がなされない農地も多く、農地法4条にはその土地の所有者が農地転用を行う場合に関しての記載があり、農地法5条には転用するために土地の売買を行う場合に関しての記載があります。
転用の類語
転用の類語・類義語としては、あるものに代えて別のものを使うことを意味する「代用」、他の目的に使うことを意味する「他用」、定まっている使い方を外れて別のことに用いることを意味する「流用」などがあります。
転記の例文
この言葉がよく使われる場面としては、文書に記載されている内容を他の文書に書き写すことを意味する時などが挙げられます。
どの例文の転記という言葉も、転載や転用に置き換えて使うことはできません。
転載の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他の書物など著作物に載せられている写真や文章などを別の場所で公開することを意味する時などが挙げられます。
例文1は、新聞記事を授業プリントとして配布している事例ですが、問題集のコピーであったり内容を転載して生徒に配布する行為は、本来購入してもらう前提の問題集や参考書であるために違反行為と言えます。
転用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、本来の目的と異なり他のもののために使いことを意味する時などが挙げられます。
どの例文の転用という言葉も、転記や転載という言葉に置き換えて使うことはできません。
転記と転載と転用どれを使うか迷った場合は、数値などを書き写すことを表す場合は「転記」を、著作物を別場所で公開することを表す場合は「転載」を、別の目的のために使うことを表す場合は「転用」を使うと覚えておけば間違いありません。