似た意味を持つ「機会損失」(読み方:きかいそんしつ)と「機会費用」(読み方:きかいひよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「機会損失」と「機会費用」という言葉は、どちらも経済学上の概念を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
機会損失と機会費用の違い
機会損失と機会費用の意味の違い
機会損失と機会費用の違いを分かりやすく言うと、機会損失とは本来得られたはずの利益を失うこと、機会費用とは他の選択をしていれば得られていただろう最大利益という違いです。
機会損失と機会費用の使い方の違い
一つ目の機会損失を使った分かりやすい例としては、「今期は輸出の機会損失の低減を図りたい」「機会損失への補償を求めたい」「機会損失により損害賠償の訴訟を起こす」「機会損失を減らす方法はありますか」などがあります。
二つ目の機会費用を使った分かりやすい例としては、「金利の低下により資金の機会費用が減少した」「機会費用の損失を取り戻したい」「機会費用の求め方を教えてください」「休暇の機会費用は休んだ時間分の給料だと言えます」などがあります。
機会損失と機会費用の使い分け方
機会損失と機会費用という言葉は、どちらも経済学上の概念でありビジネスシーンで用いられていますが、意味や使い方には違いがあります。
機会損失とは、本来得られたはずの利益を失うことであり、儲け損なった状態を表す言葉です。例えば、販売店において商品を買いたいという客がいるにも関わらず、品切れなどの理由により売ることができない状況を機会損失と表現します。
機会費用とは、ある行為を選択することによって失われる、他の選択可能な行為のうちの最大利益のことです。例えば、大学進学の機会費用とは、大学に進学せずに就職して働いていたら得られたと考えられる利益です。
機会損失と機会費用の英語表記の違い
機会損失を英語にすると「opportunity loss」「missing an opportunity」となり、例えば上記の「輸出の機会損失」を英語にすると「opportunity loss of exports」となります。
一方、機会費用を英語にすると「opportunity cost」となり、例えば上記の「資金の機会費用」を英語にすると「the opportunity cost of the funds」となります。
機会損失の意味
機会損失とは
機会損失とは、売り上げを伸ばす機会があったにもかかわらず、商品そのものが不足しているために、本来得られたはずの利益を逃すこと。機会ロスを意味しています。
表現方法は「機会損失を防ぐ」「機会損失をなくす」「機会損失を減らす」
「機会損失を防ぐ」「機会損失をなくす」「機会損失を減らす」などが、機会損失を使った一般的な言い回しです。
機会損失の使い方
機会損失を使った分かりやすい例としては、「在庫管理システムで機会損失を防ぐ」「社内の連携ミスにより機会損失が生じた」「機会損失の発生はビジネス上の大きなリスクです」「機会損失が損害賠償問題に発展することがあります」などがあります。
その他にも、「機会損失という考え方と計算方法を教えてほしい」「社会人になり英語力不足による機会損失を感じます」「営業時間外の問い合わせに対する機会損失を防ぐ」「人生における機会損失は計り知れないものです」などがあります。
機会損失とは、商品が欠品または不足したために販売する機会を失って、本来得られた利益を逃すことを意味する経済学上の概念です。「チャンスロス」とも言います。機会損失の「機会」は物事をするのに適しているタイミング、「損失」は財産や利益などを失うことを表します。
機会損失は簡単に分かりやすく言うと、儲け損なった状態のことです。本当は利益をあげることができたはずなのに、そのチャンスを逃すことなので、実際には収支がマイナスになるような損をしているわけではありません。
機会損失の類語
機会損失の類語・類義語としては、受注に失敗することを意味する「失注」、債務不履行や不法行為がなければ得たであろう利益を意味する「逸失利益」、最善の意思決定の機会を逸したことによる損失のことを意味する「機会原価」などがあります。
機会費用の意味
機会費用とは
機会費用とは、ある生産要素を特定の用途に利用する場合に、それを別の用途に利用したならば得られたであろう利益の最大金額を指し、実際の生産額の費用とする概念を意味しています。
表現方法は「機会費用が高い」「機会費用を失う」
「機会費用が高い」「機会費用を失う」などが、機会費用を使った一般的な言い回しです。
機会費用の使い方
機会費用を使った分かりやすい例としては、「機会費用の計算が分からず困っています」「機会費用について具体例を挙げてわかりやすく説明する」「日常生活でも機会費用の概念は役立ちます」などがあります。
その他にも、「大学4年間の機会費用はどれくらいですか」「仕事をやめれば機会費用が増加する」「閉鎖経済における相対価格は機会費用と一致する」「英語留学中の機会費用を考える」などがあります。
機会費用とは、「オポチュニティーコスト」とも言われる経済学上の概念であり、複数ある選択肢のうち、最大利益を生む選択肢とそれ以外の選択肢との利益の差を指す言葉です。例えば、持家に住む人は、それを借家にして家賃収入を得るという選択肢もあり、その場合の利益が機会費用となります。
この機会費用は、経済学上の計算だけでなく、労働の現場や日常生活に当てはめて考えることができます。一日中ただ何もせずに過ごした場合と、仕事をして収入を得た場合では、仕事をして得られた収入が機会費用となり、何もせず過ごした場合は機会費用を失ったと言えます。
機会費用の類語
機会費用の類語・類義語としては、決算上の損失や赤字を意味する「欠損」、一方を追求すると他方が犠牲になるような両立しえない経済的関係を意味する「トレードオフ」などがあります。
機会損失の例文
この言葉がよく使われる場面としては、本来得られたはずの利益を失うことを表現したい時などが挙げられます。
例文5の文中にある「機会損失」と「逸失利益」の違いは、機会損失は誤った意思決定により利益を得るチャンスを失うことを表し、逸失利益は債務不履行や不法行為により利益を失ったことを表す点にあります。
機会費用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、労働等の生産要素を特定の用途に利用することについて、他の分野に投入したならば得られたであろう最大の貨幣額を表現したい時などが挙げられます。
例文4について、落ち込んでいることの機会費用とは、落ち込んでいないで新しい恋を探しに出かけたり、勉強やスポーツなど他の分野に気持ちを切り替えることで得られるメリットです。
機会損失と機会費用という言葉は、どちらも経済学の概念を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、本来得られたはずの利益を失うことを表現したい時は「機会損失」を、別な選択をしていれば得られていただろう最大利益を表現したい時は「機会費用」を使うようにしましょう。