【盗作】と【盗用】と【剽窃】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「盗作」(読み方:とうさく)と「盗用」(読み方:とうよう)と「剽窃」(読み方:ひょうせつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「盗作」と「盗用」と「剽窃」という言葉は、他者のものを使うことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




盗作と盗用と剽窃の違い

盗作と盗用と剽窃の意味の違い

盗作と盗用と剽窃の違いを分かりやすく言うと、盗作は無断で自作として発表した作品を表現する時に使い、盗用は無許可での使用を表現する時に使い、剽窃は無断で自作として発表する行為を表現する時に使うという違いです。

盗作と盗用と剽窃の使い方の違い

盗作という言葉は、「別のアーティストの作品を盗作呼ばわりしたとして炎上した有名人がいた」「まるで盗作された詩文だとレビューがついていた」などの使い方で、他人の作品の全部もしくは一部を自分のもののように無断で使うことを意味します。

盗用という言葉は、「名義盗用をしたところで誰の利益にもならない」「デザインを盗用しただろうことはもう調べがついていた」などの使い方で、他人のものを無断で使用することを意味します。

剽窃という言葉は、「その学者は過去数年で片手では足りないほどの剽窃論文を出版していた」「自己剽窃はあまり問題とされてはいないものの場合によっては罪となる」などの使い方で、他人の作品を盗んで自分のものとして発表することを意味します。

盗作と盗用と剽窃の使い分け方

盗作と剽窃はどちらも、他者の作品を盗み、自分のオリジナル作品として発表することを意味します。前者は盗んで発表された作品自体を指すこともありますが、後者は行為のみを指します。

一方の盗用という言葉は、自分のオリジナルとして発表せずとも無断で使用することを意味します。そのため、盗作や剽窃よりも、盗用という言葉を使うことが出来る範囲は広くなります。

これが、盗作、盗用、剽窃の明確な違いです。

盗作の意味

盗作とは

盗作とは、他人の作品の全部もしくは一部を自分のもののように無断で使うことを意味しています。

表現方法は「盗作問題」「盗作騒動」「盗作呼ばわり」

盗作を使った表現として、「盗作問題が話題になる」「絵を盗作したことを否定した」「盗作騒動は後の活動に影響を与える」「盗作呼ばわりしたこともあるようだ」などがあります。

盗作は絵画や文学などの芸術作品に使われる

日常生活において使われることはありませんが、絵画や文学などの芸術作品に関する情報などがメディアにて報道される場合などに使われています。

また、盗作という言葉と並べられることの多い「オマージュ」という言葉は、敬意を払って似たような方向性の作品を生み出すことを意味するため、他の作品をそのまま自分のものとする盗作とは大きく異なります。

盗作の対義語

盗作の対義語・反対語としては、独自のものや最初の一つである様子を意味する「オリジナル」、翻訳や改作などを行う前の元の作品「原作」があります。

盗作の類語

盗作の類語・類義語としては、すでに存在するものを手本として似せて作ることを意味する「模作」、似せて作った像や絵を意味する「似姿」(読み方:にすがた)があります。

盗用の意味

盗用とは

盗用とは、他人のものを無断で使用することを意味しています。

表現方法は「盗用した」「盗用行為」「アイデア盗用」

盗用を使った表現として、「部下の名を盗用した上司がいたらしい」「他国の機器類を盗用していた」「悪質な盗用行為が行われたことを大学側が認めた」「アイデア盗用も立派なタブーである」などがあります。

自分のオリジナル作品として立ち居振舞うまで行かずとも、他者の考えや作品を無許可で使用することが盗用に当たるため、人の名前や機器などに対しても使うことができます。

盗用の対義語

盗用の対義語・反対語としては、他の物とは異なりそのものだけにあることを意味する「独自」があります。

盗用の類語

盗用の類語・類義語としては、無断で作品の複製や発行を行うことを意味する「偽作」、美術品などの模写や複製を意味する「レプリカ」、著者や出版社の許可を受けないままに複製したものを意味する「海賊版」などがあります。

剽窃の意味

剽窃とは

剽窃とは、他人の作品を盗んで自分のものとして発表することを意味しています。

剽窃の剽という漢字は相手を襲うことや脅かすこと、また相手から何かをかすめ取ることを意味し、窃という漢字も同様に、盗むことやこっそり取ることを意味します。

表現方法は「剽窃者」「剽窃作品」

剽窃を使った表現として、「とある一件から剽窃者として周知されることとなった」「酷似しており剽窃作品と考えられている」「剽窃と取り沙汰されることも幾度かあった」などがあります。

日常生活においてはほとんど使われず、常用漢字表に「剽」という漢字が掲載されていないことからメディアなどでも使われておらず、盗作や盗用、その他似た意味を持つ言葉が使われています。

剽窃の対義語

剽窃の対義語・反対語としては、模倣によらずに独自の発想で作り出すことを意味する「独創」があります。

剽窃の類語

剽窃の類語・類義語としては、そっと盗み取ることを意味する「窃取」、こっそりと盗むことを意味する「盗窃」、人のものを盗むことを意味する「泥棒」があります。

盗作の例文

1.有名なアーティストに盗作の疑いが掛けられてSNSで話題になっていたが、事実関係を当事者が発表するまでは事を大きくしない方がいい。
2.盗作だと訴えられた作曲家は都市を離れることを余儀なくされ、その後彼が作品を発表することはなかったが、晩年には作曲を続けていたようだ。
3.オマージュや盗作の出版は多く行われており、数々の作家が気分を害したのではないかと言われている。
4.スーパーで似たようなパッケージと名前の商品を見かけることがあるが、ギリギリで盗作にならないようにして、間違って自社の商品を買ってもらえればラッキーというなのだろうか。
5.有名画家の下で働いていた女性が、画家の数々の盗作行為を告発して美術界で大きな問題となっていた。
6.SNSは少しでも類似点をみつけるとすぐに盗作だと騒ぎ立てるからあまり気にしないほうがいいよ。
7.小学生の時の読書感想文で、過去に賞を受賞した作文をうまくアレンジしたことがあったが、盗作だとばれないかひやひやした。
8.作品の盗作疑惑に対して芸能レポーターに突撃インタビューされるも、本人は弁護士を通してくださいというばかりで何も答えなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、他人の作品の全部もしくは一部を自分のもののように無断で使うことを意味する時などが挙げられます。

例文3の盗作は、他者の作品を自分の作品として公開したものを指すため、動作を表す盗用や剽窃に置き換えて使うことができません。

盗用の例文

1.そのコンピュータウイルスの被害に遭ったパソコンは、データの盗用などを行った後、パソコン内のデータ破壊を行うこともあるが、最後には消えてしまう。
2.その研究報告書には試験結果の捏造や他の論文の盗用が含まれていたようで、問題を収束させるためにも研究凍結という結果に収まった。
3.注釈や奥付などに引用元を記載するのを忘れていたため、危うく盗用と勘違いをされてしまうところだった。
4.そちらの雑誌のイラストが私の作品と酷似している、盗用ではないかとフリーのイラストレーターから問い合わせがあり、弁護士に相談する事態にまで発展してしまった。
5.年賀状のアイデアに困った時は画像検索をかけてイラストを一部盗用したりしていたこともあった。
6.男は飛び込みのセールスする際は、一部上場企業の名前を盗用して、あたかもその企業の社員を騙っていた。
7.当作家の作品が無断で盗用されたいたことに関しましては弁護士と相談の上、対処したいと考えております。
8.ある新聞記者が他社の記事を盗用したことが問題になっていたが、新聞記者のレベルも地に落ちたと言えよう。

この言葉がよく使われる場面としては、他人のものを無断で使用することを意味する時などが挙げられます。

例文1の盗用は、論文や著書などのように出版して発表するものではないため、盗作や剽窃という言葉に置き換えて使うことができません。

剽窃の例文

1.論文の剽窃を幾度となく行ってきたらしい研究者がようやく自身の研究所の所員たちを踏み台にしたことを認めた。
2.とある書籍からの剽窃を含んでいる作品が高く評価されることに疑問ばかりが浮かぶが、これによって原作に手を伸ばす人が増えてほしいと感じる。
3.あまりにも学生らしからぬ文章だったため教員に剽窃したのではないかと疑われた友人は休学を決断したようだった。
4.教授が突然大学からいなくなったのはどうやら論文を一部剽窃していたらしくて、大学から追い出されたらしいんだよ。
5.有名大学の教授が、過去10年間で数え切れないほどの剽窃論文を出版していたことがわかり、社会にも激震が走った。
6.残念ながら一部の大学教授は学生の修士論文を剽窃することが多々あるのですが、立場上、学生は異議を唱えることを憚っているのです。
7.色トレスは一種の技法であって剽窃には当たらないのだが、一般の人はそれをあまり理解していないようだ。
8.新しいコンセプトの製品が出ると、そのアイデアを剽窃されることはあるが、完全には真似は出来ないものだ。

この言葉がよく使われる場面としては、他人の作品を盗んで自分のものとして発表することを意味する時などが挙げられます。

どの例文の剽窃も、盗作や盗用という言葉に置き換えて使うことができます。

盗作と盗用と剽窃どれを使うか迷った場合は、無断で自作として発表した作品を表す場合は「盗作」を、無許可での使用を表す場合は「盗用」を、無断で自作として発表する行為を表す場合は「剽窃」を使うと覚えておけば間違いありません。

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