似た意味を持つ「踏んだり蹴ったり」(読み方:ふんだりけったり)と「一難去ってまた一難」(読み方:いちなんさってまたいちなん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」という言葉は、どちらも不幸や災難に遭うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」の違い
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」の意味の違い
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」の違いを分かりやすく言うと、「踏んだり蹴ったり」は不幸なことが起こっている最中にさらに別の不幸が起こるというニュアンス、「一難去ってまた一難」は一つの災難を乗り越えたあとに違うの災難が訪れるというニュアンスという違いです。
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」の使い方の違い
一つ目の「踏んだり蹴ったり」を使った分かりやすい例としては、「先週は良くないことが続いて踏んだり蹴ったりな一週間でした」「寝坊した上に宿題を忘れるなんて踏んだり蹴ったりです」「踏んだり蹴ったりの目に遭いました」などがあります。
二つ目の「一難去ってまた一難」を使った分かりやすい例としては、「やっと退院したと思ったら次は別の病気で入院することになり、一難去ってまた一難です」「トラブルを解決したと思ったら別のトラブルが起きてしまい、一難去ってまた一難だ」などがあります。
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」の使い分け方
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」は、どちらも不幸や災難に遭うことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「踏んだり蹴ったり」は「今日は財布を忘れた上に、仕事中大きなミスをしてしまった」のように、不幸なことが起こっている最中にさらに別の不幸が起こるというニュアンスで使います。
一方、「一難去ってまた一難」は「足の怪我やっと治ったら、今度は腰を痛めてしまいました」のように、一つの災難を乗り越えたあとに別の災難が訪れるというニュアンスで使うというのが違いになります。
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」の英語表記の違い
「踏んだり蹴ったり」を英語にすると「one misfortune on top of another」となり、例えば上記の「踏んだり蹴ったりの目に遭う」を英語にすると「I had one misfortune on top of another」となります。
一方、「一難去ってまた一難」を英語にすると「Misfortunes never come singly」「Misfortunes never come alone」となります。
「踏んだり蹴ったり」の意味
「踏んだり蹴ったり」とは
「踏んだり蹴ったり」とは、重ね重ねひどい目に遭うことを意味するを意味しています。
「踏んだり蹴ったり」の使い方
「踏んだり蹴ったり」を使った分かりやすい例としては、「昨日は不運が続いて踏んだり蹴ったりの一日でした」「踏んだり蹴ったりな状況が続いて嫌になる」「家の鍵は落とすは雨に濡れるわで踏んだり蹴ったりです」などがあります。
「踏んだり蹴ったり」は踏まれた上に蹴られることが転じて、不幸や災難が続いてひどい目に遭うことを意味することわざです。そのため、基本的にマイナスなイメージでしか使いません。
また、「踏んだり蹴ったり」は一回だけひどい目に遭うのではなく、重ね重ねひどい目に遭った場合に使うのが特徴です。
「踏まれたり蹴られたり」は誤り
上記にも記載した通り、「踏んだり蹴ったり」は踏まれた上に蹴られることが元となっていますが、「踏まれたり蹴られたり」とするのは誤りなので、誤用しないように気を付けましょう。
「踏んだり蹴ったり」の類語
「踏んだり蹴ったり」の類語・類義語としては、弱った時にさらに災難に遭うことを意味する「弱り目に祟り目」、不運や不幸が重なることを意味する「泣きっ面に蜂」などがあります。
「一難去ってまた一難」の意味
「一難去ってまた一難」とは
「一難去ってまた一難」とは、一つの災難が過ぎてほっとする間もなくまた次の災難が起きることを意味しています。
「一難去ってまた一難」の使い方
「一難去ってまた一難」を使った分かりやすい例としては、「クレーマーの対応が終わったと思ったら別のクレーマーから電話がかかってくる、一難去ってまた一難です」「上の子の風邪がやっと治ったと思ったら、下の子が熱を出した、一難去ってまた一難だ」などがあります。
「一難去ってまた一難」は一つの災難や一つの危険のことを意味する「一難」に、今まであった状態が無くなることを意味する「去る」が合わさったことわざです。
したがって、災難が同時に起こるのではなく、一つの災難が過ぎてほっとする間もなくまた次の災難が起きるというニュアンスで使うため、不幸や災難が同時に起こる意味を持つ言葉とは混同しないように注意しましょう。
また、「一難去ってまた一難」は次から次へと災難が起こる状況だけではなく、次々に不幸や災難が起きて心が疲弊している様子という心の状態を表わす場合にも使うことができます。
「一難去ってまた一難」の類語
「一難去ってまた一難」の類語・類義語としては、一難を逃れてまた他の難儀にあうことを意味する「虎口を逃れて竜穴に入る」(読み方:こうをのがれてりゅうけつにいる)、一つの災いを逃れても別の災いに遭うことを意味する「前門の虎後門の狼」などがあります。
「踏んだり蹴ったり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、重ね重ねひどい目に遭うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように。「踏んだり蹴ったり」はマイナスなイメージで使われていることわざです。
「一難去ってまた一難」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一つの災難が過ぎてほっとする間もなくまた次の災難が起きることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように。「一難去ってまた一難」はマイナスなイメージで使われていることわざです。
「踏んだり蹴ったり」と「一難去ってまた一難」はどちらも不幸や災難に遭うことを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、不幸なことが起こっている最中にさらに別の不幸が起こるというニュアンスで使うのが「踏んだり蹴ったり」、一つの災難を乗り越えたあとに違う災難が訪れるというニュアンスで使うのが「一難去ってまた一難」と覚えておきましょう。