似た意味を持つ「いたたまれない」と「悲しい」(読み方:かなしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「いたたまれない」と「悲しい」という言葉は、どちらも感情を表現する言葉を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「いたたまれない」と「悲しい」の違い
「いたたまれない」と「悲しい」の意味の違い
「いたたまれない」と「悲しい」の違いを分かりやすく言うと、「いたたまれない」とはそれ以上その場所に止まっていられないこと、「悲しい」とは心が痛んで泣けてくるような気持ちであることという違いです。
「いたたまれない」と「悲しい」の使い方の違い
一つ目の「いたたまれない」を使った分かりやすい例としては、「恥ずかしくていたたまれなくなったのでその場を離れました」「彼の不幸を見ているといたたまれない気持ちになる」「彼はいたたまれない気持ちだった」などがあります。
二つ目の「悲しい」を使った分かりやすい例としては、「夫が浮気していたことを知りとても悲しい」「彼にはとても悲しい過去があります」「悲しい知らせを聞いて彼の目に涙が溢れた」「彼は悲しそうに歌っていた」などがあります。
「いたたまれない」と「悲しい」の使い分け方
「いたたまれない」と「悲しい」はどちらも感情を表現する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「いたたまれない」はそれ以上その場所に止まっていられないことやそれ以上我慢できないことを意味しており、「とても恥ずかしくていたたまれなくなったのでその場を後にする」「この場所は騒がしくていたたまれない」などのように使います。
一方、「悲しい」は心が痛んで泣けてくるような気持ちであることや人に心が痛んで泣けてくるような気持ちを起こさせる物事のことを意味しており、「悲しい話を聞いて泣いてしまいました」「悲しい知らせを聞いて胸を痛めました」などのように使います。
「いたたまれない」と「悲しい」の英語表記の違い
「いたたまれない」を英語にすると「feel like running away」「can’t stand it」となり、例えば上記の「彼はいたたまれない気持ちだった」を英語にすると「He felt like running away」となります。
一方、「悲しい」を英語にすると「sad」「miserable」「sorrowful」となり、例えば上記の「彼は悲しそうに歌っていた」を英語にすると「He was singing sorrowfully」となります。
「いたたまれない」の意味
「いたたまれない」とは
「いたたまれない」とは、それ以上その場所に止まっていられないことを意味しています。
表現方法は「いたたまれない気持ちになる」「気持ちを考えるといたたまれない」
「いたたまれない気持ちになる」「気持ちを考えるといたたまれない」などが、「いたたまれない」を使った一般的な言い回しになります。
「いたたまれない」の漢字表記
「いたたまれない」を漢字にすると、「居た堪れない」と表記することができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「いたたまれない」を使うようにしましょう。
「いたたまれない」の使い方
「いたたまれない」を使った分かりやすい例としては、「彼女の泣いてる姿を見るといたたまれない気持ちになる」「友人が怪我をした聞いていたたまれない気分になりました」「自習室が騒がしくていたたまれない」などがあります。
「いたたまれない」はそれ以上その場所に止まっていられないことや、それ以上我慢できないことを意味しており、精神的な面でその場じっとしていられないという表現を短くした連語です。
「いたたまれない」は自分の身の周りで起こったことや身近な人の状況対して使うのが特徴です。そのため、テレビで悲しいニュースなどを見て、「これはいたたまれない事件だ」「戦争の報道を見ていたたまれない気持ちになる」などと表現する人がいますが、実は正しい使い方ではありません。
また、日常生活とビジネスシーンどちらでも使うことができます。
「いたたまれない」の由来
「いたたまれない」の由来は江戸時代後期に使われていた「いたまらない」です。「いたまらない」の意味を強調するためにひらがなの「た」が加えられ、さらに可能を表す動詞である「れない」を加えたのが「いたたまれない」です。
つまり、「いたまらない」に時代の変化とともに意味が追加された言葉が「いたたまれない」になります。
「いたたまれない」の類語
「いたたまれない」の類語・類義語としては、同情の気持ちが起こることを意味する「可哀想」、その場にいることが気詰まりで落ち着かない感じであることを意味する「居づらい」、他人と顔を合わせることができないことを意味する「顔向けできない」などがあります。
「悲しい」の意味
「悲しい」とは
「悲しい」とは、心が痛んで泣けてくるような気持ちであることを意味しています。その他にも、人に心が痛んで泣けてくるような気持ちを起こさせる物事のことの意味も持っています。
表現方法は「なんか悲しい」「毎日悲しい」「どうしようもなく悲しい時」
「なんか悲しい」「毎日悲しい」「どうしようもなく悲しい時」などが、「悲しい」を使った一般的な言い回しになります。
「悲しい」の言い換え語
「悲しい」は別の漢字表記で「哀しい」とすることもできますが、常用漢字である「悲しい」の方を使うのが一般的です。
「悲しい」の使い方
「飼っていた犬が亡くなってしまいとても悲しい」「今はとても悲しい気持ちです」などの文中で使われている「悲しい」は、「心が痛んで泣けてくるような気持ちであること」の意味で使われています。
一方、「この曲は悲しいメロディーで構成されている」「とても悲しいお知らせが私の元に届きました」などの文中で使われている「悲しい」は、「人に心が痛んで泣けてくるような気持ちを起こさせる物事のこと」の意味で使われています。
「悲しい」は昔の時代において、愛しい、可愛い、素晴らしい、嘆かわしい、心が痛むなど、物事に感じて切に心の動くさまに広く使われていたが、近代においては心が痛むことの意味で使われています。
また、「悲しい」は一般的に自分自身の感情を表現する際に使う言葉です。
「悲しい」の対義語
「悲しい」の対義語・反対語としては、物事が自分の望みどおりになって満足であり喜ばしいことを意味する「嬉しい」があります。
「悲しい」の類語
「悲しい」の類語・類義語としては、悲しい中にも雄々しくりっぱなところがあることを意味する「悲壮」、幸福ではないことを意味する「不幸せ」、なんとなく心が晴れ晴れしないことを意味する「物憂い」などがあります。
「いたたまれない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、それ以上その場所に止まっていられないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「いたたまれない」は自分の身の周りで起こったことや身近な人の状況対して使う言葉です。
「悲しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心が痛んで泣けてくるような気持ちであることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、人に心が痛んで泣けてくるような気持ちを起こさせる物事のことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「悲しい」は心が痛んで泣けてくるような気持ちであること、例文3から例文5の「悲しい」は人に心が痛んで泣けてくるような気持ちを起こさせる物事のことの意味で使っています。
「いたたまれない」と「悲しい」はどちらも感情を表現する言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、それ以上その場所に止まっていられないことを表現したい時は「いたたまれない」を、心が痛んで泣けてくるような気持ちであることを表現したい時は「悲しい」を使うと覚えておきましょう。