似た意味を持つ「家内安全」(読み方:かないあんぜん)と「無病息災」(読み方:むびょうそくさい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「家内安全」と「無病息災」という言葉は、どちらも「病気をせず健康であること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
家内安全と無病息災の違い
家内安全と無病息災の意味の違い
家内安全と無病息災の違いを分かりやすく言うと、家内安全とは家族に病気や災難がないこと、無病息災とは個人が病気をせず健康であることという違いです。
家内安全と無病息災の使い方の違い
一つ目の家内安全を使った分かりやすい例としては、「初詣で家内安全を祈ります」「神社で家内安全と無病息災を祈願する」「絵馬に家内安全と書きました」「五穀豊穣と家内安全を願う伝統的な神事です」などがあります。
二つ目の無病息災を使った分かりやすい例としては、「日々、無病息災であることに感謝します」「無病息災の縁起物のお菓子です」「無病息災を願うお祭りです」「参拝者が無病息災を願って祈祷を受けた」などがあります。
家内安全と無病息災の使い分け方
家内安全や無病息災という言葉は、どちらも「病気がなく健康であること」を表しており、お守りやお詣りの言葉などに用いられる四字熟語です。二つの言葉はとても似ていますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
家内安全とは、家族が病気をしないで元気なことや、事故がなく安泰であることを意味します。家族全員が健康であること、災難がなく穏やかに過ごすことを願う時に用いられる言葉です。
一方、無病息災とは、病気が無く健康であることを意味します。健康にフォーカスした言葉であり、災難を避けるなどの意味合いはありません。また、家族ではなく一個人の健康を願う時に用いられる言葉です。
家内安全と無病息災を比べると、対象が家族であり、その健康だけでなく災いを避けることも表す家内安全の方が、幅広い意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
家内安全と無病息災の英語表記の違い
家内安全を英語にすると「well-being of one’s family」「peace and prosperity in the household」となり、例えば上記の「家内安全を祈る」を英語にすると「pray for the well‐being of one’s family」となります。
一方、無病息災を英語にすると「sound health」「good health」となり、例えば上記の「無病息災である」を英語にすると「be in sound health」となります。
家内安全の意味
家内安全とは
家内安全とは、家族に事故や病気がないこと、家族一同が息災であることを意味しています。
家内安全の読み方
家内安全の読み方は「かないあんぜん」です。誤って「けないあんぜん」「やないあんぜん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「家内安全を願う」「家内安全を祈る」「家内安全を祈願した」
「家内安全を願う」「家内安全を祈る」「家内安全を祈願した」などが、家内安全を使った一般的な言い回しです。
家内安全の使い方
家内安全を使った分かりやすい例としては、「家内安全と商売繁盛を祈願した縁起酒です」「東京にある家内安全の神社を調べる」「家内安全の御利益がある破魔矢を英語で説明する」「神主が家内安全祝詞を奏上する」などがあります。
その他にも、「家内安全のお札を貼る場所はリビングにしよう」「家内安全は世界の願いでしょう」「家内安全ヲ守十二支之図を分かりやすく解説してもらう」「家内安全と夫婦円満のご利益がある神社です」などがあります。
家内安全の「家内」は家の中や家族のことであり、「安全」は生命にかかわる心配や、物の破損などの心配のないことを表します。家内安全とは、家に厄災がなく安泰で、家族全員が健康であることを表す言葉です。
「家内安全ヲ守十二支之図」の意味
上記の例文にある「家内安全ヲ守十二支之図」とは、江戸時代の浮世絵師である歌川芳虎が、家内の安全を願って十二支すべての特徴を備えた動物を描いたものです。東京都渋谷区にある太田記念美術館に貯蔵されています。
家内安全の対義語
家内安全の対義語・反対語としては、事件や困難が多いさまを意味する「多事多難」、仕事が多くて非常に忙しいさまを意味する「多事多端」などがあります。
家内安全の類語
家内安全の類語・類義語としては、変わったこともなく穏やかなさまを意味する「平穏無事」、社会や暮らしなどの穏やかな様子を意味する「安穏無事」、何の心配事もなく安らかな暮らしを送ることを意味する「平安無事」、物事の調和がとれていて穏やかなことを意味する「円満」などがあります。
無病息災の意味
無病息災とは
無病息災とは、病気をしないで健康であることを意味しています。
表現方法は「無病息災を祈る」「無病息災を願う」「無病息災を願って」
「無病息災を祈る」「無病息災を願う」「無病息災を願って」などが、無病息災を使った一般的な言い回しです。
無病息災の使い方
無病息災を使った分かりやすい例としては、「今年も無病息災でありますように」「お守りには無病息災と書いてあった」「無病息災は難しいが一病息災を心掛ける」「神社で無病息災を祈願する」などがあります。
その他にも、「お正月には神社で家族の無病息災を祈る」「新年の挨拶とともに無病息災を願う」「東京駅で無病息災にちなんだお菓子を買う」「英語圏にも無病息災を願う風習がある」「一年の無病息災を願う寒中水泳大会が開かれた」などがあります。
無病息災の「無病」は病気をしないこと、健康なことを表し、「息災」はもとは仏教の言葉で、仏の力で災難を防ぎ止めることを表します。無病息災とは、病気にかからずに常に健康であることを願う時に用いられる言葉です。
無病息災を願う行事には「節分の豆まき」があります。豆は「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることによって邪気を追い払い、一年の無病息災を願う意味合いがあります。
無病息災の対義語
無病息災の対義語・反対語としては、よく病気をすることや病気がちなことを意味する「多病」、からだが弱く病気がちであることを意味する「病弱」、からだが弱く病気にかかりやすい体質を意味する「蒲柳の質」などがあります。
無病息災の類語
無病息災の類語・類義語としては、ちょっとした病気のある人の方が健康な人よりも長生きすることを意味する「一病息災」、病気や災難や心配事もなく平安に暮らしていることを意味する「無事息災」、災難を防ぎ長生きすることを意味する「息災延命」などがあります。
家内安全の例文
この言葉がよく使われる場面としては、家族が無事息災であることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「家内安全」と「夫婦円満」の違いは、家内安全は家族に事故や病気がないことを意味し、夫婦円満は夫婦仲が良いことを意味することにあります。
無病息災の例文
この言葉がよく使われる場面としては、病気もせず健康であること、達者であることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にあるように、無病息災という言葉はお守りや祈祷に関して使われる言葉です。反対に、日常会話ではあまり使われません。
家内安全と無病息災という言葉は、どちらも「病気をせず健康であること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、家族が病気をせず安泰であることを表現したい時は「家内安全」を、個人が病気をせず健康であることを表現したい時は「無病息災」を使うようにしましょう。