似た意味を持つ「にて」と「おいて」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「にて」と「おいて」という言葉は、どちらも物事が行われている場所を表すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「にて」と「おいて」の違い
「にて」と「おいて」の意味の違い
「にて」と「おいて」の違いを分かりやすく言うと、「にて」とはある物事が行われる手段や方法を表すこと、「おいて」とは人と事柄についての関係性を示すことという違いです。
「にて」と「おいて」の使い方の違い
一つ目の「にて」を使った分かりやすい例としては、「本日は午後4時にて閉館いたします」「筆記試験はこちらの会場にて行います」「新幹線にて任地へ赴く」「体調不良にて欠席いたします」「公園にて友達と会う予定です」などがあります。
二つ目の「おいて」を使った分かりやすい例としては、「大阪において大会を挙行します」「普通の人にはなんでもないことが、彼女においてはとても苦痛でした」「彼は在学中において大きな功績を挙げた」「学歴においては彼女に勝っている」などがあります。
「にて」と「おいて」はどちらも物事が行われている場所を表すことや、ある物事が行われている時間を表すことの意味を持っていますが、異なった意味も持っているというのが違いです。
異なった意味としては、「にて」はある物事が行われる手段や方法を表すこと、ある物事が起きた理由や原因を表すことの意味を持っています。一方、「おいて」は人と事柄についての関係性を示すこと、仮定条件を表すことの意味を持っています。
例えば、物事が行われている場所を表すことの意味の場合は、どちらも同じ意味を持っているので、「本イベントは札幌にて行います」を「本イベントは札幌において行います」と置き換えても問題ありません。
しかし、「にて」のある物事が行われる手段や方法を表すことやある物事が起きた理由や原因を表すこと、「おいて」の事柄についての関係性を示すことや仮定条件を表すことの意味の場合は、置き換えることはできないと覚えておきましょう。
「にて」と「おいて」の英語表記の違い
「にて」を英語にすると「in」「at」「on」「with」「by」となり、例えば上記の「公園にて友達と会う予定です」を英語にすると「I plan to meet my friends in the park」となります。
一方、「おいて」を英語にすると「at」「in」「as to」「as for」となり、例えば上記の「学歴においては彼女に勝っている」を英語にすると「As for academic background, I am ahead of her」となります。
「にて」の意味
「にて」とは
「にて」とは、ある物事が行われている場所を表すことを意味しています。その他にも、ある物事が行われている時間を表すこと、ある物事が行われる手段や方法を表すこと、ある物事が起きた理由や原因を表すことの意味も持っています。
「にて」の使い方
「本大会の開会式は横浜にて行います」「来月下旬にて講習会を行いたいと思います」などの文中で使われている「にて」は、「ある物事が行われている場所を表すことやある物事が行われている時間を表すこと」の意味で使われています。
一方、「今からタクシーにてそちらへ向かいます」「本日は私用にて欠席いたします」などの文中で使われている「にて」は、「ある物事が行われる手段や方法を表すことやある物事が起きた理由や原因を表すこと」の意味で使われています。
「にて」は断定の助動詞「なり」の連用形である「に」に接続助詞である「て」が合わさった格助詞で、名詞や活用語の連体形に付いて使う言葉です。
格助詞とは、体言または体言に準ずるものに付いて、それが文中で他の語とどんな関係にあるかを示す助詞のことを意味しています。「にて」の他には、「へ」「で」「と」「より」「から」などがあります。
「にて」の類語
「にて」の類語・類義語としては、動作や作用の行われる時や状況を表わすことを意味する「にあって」、瞬間的な変化や動作の始点や終点を示すことを意味する「にあたって」などがあります。
「おいて」の意味
「おいて」とは
「おいて」とは、人と事柄についての関係性を示すことを意味しています。その他にも、ある物事が行われている場所を表すこと、ある物事が行われている時間を表すこと、仮定条件を表すことの意味も持っています。
「おいて」の漢字表記
「おいて」を漢字にすると、「於いて」「措いて」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「おいて」を使うようにしましょう。
「おいて」の使い方
「この洗濯機は性能において他より劣っている」「雨が降った場合においては運動会は中止になります」などの文中で使われている「おいて」は、「人や事柄についての関係性を示すことや仮定条件を表すこと」の意味で使われています。
一方、「友人の結婚披露宴はディズニーランドにおいて行われる」「過去においてそうであったとしても現在はそうと限りません」などの文中で使われている「おいて」は、「ある物事が行われている場所を表すことやある物事が行われている時間を表すこと」の意味で使われています。
「おいて」は、動詞「おく」の連用形に接続助詞「て」の付いた「おきて」が音変化した連語です。連語とは二つ以上の単語が連結して、一つの単語と似たような働きを持つ言葉のことを意味しています。
また、「おいて」は「○○において」の形で使うのが一般的になっています。
「おいて」の類語
「おいて」の類語・類義語としては、瞬間的な変化や動作の始点や終点を示すことを意味する「に際して」、ある動作や行為に基づいて次の事態が起こることを意味する「うえで」などがあります。
「にて」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある物事が行われている場所を表すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、ある物事が行われている時間を表すこと、ある物事が行われる手段や方法を表すこと、ある物事が起きた理由や原因を表すことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「にて」はある物事が行われている場所を表すこと、例文3の「にて」はある物事が行われている時間を表すこと、例文4の「にて」はある物事が行われる手段や方法を表すこと、例文5の「にて」はある物事が起きた理由や原因を表すことの意味で使っています。
「おいて」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人と事柄についての関係性を示すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、ある物事が行われている場所を表すこと、ある物事が行われている時間を表すこと、仮定条件を表すことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「おいて」は人と事柄についての関係性を示すこと、例文3の「おいて」は仮定条件を表すこと、例文4の「おいて」はある物事が行われている場所を表すこと、例文5の「おいて」はある物事が行われている時間を表すことの意味で使っています。
「にて」と「おいて」はどちらもある物事が行われている場所を表す場合に使うことができますが、異なった意味も持っています。
どちらの言葉を使うか迷った場合、ある物事が行われる手段や方法を表すことを表現したい時は「にて」を、人と事柄についての関係性を示すことを表現したい時は「おいて」を使うと覚えておきましょう。