似た意味を持つ「万夫不当」(読み方:ばんぷふとう)と「一騎当千」(読み方:いっきとうせん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「万夫不当」と「一騎当千」という言葉は、どちらも「強くて勇ましいさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
万夫不当と一騎当千の違い
万夫不当と一騎当千の意味の違い
万夫不当と一騎当千の違いを分かりやすく言うと、万夫不当とは強くて勇ましい人を表し、一騎当千とは強くて勇ましい人だけでなく、人並みすぐれた実力者も表すという違いです。
万夫不当と一騎当千の使い方の違い
一つ目の万夫不当を使った分かりやすい例としては、「ヘビー級チャンピオンには万夫不当の趣がある」「体つきはマッチョだけど万夫不当の勇ではありません」「勇猛果敢な彼は万夫不当と称されています」などがあります。
二つ目の一騎当千を使った分かりやすい例としては、「チームのエースは一騎当千の大活躍をみせてくれた」「対戦相手は一騎当千の強者揃いの強豪チームです」「本プロジェクトには一騎当千の精鋭たちを集めました」などがあります。
万夫不当と一騎当千の使い分け方
万夫不当と一騎当千という言葉は、戦いの場において、多くの人が立ち向かってもかなわないほどの剛強な人を意味します。この意味で用いられている「チャンピオンには万夫不当の趣がある」「エースは一騎当千の大活躍をみせてくれた」の万夫不当と一騎当千は、互いに置き換えることができます。
さらに一騎当千は、「学識や経験あるいは手腕などが人並みすぐれた実力者」の意味も持っています。万夫不当はこの意味を持たないため、上記の例文にある「一騎当千の精鋭たち」の一騎当千は万夫不当に置き換えることはできません。
万夫不当と一騎当千という言葉を比べると、一騎当千の方が広い意味を持ち、幅広い場面で使える四字熟語だと言えるでしょう。
万夫不当と一騎当千の英語表記の違い
万夫不当も一騎当千も英語にすると「match for a thousand」「mighty warrior」となり、例えば上記の「万夫不当の趣がある」を英語にすると「have a taste of mighty warrior」となります。
万夫不当の意味
万夫不当とは
万夫不当とは、多くの人が立ち向かってもかなわないほどの剛強な人を意味しています。
万夫不当の読み方
万夫不当の読み方には二通りあり、「ばんぷふとう」の他に「ばんぷぶとう」と読むこともありますが、一般的には「ばんぷふとう」と読まれています。
表現方法は「万夫不当の豪傑よ」「万夫不当の英霊たちよ」
「万夫不当の豪傑よ」「万夫不当の英霊たちよ」などが、万夫不当を使った一般的な言い回しです。
万夫不当の使い方
万夫不当を使った分かりやすい例としては、「彼こそが万夫不当の勇者であろう」「お前こそ万夫不当の豪傑よ」「万夫不当の英霊たちよ、鎮まり給え」「若い頃は万夫不当の豪傑と呼ばれたものだ」などがあります。
その他にも、「次こそは万夫不当のチャンピオンを倒してやる」「弁慶は心の優しい万夫不当の勇でした」「国軍は万夫不当の兵たちと民衆から恐れられています」「三国志には万夫不当の豪傑が描かれています」などがあります。
万夫という言葉の「万夫」は、多くの男や多くの武士を表し、「不当」は相手にならないことや敵にならないことを表します。万夫不当とは、多くの男がまとまって立ち向かってもかなわないほどの剛勇のたとえとなる四字熟語です。
万夫不当の語源
万夫不当の語源は、中国の詩人である李白の詩「蜀道難」に由来します。この中で「一夫當關万夫莫開」と記し、ひとりの兵士が関所を守れば、数えきれないほど多い兵士が攻めてきたとしても突破できないことを表現しました。
万夫不当の対義語
万夫不当の対義語・反対語としては、意志が弱く実行力に乏しいことを意味する「薄志弱行」、いかにも弱々しいさまを意味する「ひ弱」、もろくて弱いことを意味する「脆弱」などがあります。
万夫不当の類語
万夫不当の類語・類義語としては、この広い世の中で比べるものがないほど優れていることを意味する「天下無双」、昔から今に至るまで匹敵する者のないことを意味する「古今独歩」、心身が強くたくましいことを意味する「剛健」などがあります。
一騎当千の意味
一騎当千とは
一騎当千とは、ずば抜けて強い勇者のこと、学識・経験・手腕などが人並みすぐれた実力者を意味しています。
一騎当千の読み方
一騎当千の読み方は「いっきとうせん」です。古くは「いっきとうぜん」と読まれていましたが、現在では「いっきとうせん」と読むことが普通です。
一騎当千の使い方
一騎当千を使った分かりやすい例としては、「キャプテンは期待通りに一騎当千の活躍をしてくれました」「歌謡界の一騎当千である彼は歌詞作りに長けている」「監督はアニメ界の一騎当千と称えられています」などがあります。
その他にも、「アニメの一騎当千キャラに憧れています」「彼には一騎当千ともいうべきパチンコの才能がある」「一騎当千である彼はパチンコ新台も簡単に制覇しました」「一騎当千の勇者を描いた漫画にハマっています」などがあります。
一騎当千の「一騎」は馬に乗った一人の武者、「当千」は一人で千人に匹敵すること、それほど武勇があることを表します。一騎当千とは、一人で多勢の敵に対抗できるほど強いことを意味し、勇士を形容する四字熟語です。転じて、学識や手腕などが人並みすぐれた実力者の意味も持ちます。
一騎当千の語源
一騎当千の語源は、中国の歴史書「北史」にあります。北史のなかに「一人当千」という記述があり、一人で千人の敵に当たれるほどの勇気や力を持っていることを意味しました。「一騎当千」は、この「一人当千」から派生した四字熟語だと言われています。
一騎当千の対義語
一騎当千の対義語・反対語としては、無用なものや役に立たないもののたとえを意味する「夏炉冬扇」、時期が遅れて役に立たないことを意味する「六菖十菊」、特に優れたところがなくありふれているさまを意味する「平々凡々」などがあります。
一騎当千の類語
一騎当千の類語・類義語としては、国中で並ぶ者がないほど優れた人物のことを意味する「国士無双」、昔から今までに並ぶ者がないことを意味する「古今無双」、この世に並ぶ者がないほど優れていることを意味する「海内無双」などがあります。
万夫不当の例文
この言葉がよく使われる場面としては、万人が当たっても対抗できないほどの剛勇であることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、万夫不当という言葉は、多くの男が一緒になって当たっても、かなわないほど強い剛勇のたとえに用いられています。
一騎当千の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一人で多勢の敵に対抗できるほど強いこと、人並み以上の技術や経験のあることを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の文中にある一騎当千は、力が強いことや武勇に優れていることを表しています。例文3から例文5の一騎当千は、人並みはずれた能力を持つ実力者であることを表しています。
万夫不当と一騎当千という言葉は、どちらも「強くて勇ましいさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、剛勇の人を表現したい時は「万夫不当」を、剛勇の人や人並みすぐれた実力者を表現したい時は「一騎当千」を使うようにしましょう。