同じ「ぶちょうほう」という読み方の「不調法」と「無調法」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不調法」と「無調法」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
不調法と無調法の違い
不調法と無調法の意味の違い
不調法と無調法の違いを分かりやすく言うと、無調法よりも不調法の方が、一般的に使われているという違いです。
不調法と無調法の使い方の違い
一つ目の不調法を使った分かりやすい例としては、「これはとんだ不調法をいたしました」「弊社のスタッフに不調法はございませんでしたか」「絶対に不調法があってはならない」「茶道はまったく不調法でしてご遠慮申し上げます」などがあります。
二つ目の無調法を使った分かりやすい例としては、「全くの無調法者でして恐縮です」「無調法な接客に腹を立てる」「部下が無調法をしでかしまして大変申し訳ございません」「お酒ですか、私は無調法です」などがあります。
不調法と無調法の使い分け方
不調法と無調法という言葉は、主にビジネスシーンで使用され、どちらも「行き届かず、手際の悪いこと」「不始末や粗相」「酒などをたしなまないこと」を意味する同義語です。そのため、上記の例文にある「不調法」と「無調法」は、互いに置き換えて使うことができます。
あえて違いを挙げるならば、一般的には不調法の方が多く使われていることでしょう。不調法と無調法に意味や使い方の違いはありませんが、世間一般で多用されている不調法を使う方が違和感がない表現になります。
不調法と無調法の英語表記の違い
不調法も無調法も英語にすると「impoliteness」「carelessness」「misconduct」となり、例えば上記の「とんだ不調法をいたしました」を英語にすると「I’m sorry to have been so impolite」となります。
不調法の意味
不調法とは
不調法とは、行き届かず、手際の悪いことを意味しています。
その他にも、「過失、不始末、粗相」「酒や芸事のたしなみがないこと」の意味も持っています。
不調法の読み方
不調法の読み方は「ぶちょうほう」です。誤って「ふちょうほう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「不調法で申し訳ありません」「不調法なものですから」
「不調法で申し訳ありません」「不調法なものですから」などが、不調法を使った一般的な言い回しです。
不調法の使い方
「不調法な応対にイライラしました」「道具の使い方が不調法で見ていられない」「息子は世間を知らない不調法者だ」「不調法者は黙っていなさい」「口不調法なので手紙にしました」などの文中で使われている不調法は、「行き届かず、手際の悪いこと」の意味で使われています。
一方、「お客様に不調法のないように」「不調法してしまいました」などの文中で使われている不調法は「過失、不始末、粗相」の意味で、「お酒は不調法なのですみません」「絵画について私は不調法です」の文中で使われている不調法は「酒や芸事のたしなみがないこと」の意味で使われています。
不調法とは、複数の意味を持つ言葉であり、それぞれの意味で使われるため、文脈により言葉の表す内容を判断する必要があります。不調法の「調法」は熟慮して適切に処理することを意味し、打ち消しの「不」と結び付き、手際の悪さや不始末、さらには芸事などに対する心得がないことを表します。
「口不調法」の意味
不調法を用いた日本語には「口不調法」(読み方:くちぶちょうほう)があります。口不調法とは、「口無調法」とも表記し、話すことが不得意で、思うことを上手く人に言えないことを意味します。類義語には「口下手」があります。
不調法の対義語
不調法の対義語・反対語としては、注意深くて軽々しく行動しないことを意味する「慎重」、よく注意して十分に心をくばっていることを意味する「用心深い」、世俗から離れて詩歌や書画など趣味の道に遊ぶことを意味する「風流」などがあります。
不調法の類語
不調法の類語・類義語としては、注意が足りないことや迂闊なことを意味する「不注意」、不注意なために引き起こした過ちを意味する「粗忽」、身持ちの悪いことを意味する「不品行」、礼儀作法にはずれていることを意味する「無作法」などがあります。
無調法の意味
無調法とは
無調法とは、行き届かず、手際の悪いことを意味しています。
その他にも、「過失、不始末、粗相」「酒や芸事のたしなみがないこと」の意味も持っています。
無調法の読み方
無調法の読み方は「ぶちょうほう」です。誤って「むちょうほう」などと読まないようにしましょう。
無調法の使い方
「口が無調法なので思いが伝わらない」「何事も無調法なため時間がかかってしまう」「彼は自分のことを無調法者だと謙遜している」などの文中で使われている無調法は、「行き届かず、手際の悪いこと」の意味で使われています。
一方、「私の無調法で迷惑をおかけしました」「息子の無調法を詫びる」などの文中で使われている無調法は「過失、不始末、粗相」の意味で、「すみません、不調法でしてお酒は結構です」の文中で使われている無調法は「酒や芸事のたしなみがないこと」の意味で使われています。
無調法の「調法」は、よく思案し適切に処理することを意味します。否定の助詞である「無」と結び付き、無調法とは、手際の悪いことや不始末を意味し、さらには酒や芸事などに対する心得がないことも表します。
「無調法者」の意味
無調法を用いた日本語には「無調法者」(読み方:ぶちょうほうもの)があります。無調法者とは、「不調法者」とも書き表し、行き届かない者、配慮が足りない未熟者を意味します。
無調法の対義語
無調法の対義語・反対語としては、物事に注意する度合いが強いことを意味する「注意深い」、処理のしかたがうまいことや手際がいいことを意味する「要領がいい」、書画や茶道などのたしなみのあることを意味する「風雅」などがあります。
無調法の類語
無調法の類語・類義語としては、気のくばり方や注意が足りないことを意味する「不行届き」、用心が足りないことを意味する「不用心」、人に迷惑がかかるような不都合な行いをすることを意味する「不始末」、礼を欠くことや無作法なことを意味する「不躾」などがあります。
不調法の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手際が悪く下手なこと、しくじりや不始末、酒などをたしなまないことや芸事に疎いことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「不調法」は、「無調法」に置き換えることができます。
例文1や例文2にある不調法は、手際が悪く下手なことの意味で用いられています。例文3の不調法は、しくじりや不始末の意味で用いられています。例文4や例文5の不調法は、芸事や酒をたしなまないことの意味で用いられています。
無調法の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手際が悪く下手なこと、しくじりや不始末、酒などをたしなまないことや芸時に疎いことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文の「無調法」は、「不調法」に置き換えても問題ありません。
例文1や例文2の無調法は、手際が悪く下手なことの意味で用いられています。例文2や例文3の無調法は、しくじりや不始末の意味で用いられています。例文5の無調法は、酒などをたしなまないことの意味で用いられています。
不調法と無調法という言葉は、どちらも「手際が悪い事、不始末、酒などをたしなまないこと」を表す同音同義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に用いられている「不調法」と表記する方が通じやすいでしょう。