似た意味を持つ「秋波」(読み方:しゅうは)と「色目」(読み方:いろめ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「秋波」と「色目」という言葉は、どちらも「相手の気を引こうとする目つき」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
秋波と色目の違い
秋波と色目の意味の違い
秋波と色目の違いを分かりやすく言うと、秋波とは女性から男性に送る視線を表し、色目とは女性のみだけでなく男性から異性に送る視線も表すという違いです。
秋波と色目の使い方の違い
一つ目の秋波を使った分かりやすい例としては、「彼女はしきりに秋波を送っている」「彼に秋波を送ったのに気付いてもらえなかった」「アメリカは関係改善に向けて中国に秋波を送っている」「与野党が新党を取り込もうと秋波を送る」などがあります。
二つ目の色目を使った分かりやすい例としては、「気になる女の子に色目を使う」「上司に色目を使う女性社員がいます」「嫌いな異性から色目を使われるのは気分が悪いものです」「明るい色目の振袖を選びました」などがあります。
秋波と色目の使い分け方
秋波と色目という言葉は、相手の気を引こうとする目つきや、異性に対する色っぽい目つきを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
秋波とは、「秋波を送る」という言い回しで用いられ、女性が男性の関心を引こうとして、媚びを含んだ目で見ることを意味します。また、政治やビジネスに関して、利益のために相手の関心を引こうとする意味でも用いられるようになっています。
色目とは、「色目を使う」の言い回しで用いられ、異性の気を引くような目つきや、相手に対して気があるようなそぶりをすることを意味します。また、「明るい色目」のように、色の濃淡や明暗も意味する言葉です。
つまり、どちらも男女間の感情を込めた目つきを表しますが、秋波は女性にのみ使い、色目は性別を限定することなく使える点が大きな違いになります。
秋波と色目の英語表記の違い
秋波も色目も英語にすると「amorous glance」「oglings」「wink」となり、例えば上記の「秋波を送る」を英語にすると「cast amorous glances」となります。
秋波の意味
秋波とは
秋波とは、美人の涼しい目もと、女性のこびを含んだ目つきを意味しています。
秋波の使い方
秋波を使った分かりやすい例としては、「好きな人の気を引きたくて秋波を送る」「だれかれ構わず秋波を送る女性もいます」「ずっと秋波を送っているのに気付いてくれない」などがあります。
その他にも、「首相はアメリカ政権に秋波を送っている」「選挙戦の鍵を握る政治家のもとに各党から秋波が送られている」「多くの商業施設がファストファッション企業に秋波を送っている」などがあります。
秋波の語源
秋波とは、もともと中国語を語源とし、「秋のころの澄んだ波」の意味しました。その美しさから、女性の涼しげな目元をたとえる言葉となり、さらには、男性の気を引こうとしてする色っぽい目つきの意味でも使われるようになりました。
「秋波を送る」の意味
秋波という言葉は、「秋波を送る」の慣用句で用いられています。女性が、相手の関心を引こうとして媚びを含んだ目つきで見ることを意味します。
また、上記の「各党から秋波が送られている」「企業に秋波を送る」のように、最近では政治やビジネスのニュースでも、秋波という言葉が使われています。この場合、自分の利益のために相手の関心を引こうとすることを表しています。
秋波の類語
秋波の類語・類義語としては、男女間の感情をこめて送る目つきを意味する「流し目」、目を動かして意思を伝えたり合図をしたりすることを意味する「目くばせ」、気を引こうとしてなまめかしい表情をすることを意味する「媚びる」などがあります。
色目の意味
色目とは
色目とは、色合い、色調を意味しています。
その他にも、「異性の気を引くような目つき、流し目」の意味も持っています。
色目の読み方
色目の読み方は「いろめ」です。「しきもく」と読むことがありますが、 この場合は土地などの属性という別の意味になります。「色目人」は「しきもくじん」と読み、中国の歴史上における西域出身の諸族を表します。
色目の使い方
「この着物に合う帯の色目はなんだろう」「かさね色目を振袖コーデの参考にする」「優しい色目のパステルカラーが好きです」「色目と色味にこだわって服を選ぶ」などの文中で使われている色目は、「色合い、色調」の意味で使われています。
一方、「男子生徒が英語の女性教師に色目を使っている」「誰にでも色目を使う女は信用できない」「兄に色目を使わないで欲しい」「異性から色目で見られるのが怖い」などの文中で使われている色目は、「異性の気を引くような目つき」の意味で使われています。
色目とは、上記の例文にあるように二つの意味があるので、文脈により意味を捉える必要があります。色目の「色」は、彩りだけでなく、女性の美しい顔や男女間の欲情も表す漢字です。
「かさね色目」の意味
上記の例文にある「かさね色目」とは、平安時代以降、公家社会に行われた衣服や調度の色の組み合わせのことです。漢字で「襲色目」と表記します。
「色目を使う」の意味
色目を用いた慣用句には「色目を使う」があります。「色目を使う」とは、異性の気を引くような目つきや態度をとることを表す言い回しです。また、異性に限らず、何か下心をもって媚びるような態度をとることにも用いられる表現です。
表現方法は「色目で見る」「色目で見られる」
「色目を使う」以外では「色目で見る」「色目で見られる」などが、色目を使った一般的な言い回しです。
「色目障害」は誤り
色目を用いた誤った日本語には「色目障害」があります。正しくは「色覚障害」「色覚異常」であり、色の見え方が通常の人とは違って見えてしまう病気のことです。
色目の類語
色目の類語・類義語としては、いろどりや色合いを意味する「色彩」、色の濃淡や強弱を意味する「トーン」、好意を寄せる意を含んで片目をまばたいて合図を送ることを意味する「ウインク」などがあります。
秋波の例文
この言葉がよく使われる場面としては、美人の涼しげな美しい目元、女性のこびを表わす色っぽい目つきを表現したい時などが挙げられます。
秋波という言葉は、例文1から例文4にあるように、女性が色目を使って異性の関心を引く意味で用いられることが多くあります。一方、例文5のように、政治の世界における立候補の打診や選挙協力の模索といった政治戦略を表すこともあります。
色目の例文
この言葉がよく使われる場面としては、色合い、色調、異性の気を引くような目つきを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある色目と色味の違いは、色目は色の組み合わせの意味合いが強く、色味は色の風味の意味合がある点です。ただし、色目と色味は同義の言葉として、区別なく使われていることが多くあります。
例文3にあるように、「色目で見る」という慣用句はありません。正しくは「色眼鏡で見る」であり、偏見や先入観で人や物を見て判断するさまを表します。
秋波と色目という言葉は、「相手の気を引こうとする目つき」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、女性から男性に送る視線を表現したい時は「秋波」を、男性女性どちらからでも異性に送る視線を表現したい時は「色目」を使うようにしましょう。