似た意味を持つ「中抜き」(読み方:なかぬき)と「ピンハネ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「中抜き」と「ピンハネ」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「中抜き」と「ピンハネ」の違い
「中抜き」と「ピンハネ」の意味の違い
「中抜き」と「ピンハネ」の違いを分かりやすく言うと、「中抜き」とは卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引すること、「ピンハネ」とは取り次いで人に渡すべき金品からその一部を取って自分のものとすることという違いです。
「中抜き」と「ピンハネ」の使い方の違い
一つ目の「中抜き」を使った分かりやすい例としては、「近所の直売所で中抜きのジャガイモが販売されている」「中抜きすることで低価格で商品を提供することできる」「中抜きをした方が得するだろう」などがあります。
二つ目の「ピンハネ」を使った分かりやすい例としては、「建設業界でピンハネがなくなることはないだろう」「一人親方にピンハネされているのでとても不満がある」「彼女は手数料として労務者の賃金から30パーセントピンハネをした」などがあります。
「中抜き」と「ピンハネ」の使い分け方
「中抜き」と「ピンハネ」は似た場面で使う言葉ですが、意味が正反対の言葉なので混同しないように注意しましょう。
「中抜き」は商品の流通経路で卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引することを意味しているのに対して、「ピンハネ」は取り次いで人に渡すべき金品からその一部を取って自分のものとすることを意味しているというのが違いです。
しかし、現代では「中間業者がピンハネすること」を、「中抜き」と言っている人も多数存在しています。「中抜き」には中を抜き取ることの意味があるため、この意味で使うとすれば一概には間違いとは言えないのですが、正しい使い方ではないので間違えないように注意しましょう。
「中抜き」と「ピンハネ」の英語表記の違い
「中抜き」を英語にすると「disintermediation」「hollowing out」「outlining」となり、例えば上記の「中抜きをした方が得するだろう」を英語にすると「It is better to eliminate the disintermediation」となります。
一方、「ピンハネ」を英語にすると「skim off a percentage」「take a cut」「take commission」となり、例えば上記の「彼女は手数料として労務者の賃金から30パーセントピンハネをした」を英語にすると「She took a cut of 30 percent of the laborers’ wages as a commission」となります。
「中抜き」の意味
「中抜き」とは
「中抜き」とは、商品の流通経路で卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引することを意味しています。その他にも、中を抜き取ることや野菜や草花を一度間引いたあとで更にもう一度間引くことの意味も持っています。
「中抜き」は「中貫き」との表記可能
「中抜き」は別の漢字表記で「中貫き」と表現することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、「中抜き」の方を使うようにしましょう。
表現方法は「中抜きする」「中抜き企業」「中抜き業者」
「中抜きする」「中抜き企業」「中抜き業者」などが、「中抜き」を使った一般的な言い回しになります。
「中抜き」の使い方
「中抜きすることが売り上げが増えました」「中抜き業者を通さないことで品物を安く販売することができる」などの文中で使われている「中抜き」は、「商品の流通経路で卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引すること」の意味で使われています。
一方、「ローストチキン用の鶏は中抜きして販売されている」「ニンジンを中抜きする」などの文中で使われている「中抜き」は、「中を抜き取ることや野菜や草花を一度間引いたあとで更にもう一度間引くこと」の意味で使われています。
「中抜き」は複数の意味を持つ言葉ですが、一般的に使われているのは商品の流通経路で卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引することの意味です。また、主にビジネスシーンで使う言葉になります。
この中間業者とは、生産者と消費者の間に位置する商品を流通させる業者のことで、卸売業者、派遣会社、旅行代理店などが挙げられます。
また、「中抜き」はこの中間業者を通さずに消費者と直接取引する言葉ですが、現代では中間業者に代金の一部を取られるという間違った意味で使っている人が一定数いるのも現実です。辞書には載っていない使い方なので、間違えないように注意しましょう。
「中抜き」の類語
「中抜き」の類語・類義語としては、調理で魚や鳥などの骨を取り除くことを意味する「骨抜き」、仲介人を経ないで当事者どうしが取引することを意味する「直接取引」などがあります。
「ピンハネ」の意味
「ピンハネ」とは
「ピンハネ」とは、取り次いで人に渡すべき金品からその一部を取って自分のものとすることを意味しています。
「ピンハネ」の漢字表記
「ピンハネ」を漢字にすると、「ピン撥ね」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、「ピンハネ」や「ピンはね」を使うようにしましょう。
表現方法は「ピンハネする」「ピンハネ業者」
「ピンハネする」「ピンハネ業者」などが、「ピンハネ」を使った一般的な言い回しになります。
「ピンハネ」を使った分かりやすい例としては、「なぜ日本からピンハネシステムがなくならないのだろうか」「ピンハネする業者を許すことはできません」「売り上げ金からこっそりピンハネする」などがあります。
「ピンハネ」とは取り次いで人に渡すべき金品からその一部を取って自分のものとすること、つまり、他人に取り次ぐ資金や代金の一部を不正にかすめ取ることを意味する言葉です。
天下り団体、暴力団、建設業、人材派遣、芸能事務所、民間団体などでは理不尽な慣行として行われています。
「ピンハネ」の建設業の例
建設業界を例に挙げると、建設業界では発注者から直接依頼を受ける元請けが、下請け業者に依頼することが一般的となっています。また、この下請け業者がさらに他の業者に依頼する二次請けなどもあります。
ここで、工事代金100万円のうち90万円下請けに払うはずだったものを、元請け業者が20万抜き取り、70万円だけ渡すというのが「ピンハネ」です。それにより元請け業者は本来10万だった利益が30万円になるという仕組みです。
「ピンハネ」の類語
「ピンハネ」の類語・類義語としては、階級社会で生産手段の所有者が生産手段を持たない直接生産者を必要労働時間以上に働かせてそこから発生する剰余労働の生産物を無償で取得することを意味する「搾取」、金品を騙して取ることを意味する「詐取」などがあります。
「中抜き」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、商品の流通経路で卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、中を抜き取ることや野菜や草花を一度間引いたあとで更にもう一度間引くことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「中抜き」は商品の流通経路で卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引すること、例文4の「中抜き」は中を抜き取ること、例文5の「中抜き」は野菜や草花を一度間引いたあとで更にもう一度間引くことの意味で使っています。
「ピンハネ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、取り次いで人に渡すべき金品からその一部を取って自分のものとすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ピンハネ」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「中抜き」と「ピンハネ」は意味が異なった言葉なので間違えないように注意が必要になります。
どちらの言葉を使うか迷った場合、卸売など中間業者を抜かして生産者と小売業または消費者が直接に取引することを表現したい時は「中抜き」を、取り次いで人に渡すべき金品からその一部を取って自分のものとすることを表現したい時は「ピンハネ」を使うと覚えておきましょう。