【妥当】と【適切】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「妥当」(読み方:だとう)と「適切」(読み方:てきせつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「妥当」と「適切」という言葉は、実情にあてはまることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




妥当と適切の違い

妥当と適切の意味の違い

妥当と適切の違いを分かりやすく言うと、妥当よりも適切のほうが、ぴったりとあてはまっていることを表すという違いです。

妥当と適切の使い方の違い

一つ目の妥当を使った分かりやすい例としては、「話し合いの末に妥当な結論に至った」「社長が妥当な判断を下した」「妥当なスケジュールだろう」「お餞別はいくらぐらいが妥当なんだろう」などがあります。

二つ目の適切を使った分かりやすい例としては、「適切な言葉を使って表現する」「適切な応急処置だった」「適切でない民間療法には注意が必要だ」「適切な車間距離を保ちましょう」などがあります。

妥当と適切という言葉は、ある状況や物事に対してあてはまることや、ふさわしいことを意味する言葉です。日常生活やビジネスシーンなど幅広く使われる言葉ですが、微妙に意味合いが異なるので使い方には注意が必要です。

「適切な応急処置」と「妥当な応急処置」の違い

妥当は、一般的にふさわしいことを表します。適切は、ある対象や目的に対してふさわしいことを表します。上記の例の「適切な応急処置」とは、ある症状に特化してふさわしい処置を表します。これが「妥当な応急処置」になると、その症状に特化しないが一般的によいとされる処置を表します。

妥当と適切を比較した場合、適切の方が適合している度合いが高く、ぴったりとあてはまっていることを表しています。これが、妥当と適切の明確な違いになります。

妥当と適切の英語表記の違い

妥当を英語にすると「reasonable」「valid」「proper」となり、例えば上記の「妥当な結論」を英語にすると「reasonable conclusion」となります。

一方、適切を英語にすると「appropriately」「suitably」「fitly」となり、例えば上記の「適切な言葉」を英語にすると「appropriate words」となります。

妥当の意味

妥当とは

妥当とは、実情によくあてはまっていることを意味しています。

表現方法は「妥当な判断」「妥当だと思う」「妥当性」

「妥当な判断」「妥当だと思う」「妥当性」などが、妥当を使った一般的な表現方法です。

妥当の使い方

妥当を使った分かりやすい例としては、「この商品の価格設定は妥当な線だろう」「測定の妥当性を確認する」「見積金額が妥当か否か判断つかない」「役員報酬は妥当と判断する」「免職は社会通念上妥当を欠く」などがあります。

その他にも、「中学生のお小遣いはいくらが妥当なのか」「9月入学に妥当性なしと結論づけた」「国や地域を超えて妥当する道徳心はない」「このサービスを受けられるなら妥当な金額だ」などがあります。

妥当という言葉は、事情や状況によくあてはまることを意味し、考え方や方法に対して使われる言葉です。一般的に考えてふさわしいことを表し、特定の場合だけでなく、同じような事情な状況にもあてはまる正しいことを表現します。

「価格設定は妥当」の意味

上記の例の「価格設定は妥当」とは、市場のニーズや競合商品の価格などの相場を考えて、価格設定がふさわしく正しいことを表します。また、「お小遣いはいくらが妥当なのか」とは、世間一般的な考え方ではいくらぐらいが正しいのか、を表しています。

妥当の対義語

妥当の対義語・反対語としては、適当でないことを意味する「不当」などがあります。

妥当の類語

妥当の類語・類義語としては、ふさわしいことを意味する「相応」、いちばん適していることを意味する「最適」などがあります。

妥当の妥の字を使った別の言葉としては、対立した事柄について譲り合って解決することを意味する「妥協」、双方が互いに折れ合って話がまとまることを意味する「妥結」などがあります。

適切の意味

適切とは

適切とは、状況や目的などにぴったり当てはまること、その場や物事にふさわしいことを意味しています。

表現方法は「適切に行う」「適切な判断」「適切な対応」

「適切に行う」「適切な判断」「適切な対応」などが、適切を使った一般的な表現方法です。

適切の使い方

適切を使った分かりやすい例としては、「お酒のリスクや効用を知って適切な飲み方を心掛ける」「生活習慣病の予防には、適切な量と質の食事が鍵だ」「表現が適切かどうかチェックする」「水分の適切な摂取量と飲むタイミング」などがあります。

その他にも、「災害時の対応が適切でないと非難された知事」「適切な服の量を知って断捨離をする」「子供の不適切なスマホ利用に注意」「不正行為ではないが適切さを欠く行動だった」などがあります。

「適切な服の量」「適切さに欠く」の意味

適切という言葉は、過不足なく、よくあてはまる場合に用いられます。状況や目的などにぴったりあてはまることや、その場や物事にふさわしいことを意味します。上記の例の「適切な服の量」とは、目的にあてはまる服の量を表します。「適切さに欠く」とは、その場にふさわしくないさまを表します。

適切の対義語

適切の対義語・反対語としては、状況や事柄に対する配慮を欠いていることを意味する「不適切」などがあります。

適切の類語

適切の類語・類義語としては、ある条件や要求などにうまくあてはまることを意味する「適当」、状況によく合っていることを意味する「適宜」などがあります。

適切の適の字を使った別の言葉としては、その場の状態などによくあてはまることを意味する「適応」、適当で正しいことを意味する「適正」などがあります。

妥当の例文

1.感染症流行の収束が見通せないので、富士登山道の閉鎖は妥当な判断だと思う。
2.インターネットの情報には正確性や妥当性に欠けるものもあり、慎重な判断が必要だ。
3.適切な管理を行うためには検証と妥当性確認の違いを知っておくべきだ。
4.責任感があり、しっかり者の彼女がリーダーになることが妥当な線だろう。
5.妥当な推論とは、前提から結論が正しく導きだされることをいう。
6.休職している主任の代理を誰にやってもらうか話し合った結果、2年目だが頼もしいRさんが妥当だろうということになった。
7.お小遣いの額がいくらが妥当なのかは、時代によっても代わるし、家庭の事情にもよる。
8.プログラマーは、システムの設計やコードの記述において妥当性を確保する必要がある。
9.政治家は、国民の利益や社会全体の福祉を考慮した妥当な政策を立案するべきだ。
10.最初は割高だと思っていたが、このような至れり尽くせりのサービスを受けられるなら妥当な金額だ。

この言葉がよく使われる場面としては、実情によくあてはまっていることを表現したい時などが挙げられます。

例文2や例文3にある「妥当性」とは、うまく適合する度合いを意味します。例文3の「妥当性確認」とは、製造業の製品開発において、実際の用途に関して適格性を確認することを表します。例文4にある「妥当な線」とは、合理的な方針であることを意味します。

適切の例文

1.食の安全管理を適切に行うために、事業者と行政関係者が意見交換をする。
2.いじめ問題への迅速かつ適切な対応について、教育委員会が指針を示す。
3.適切な睡眠時間は6~8時間が目安と言われているが、個人の体質や生活リズムによって異なる。
4.快適なオフィス環境には、温度だけでなく適切な湿度コントロールも必要です。
5.身寄りがない人や意思決定が困難な人のための、適切な意思決定支援に関する指針が示された。
6.職場では服装のカジュアル化が進んでいて、TPOに合わせて各自適切な服装をすることが推奨されている。
7.これからの時代は、働き方も多様になるので、収入元も二本柱であるのが適切です。
8.タクシー運転手ならば、適切な速度と距離を保ちながら安全運転を心がけるべきだ。
9.先日の動画に不適切なシーンがあったため、該当部分を修正して再度配信いたします。
10.いくら服装が自由とはいっても、その格好はあまりに奇抜で適切さに欠くのではないか。

この言葉がよく使われる場面としては、状況や目的などにぴったり当てはまることや、その場や物事にふさわしいことを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2のように、適切という言葉は行動や行いを表現するときに使われることが多い言葉です。例文3や4の適切は、物事にふさわしいことを表しています。例文5の「適切な意思決定支援」とは、意思決定するための支援をそれぞれの事情や状況にあわせて行うことを表しています。

「妥当」と「適切」という言葉は、実情にあてはまることやふさわしいことを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合は、一般的にあてはまることを表現したい時は「妥当」を、あることに特化してぴったりあてはまることを表現したい時は「適切」を使うようにしましょう。

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