【自社】と【弊社】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「自社」(読み方:じしゃ)と「弊社」(読み方:へいしゃ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「自社」と「弊社」という言葉は、どちらも「自分の会社」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




自社と弊社の違い

自社と弊社の意味の違い

自社と弊社の違いを分かりやすく言うと、自社とは謙譲語ではない、弊社とは謙譲語であるという違いです。

自社と弊社の使い方の違い

一つ目の自社を使った分かりやすい例としては、「自社製品の強みと弱みを分析する」「自社ビルを売却することになりました」「自社工場より最短で全国へ出荷します」「中古車販売の自社ローンは即日審査が可能です」などがあります。

二つ目の弊社を使った分かりやすい例としては、「弊社のオフィスにご案内いたします」「異業種交流会を弊社内で実施しました」「弊社の都合で大変恐縮ですが日程を変更していただけますでしょうか」などがあります。

自社と弊社の使い分け方

自社と弊社という言葉は、どちらも自分が所属している会社を指しますが、意味や使い方には違いがあります。

自社とは、自分が所属している会社、自分の勤務している会社を意味します。尊敬語や謙譲語ではなく、「自社ブランド」「自社株」のように他の語句と一緒に使用されることが多い言葉です。「自社ブランド」とは、小売店などが独自に開発を行い、自社で販売する商品のことです。

弊社とは、自分の会社を意味し、自分の勤務している会社を謙遜していう表現です。基本的には社外の人に使う言葉であり、同じ会社の人にいうことはありません。主に手紙などの文章の中で使われますが、話し言葉として使用することもできます。

つまり、二つの言葉の違いは謙譲語であるかどうかです。自社は謙譲語ではありませんが、弊社は謙譲語です。相手の会社に対して謙遜の意を表したい時には、弊社という言葉を使うようにしましょう。

自社と弊社の英語表記の違い

自社を英語にすると「own company」となり、例えば上記の「自社製品」を英語にすると「own company’s product」となります。一方、弊社を英語にすると「our company」「our firm」となり、例えば上記の「弊社のオフィス」を英語にすると「our company’s office」となります。

自社の意味

自社とは

自社とは、自分の会社、自分の勤めている会社を意味しています。

自社の使い方

自社を使った分かりやすい例としては、「自社ビルのある会社で働きたい」「契約審査の自社基準を確認する」「自社の社長を取引先に紹介する」「自社株買いにはメリットだけでなくデメリットもあります」などがあります。

その他にも、「株主優待として自社製品をお送りします」「自社独自の生成AI環境を構築する」「自社ブランドとして商品を開発する」「中古車販売店の自社ローンを利用しています」「自社ローンなら絶対通るでしょう」などがあります。

自社の「自」は訓読みで「みずから」と読み、一人称の人代名詞や自分自身を表す漢字です。会社の略語である「社」と組み合わさり、自社とは、自分の所属している会社や自分が経営している会社を意味します。

表現方法は「自社ローン」

自社を用いた日本語には「自社ローン」があります。自社ローンとは、信販会社を通さずに、中古車販売店が自社で提供しているローンを意味します。販売店が独自の基準で審査を行うため、審査に通りやすいと言われています。

自社の対義語

自社の対義語・反対語としては、ほかの会社を意味する「他社」などがあります。

自社の類語

自社の類語・類義語としては、自分の所属するこの会社や我が社を意味する「当社」、経済的効用の創出を遂行する組織体を意味する「企業」、自分の勤務する会社を大切に思うことを意味する「愛社」などがあります。

弊社の意味

弊社とは

弊社とは、自分の会社をへりくだっていう語を意味しています。

弊社の使い方

弊社を使った分かりやすい例としては、「弊社宛にご返送くださいませ」「弊社ではコストダウンに努めております」「御社にて弊社サービスをご紹介させてください」「再発防止策を弊社内で検討してまいります」「弊社は採用時に英語力の基準は設けていません」などがあります。

その他にも、「弊社はEC物販事業を営んでおります」「弊社の記者に関する動画が拡散されている」「これらのメールと弊社は一切関係がございません」「弊社内において不正なアクセスを検知しました」などがあります。

弊社の「弊」は自分に関することに添えて謙遜を示す語です。会社を表す「社」と結びつき、弊社とは、自分の属する会社をへりくだっていう言葉です。弊社は社外に対して使うものであり、社内の人との会話では使いません。

弊社の特徴

弊社という言葉は、メールや手紙に使う書き言葉としても、電話や対話に使う話し言葉としても用いることが可能です。弊社は謙譲語であるため、自分が勤める会社を低い立場にすることで、相手の会社を立てる意味合いを持たせることができます。

弊社の対義語

弊社の対義語・反対語としては、相手の勤務している会社を敬っていう語を意味する「貴社」、相手を敬ってその人が属する会社などをいう語を意味する「御社」などがあります。

弊社の類語

弊社の類語・類義語としては、自分が勤務している会社をへりくだっていう語を意味する「小社」、会社の業務を行う本拠となっている事業所を意味する「本社」、会社や団体で、本社から分かれて設けられた事業所を意味する「支社」などがあります。

自社の例文

1.外資系企業である自社のマニュアルは、すべて英語で書かれています。
2.商品やサービスをPRするのであれば、自社のHPだけでなくSNSも活用すべきです。
3.社用車には、自社保有である社有車のほかにリース会社保有のリース車があります。
4.社外にFAXを送る際は、自社オリジナルの送付状を使用してください。
5.近年、企業が株主への還元などをねらって行う自社株買いが活発になっています。

この言葉がよく使われる場面としては、自分が属する会社を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「自社株買い」とは、自己株式取得の一種であり、過去に発行した株式を自らの資金を使って直接買い戻すことを意味します。自社株買いは株価上昇につながる可能性が高くなります。

弊社の例文

1.弊社を装った迷惑メールが届く事態が発生しておりますので、十分注意ください。
2.弊社社員を装った不審な電話が多発しております。ご用心くださいませ。
3.弊社はゲームソフトウェアの開発会社ですが、御社と協業することは可能でしょうか。
4.社内にメールを送る時は自分の会社を当社と言い、社外メールの時は弊社と表現しています。
5.弊社はインボイス制度の実施に反対し、政府に見直しを求めております。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の属する会社の謙称を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、弊社という言葉は、主にビジネスシーンで使用されています。

自社と弊社という言葉は、どちらも「自分の会社」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分の会社をへりくだって表現したい時は「弊社」を使うようにしましょう。

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