【事実】と【真実】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「事実」(読み方:じじつ)と「真実」(読み方:しんじつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「事実」と「真実」という言葉は、どちらも出来事について表現しているという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。




事実と真実の違い

事実と真実の意味の違い

事実と真実の違いを分かりやすく言うと、実際に起こった出来事のことか、心情などを含めた上での本当のことかの違いです。

事実と真実の使い分け方

事実というのは、感情が含まれない言葉です。実際に起こった出来事をありのままに表現する際に使います。

そこには主観や心情などといった感情が含まれてはいけません。物事や状態が、確かにそこに存在するということが判断できる場合にのみ使われる言葉です。

一方、真実というのは、心情や感情を含めた上で、嘘や偽りのないことを表現する際に使う言葉です。真実とは、人それぞれの心の内側にあるもので、自分にとって嘘がなければ、それは真実となります。

例えば、トリックアートなどの例で考えるとわかりやすいでしょう。同じ大きさの円が描かれているイラストでも、円の周囲の色が違うだけで大きさが違って見えることがあります。

この場合、「円の大きさは同じである」というのが事実であり、「同じ大きさであるはずの円が、違う大きさに見えている」というのが真実です。

事実は、ただ現実にあるそのままの状態を表現します。対する真実は、人の感覚などを含めた上で、偽りのない見たままの情報を表現します。

事実と真実の語源の違い

事実と真実とは、両方とも「実」という字が入る言葉です。この「実」という言葉は、中身や内容を意味しています。

事実という言葉は、この実という字に「事」という言葉を加えているものです。「事」という字は、事柄や出来事を意味しています。つまり、事実とは、事柄や出来事の中身、内容という意味を持つと言うことが出来ます。

同じように、真実という言葉は実という字に「真」という言葉を加えたものです。この「真」という言葉は、嘘のないこと、本当であり、自然のままであることを意味しています。つまり真実とは、嘘のない中身、本当の内容のことを示すと言えます。

事実は、単純な出来事の中身を指しているのに対し、真実は個々人の心情的な観点も含まれています。

つまり、事実はひとつしかないのに対し、真実は人の数だけあると言えます。自分の中で嘘偽りがなければ、それがどんな考えや物事であれ、その人の真実となります。

事実は変わらないが真実は変わることがある

事実は変えることが出来ませんが、真実は変わることがあります。

事実は、ただ起こった出来事のことなので、変わることはありません。

しかし、真実というのは、その人の心が思うことなので、なにかのきっかけで心境に変化があった場合、真実自体も変わる可能性があります。その時々の心に嘘や偽りがなければ、それが真実となります。

事実と真実の英語表記の違い

事実を英語にすると「fact」「truth」「reality」となり、例えば「事実を受け入れる」を英語にすると「Accept the facts」となります。

一方、真実を英語にすると「truth」「reality」となり、例えば「真実が明らかになる」を英語にすると「The truth is revealed」となります。

事実の意味

事実とは

事実とは、実際に起こった出来事であり、感情を含まないありのままの出来事のことを意味しています。事実は変化することがなく、誰が見ても明らかなものを指します。

表現方法は「事実無根」「事実関係」「既成事実」

「事実無根」「事実関係」「既成事実」などが、事実を使った一般的な表現方法です。

事実の使い方

事実を使った分かりやすい例としては、「事実とは何かが今回の研修のテーマです」「この情報は事実無根である」「事実関係を社内で確認いたします」「あの2人は婚姻関係はないが事実上の夫婦であった」「既成事実を塗り替えるビジネスモデルだ」などがあります。

事実とは、もう起こってしまった出来事に対して使う言葉です。過去に起こった出来事をありのまま、主観的な思いや気持ちを抜きにして話すことを、事実を語るという風に表現したりします。

「歴史的事実」の意味

歴史的事実という言葉もあります。これは、歴史に残っている出来事をありのままに伝えているという意味です。主観などは含まれず、はっきりとわかっていない事や諸説ある物事などは含まれません。

織田信長は本能寺の変で討たれた、というのが歴史的な事実です。しかし、歴史学者などの中には、織田信長は本当は生き延びていたという説を唱える人もいます。

それは、その人の感情や願望が含まれた織田信長の「真実」であり、歴史的な「事実」ではありません。

事実と真実は、似ているようで違う意味合いを持っています。ただ淡々と出来事のみを語る場合に「事実」という言葉を使うようにします。

事実の対義語

事実の対義語・反対語としては、事実でないことを意味する「虚構」があります。

事実の類語

事実の類語・類義語としては、物事のあるがままの状態を意味する「実際」、事実として目の前に現れていることを意味する「現実」、実際にそうであることを意味する「本当」、物事の本当の姿を意味する「実体」、実際の状況を意味する「実情」などがあります。

事実の「事」という字を使った単語としては、物事がある状態に至るまでの理由や状態を意味する「事情」、物事の状態や成り行きを意味する「事態」、ある物事の中の一つ一つの事柄を意味する「事項」などがあります。

真実の意味

真実とは

真実とは、出来事に主観や感情を含めて、嘘偽りなく表すことを意味しています。主観や感情が含まれる分、真実とは人によって違ってくるものです。

表現方法は「真実に迫る」「真実が明らかに」「真実の愛」

「真実に迫る」「真実が明らかに」「真実の愛」などが、真実を使った一般的な表現方法です。

真実の使い方

真実を使った分かりやすい例としては、「歴史の真実に迫る映画が好きだ」「シングルマザーの貧困の真実を記事にした」「ネット上に真実は存在しない」「真実の愛を求めて婚活パーティーに参加する」「この真実が明らかになったら大変なことになる」などがあります。

真実を語るという場合、それは自分の気持ちの中で嘘偽りなく物事を語るということであり、その人にとって正しければ、それは真実となります。

真実は仏教用語で「絶対の真理」

真実とは、仏教用語では「絶対の真理」とされています。この真理というのは、正しい道理のことを指していて、決して他者から否定されることのないものという意味があります。

人それぞれの心の中にある道理というのは、その人自身のものであり、他者から否定されて良いものではありません。真実とは、その人の道理に適っている正しいことであると言うことが出来ます。

真実が変わるタイミング

また、人の中にある真理や道理というものは、経験を積むことで変化をしたり、価値観が変わることで移ろったりするものです。真理や道理が変化すれば、自然と真実も変化をしていきます。

真実は事実とは違い、その時々で変化する可能性のあるものです。その時の自分の感情や心情に嘘偽りのない状態であれば、それが真実になるのだと覚えておくようにします。

真実の言い換え語

真実は、真相という言葉で言い換えることも出来ます。真相とは、物事の本当の事情や内容のことを言います。ここで言う本当の事情というのは、感情を含めた事情という意味です。

真実の対義語

真実の対義語・反対語としては、嘘であることを意味する「虚偽」(読み方:きょぎ)があります。

真実の類語

真実の類語・類義語としては、変わることがない真実の道理を意味する「真理」、偽りがないことを意味する「真誠」、物事の真実の姿を意味する「真相」、本当の内容を意味する「真相」などがあります。

真実の「真」という字を使った単語としては、まじめに物事に対する様子を意味する「真剣」、本当の気持ちや意向を意味する「真意」、真実と偽りを意味する「真偽」などがあります。

事実の例文

1.事実を捻じ曲げて話すのはよくない。
2.調べていくと、意外な事実がわかってきた。
3.歴史的事実から学べることは多いだろう。
4.彼の供述は、事実とは異なっている。
5.報告書には意見ではなく、事実だけを記載してください。
6.社内において大規模な横領が行われているとの告発を受けたので、即座に第三者委員会を設立し事実関係の確認を行うこととした。
7.注目を集めそうな情報を手に入れたからといってすぐにそれを拡散するのではなく、まずその情報が事実であるのかどうかを確認しなければならない。
8.ある週刊誌に掲載された情報は完全に事実無根であり名誉毀損にあたるとして、そのタレントはその出版社を提訴した。
9.あの事件はあまりにも衝撃的で理解不能なものであったので「事実は小説より奇なり」を体現していると言える。
10.既成事実を作ってしまうことで、彼は思い通りに物事を運ぼうとしている。

この言葉がよく使われる場面としては、実際に起こった出来事について表現する時などが挙げられます。過去に起こった出来事について表現する場合が多く、感情などを含まない出来事の内容を述べる時に「事実」という言葉を使います。

例文3のように、歴史的な出来事については「事実」という言葉で語られることが多くあります。歴史として刻まれている出来事は、過去のものであり、変わりようのないものです。このように、変化をしない出来事に対して、事実という言葉を使います。

真実の例文

1.私は彼に真実の愛を捧げている。
2.今こそ、あの事件の真実を告白したいと思う。
3.私にとっては、彼女はかけがえのない友人であったということが真実だ。
4.私はこの事件の事実ではなく、犯人の感情を含めた真実が知りたいのだ。
5.私は常に真実を述べるように心掛けている。
6.真実一路に研究を行い続けた結果、彼は世紀の大発見をすることができ最終的にはノーベル賞も受賞した。
7.「真実はいつもひとつ」という言葉があるものの複数の視点から見たならば真実は複数あることもあるのだから、その言葉は一概に正しいと言えないという意見もある。
8.裁判では偽りを証言しないことを宣誓するが、故意に真実でないことを証言した場合は偽証罪に問われることがある。
9.ディープフェイクという技術が近年発展しており、複数の真実に見せかけたものが作られてしまう可能性があるため事件捜査の手間が増えるかもしれない。
10.嘘は大袈裟に声高に叫ぶとすぐ疑われるが、控えめに少しずつ毎日繰り返し話し続けていくとやがて真実味を帯びてくる。

この言葉がよく使われる場面としては、実際に起こった出来事に対して、自分の中で嘘偽りのない本当のところを話す時などが挙げられます。真実とは、その人それぞれの心の在り方を反映させているものであり、感情を含めた本音のようなものです。

例文2で考えると、事件の真実を告白するというのは、自分がその事件に対して持っている本当の意見、本当の感情を告白するという意味を持っています。

真実を語る上では事件の事実は関係ありません。実際に起こった出来事と、その人が心の中に抱いている真実は異なっている場合もあります。

このように、感情を含んでいるために、変化する可能性のあるものに対して「真実」という言葉を使うようにします。自分の心に対して、嘘や偽りのない状態が「真実」であると覚えておくようにしましょう。

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