似た意味を持つ「アカウンタビリティ」と「レスポンシビリティ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「アカウンタビリティ」と「レスポンシビリティ」という言葉は、「責任」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
アカウンタビリティとレスポンシビリティの違い
アカウンタビリティとレスポンシビリティの意味の違い
アカウンタビリティとレスポンシビリティの違いを分かりやすく言うと、アカウンタビリティは説明する責任を表現する時に使い、レスポンシビリティは遂行する責任を表現する時に使うという違いです。
アカウンタビリティとレスポンシビリティの使い方の違い
一つ目のアカウンタビリティを使った分かりやすい例としては、「顧客に対するアカウンタビリティに関して明確化してもらった」「アカウンタビリティを果たすことは環境のためにも必要なことだ」などがあります。
二つ目のレスポンシビリティを使った分かりやすい例としては、「コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティはCSRと略されることが多い」「天災による被害に対するレスポンシビリティに関するページが掲載された」などがあります。
アカウンタビリティとレスポンシビリティの使い分け方
アカウンタビリティとレスポンシビリティは、どちらも責任という意味を持つ言葉ですが、意味合いが若干異なります。
アカウンタビリティは、企業の経営状況や情報を株主などに公開して説明を行う責任を意味する時に使われる言葉です。説明責任や説明義務と短く言われていることもあります。
一方のレスポンシビリティは、業務や実務を遂行する責任を意味する時に使われる言葉です。行動や結果を伴うため、特定の相手に対する説明を求められることはありません。
このことから、アカウンタビリティは他者に対して説明する責任を表し、レスポンシビリティは実際に役目を果たす責任を表すという明確な違いがあります。
アカウンタビリティとレスポンシビリティの英語表記の違い
アカウンタビリティを英語にすると「accountability」となり、例えば上記の「顧客に対するアカウンタビリティ」を英語にすると「accountability to clients」となります。
一方、レスポンシビリティを英語にすると「responsibility」となり、例えば上記の「コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ」を英語にすると「Corporate Social Responsibility」となります。
アカウンタビリティの意味
アカウンタビリティとは
アカウンタビリティとは、状況や内容などを公開して説明する責任や義務を意味しています。
アカウンタビリティの使い方
アカウンタビリティを使った分かりやすい例としては、「資本に関するアカウンタビリティがまとめられた資料に目を通す」「環境アカウンタビリティを果たすためのレポートをまとめる」などがあります。
その他にも、「アカウンタビリティのために時間は掛けるべきだ」「理解を深めるためにもアカウンタビリティは重視されるべきだ」「一から全てを説明するのもアカウンタビリティに含まれる責務だ」などがあります。
政府や企業などの社会に対する影響力を持つ人たちが、国民や従業員、間接的でしか関係を持たない消費者や地域住民などにも、活動や予定、様々な結果の報告を行う必要がある考えを指しています。
アカウンタビリティは医療や福祉業界でも使われる
公的な見解や企業の情報開示だけでなく、医療や福祉業界でも使われています。この場合は、利用者らに対する説明を表すだけでなく、合意や拒否するという意思決定まで含む言葉として使われますが、医療業界では「インフォームドコンセント」とも呼ばれています。
アカウンタビリティの語源
アカウンタビリティは英語で「accountability」と表記され、責任を意味する言葉として使われ、日本語でも同じように使われています。会計を意味する「accounting」と責任を意味する「responsibility」を組み合わせて出来た言葉です。
アカウンタビリティの対義語
アカウンタビリティの対義語・反対語としては、情報などを秘密にして隠しておくことを意味する「秘匿」、十分に説明できていないことを意味する「言葉足らず」があります。
アカウンタビリティの類語
アカウンタビリティの類語・類義語としては、詳しく述べることを意味する「詳述」、事柄を詳しく説明することを意味する「詳説」、企業などが情報を正式なものとして発表することを意味する「公表」などがあります。
レスポンシビリティの意味
レスポンシビリティとは
レスポンシビリティとは、業務や役目を遂行する責任や義務を意味しています。
レスポンシビリティの使い方
レスポンシビリティを使った分かりやすい例としては、「弊社のコーポレート・レスポンシビリティに注目している」「レスポンシビリティを無視して行動するわけにはいかない」「レスポンシビリティを果たすことで褒賞が貰える」などがあります。
その他にも、「環境に対するレスポンシビリティについて興味がある」「団体によってはレスポンシビリティの定義が異なる」「会社員としてはレスポンシビリティを第一に動かなければならない」などがあります。
「コーポレート・レスポンシビリティ」の意味
上記例文の「コーポレート・レスポンシビリティ」は、企業の責任を意味する言葉で、「コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ」で企業の社会的責任を意味する言葉としても使われています。前者は「CR」、後者は「CSR」と略されています。
具体的には、労働者や顧客、投資者といった企業関係者だけでなく、環境などに配慮することや社会貢献に対する意思決定を表します。企業の利益だけでなく、ボランティア活動や地域への貢献、また従業員支援などもCSR活動に該当します。
レスポンシビリティの語源
レスポンシビリティは英語で「responsibility」と表記され、責任や義理、負担、重荷を意味し、日本語でも同じように使われています。「リスポンシビリティ」と表記されることもあります。
レスポンシビリティの対義語
レスポンシビリティの対義語・反対語としては、やりたいように振る舞う様子を意味する「勝手」、自分の思うままに振る舞うことができる様子を意味する「自由」があります。
レスポンシビリティの類語
レスポンシビリティの類語・類義語としては、責任を持って果たさなければならない仕事を意味する「責務」、与えられた重大な務めを意味する「使命」、立場上務めなければならないことを意味する「義理」などがあります。
アカウンタビリティの例文
この言葉がよく使われる場面としては、状況や内容などを公開して説明する責任や義務を意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、受け手が理解および納得して答えを出すことまで含める場合もあります。
レスポンシビリティの例文
この言葉がよく使われる場面としては、業務や役目を遂行する責任や義務を意味する時などが挙げられます。
どの例文のレスポンシビリティも、アカウンタビリティという言葉に置き換えて使うことはできません。
アカウンタビリティとレスポンシビリティは、どちらも「責任」を表します。どちらを使うか迷った場合は、説明する責任を表す場合は「アカウンタビリティ」を、遂行する責任を表す場合は「レスポンシビリティ」を使うと覚えておけば間違いありません。