似た意味を持つ「いじり」と「いじめ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「いじり」と「いじめ」という言葉は、どちらも他人をからかうことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「いじり」と「いじめ」の違い
「いじり」と「いじめ」の意味の違い
「いじり」と「いじめ」の違いを分かりやすく言うと、「いじり」とはやられている側も笑えること、「いじめ」とはやっている側だけが笑っているという違いです。
「いじり」と「いじめ」の使い方の違い
一つ目の「いじり」を使った分かりやすい例としては、「いじりが上手な男性はモテやすい」「私は庭いじりが大好きです」「いじりが下手に人にいじられるとイラっとする」「私の体型をいじらないでください」などがあります。
二つ目の「いじめ」を使った分かりやすい例としては、「いじめられている人を助けてあげたいが勇気が出ません」「いじめを行なった生徒を退学処分にしました」「なぜいじめがなくならないのだろうか」「学校内のいじめは深刻な社会問題となっている」などがあります。
「いじり」と「いじめ」の使い分け方
「いじり」と「いじめ」は共通点はあるものの、本質は全く異なっている言葉なので注意が必要です。
「いじり」はやっている側とやられている側に愛情と信頼関係が成り立っており、「いじり」を行なってもやっている側とやられている側、どちらも笑っていることができます。
一方、「いじめ」はやっている側とやられている側に愛情と信頼関係が成り立っておらず、やっている側しか笑っていないというのが違いです。
そのため、やってる側は軽い「いじり」だと思っていも、やられている側が嫌だと感じているならそれは「いじめ」になると覚えておきましょう。
「いじり」と「いじめ」の英語表記の違い
「いじり」を英語にすると「make fun of」「tease」となり、例えば上記の「私の体型をいじらないでください」を英語にすると「Don’t tease me about my figure」となります。
一方、「いじめ」を英語にすると「bully」となり、例えば上記の「学校内のいじめは深刻な社会問題となっている」を英語にすると「Bullying at school is a serious social problem」となります。
「いじり」の意味
「いじり」とは
「いじり」とは、他人をもてあそんだり困らせたりすることを意味しています。その他にも、趣味として楽しむためにあれこれと手を加えたり操作したりすることの意味も持っています。
「いじり」の漢字表記
「いじり」を漢字にすると「弄り」と表記することができます。
「いじり」の使い方
「彼は出演者いじりがとても上手です」「いじりもやりすぎは良くないので気をつけた方がいだろう」などの文中で使われている「いじり」は、「他人をもてあそんだり困らせたりすること」の意味で使われています。
一方、「休みの日はずっと車いじりをしています」「庭いじりはとても楽しいです」などの文中で使われている「いじり」は、「趣味として楽しむためにあれこれと手を加えたり操作したりすること」の意味で使われています。
「いじり」は二つの意味を持つ言葉ですが、使い方は全く異なっています。
一つの目の他人をもてあそんだり困らせたりすることの意味は、基本的に人に対して使います。
また、「いじり」はやっている側とやられている側に愛情と信頼関係が成り立っており、「いじり」を行なってもやっている側とやられている側、どちらも笑っていることが定義です。
そのため、やっている側だけが一方的に笑っているのが「いじり」にはなりません。相手が嫌だと感じてしまうのであれば、それは「いじめ」となってしまうので、注意するようにしましょう。
二つ目の趣味として楽しむためにあれこれと手を加えたり操作したりすることは、「車いじりが好きです」「庭いじりを楽しんでいます」などのように、ものに対して使うのが一般的になっています。
「いじり」の類語
「いじり」の類語・類義語としては、人を慰みものにすることを意味する「もてあそぶ」、相手が困ったり怒ったりするようなことをして面白がることを意味する「からかう」、からかうことを意味する「おちょくる」などがあります。
「いじめ」の意味
「いじめ」とは
「いじめ」とは、肉体的や精神的に自分より弱いものを暴力や嫌がらせなどによって苦しめることを意味しています。
「いじめ」の漢字表記
「いじめ」を漢字にすると、「苛め」や「虐め」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「いじめ」やカタカナの「イジメ」を使うようにしましょう。
表現方法は「いじめ問題」「いじめをなくす」「いじめが増える」
「いじめ問題」「いじめをなくす」「いじめが増える」などが、「いじめ」を使った一般的な言い回しになります。
「いじめ」の使い方
「いじめ」を使った分かりやすい例としては、「いじめは絶対にやってはいけない行為だと思います」「私の息子はいじめが原因で不登校になってしまいました」「いじめを行なった生徒に厳しく注意しました」などがあります。
「いじめ」とは肉体的や精神的に自分より弱いものを暴力や嫌がらせなどによって苦しめることを意味しする言葉です。
「いじめ」は1980年代や1990年代前半において、学校内における生徒間の問題として認知ていました。しかし、2000年代以降では学校内にとどまらず、会社や施設などの様々な場所で起こる問題として取り上げられるようになりました。
そのため、2013年に学校におけるいじめの防止や早期発見のための基本理念、いじめの禁止、関係者の責務などを定めた法律である「いじめ防止対策推進法」が施行されました。
また、「いじめ防止対策推進法」では、児童や生徒に対して、同じ学校の他の児童や生徒が行う、心理的または物理的な影響を与える行為で、行為を受けた児童や生徒が心身の苦痛を感じているものを定義としています。
つまり、簡単に言うならば、やっている側がどう思っているかは関係なく、やられた側が「いじめ」だと感じたら、それは「いじめ」ということになります。
「いじめ」の類語
「いじめ」の類語・類義語としては、乱暴な力や行為のことを意味する「暴力」、暴力を用いて人身に危害を加えることを意味する「暴行」、権力や腕力にまかせて無法や乱暴な行いをすることを意味する「横暴」などがあります。
「いじり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人をもてあそんだり困らせたりすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、趣味として楽しむためにあれこれと手を加えたり操作したりすることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「いじり」は他人をもてあそんだり困らせたりすること、例文4と例文5の「いじり」は趣味として楽しむためにあれこれと手を加えたり操作したりすることの意味で使っています。
「いじめ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、肉体的や精神的に自分より弱いものを暴力や嫌がらせなどによって苦しめることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「いじめ」はマイナスなイメージしか使わない言葉です。
「いじり」と「いじめ」はどちらも他人をからかうことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、やられている側も笑えるのが「いじり」、やっている側だけが笑っているのが「いじめ」と覚えておきましょう。