似た意味を持つ「おあつらえ向き」(読み方:おあつらえむき)と「うってつけ」(読み方:うってつけ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「おあつらえ向き」と「うってつけ」という言葉は、どちらもぴったりと合っていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「おあつらえ向き」と「うってつけ」の違い
「おあつらえ向き」と「うってつけ」の意味の違い
「おあつらえ向き」と「うってつけ」の違いを分かりやすく言うと、「おあつらえ向き」とはプラスとマイナスどちらのイメージでも使える、「うってつけ」とはプラスのイメージでしか使わないという違いです。
「おあつらえ向き」と「うってつけ」の使い方の違い
一つ目の「おあつらえ向き」を使った分かりやすい例としては、「おあつらえ向きの背広が見つかって良かったです」「彼のよう天邪鬼な人にはあおつらえ向きな話だ」「サッカーにおあつらえ向きな天気です」などがあります。
二つ目の「うってつけ」を使った分かりやすい例としては、「この仕事はあなたにうってつけだと思います」「娘さんにはうってつけの男性ですね」「彼女はこの大役にうってつけだ」などがあります。
「おあつらえ向き」と「うってつけ」の使い分け方
「おあつらえ向き」と「うってつけ」はどちらもぴったりと合っていることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「おあつらえ向き」は「物を作るのが得意な彼にとっておあつらえ向きな仕事だろう」のように、プラスのイメージだけではなく、「彼女のような不器用な人にはおあつらえ向きな仕事だろう」のように、皮肉を込めてマイナスのイメージ使うことができます。
一方、「うってつけ」は「車が好きな彼にとってはうってつけの仕事だろう」「息子さんにうってつけの女性ですね」などのように、プラスのイメージでしか使わない言葉です。
つまり、「おあつらえ向き」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使う言葉なのに対して、「うってつけ」はプラスのイメージでしか使わないというのが違いになります。
「おあつらえ向き」と「うってつけ」の英語表記の違い
「おあつらえ向き」を英語にすると「ideal」「most suitable」となり、例えば上記の「サッカーにおあつらえ向きな天気です」を英語にすると「It is ideal weather for soccer」となります。
一方、「うってつけ」を英語にすると「ideal」「perfect」「just the right」となり、例えば上記の「彼女はこの大役にうってつけだ」を英語にすると「She is just the right man for this important role」となります。
「おあつらえ向き」の意味
「おあつらえ向き」とは
「おあつらえ向き」とは、希望通りであることを意味しています。
「おあつらえ向き」の漢字表記
「おあつらえ向き」は漢字にすると、「御誂え向き」「お誂え向き」などと表記することができます。
「おあつらえ向き」の使い方
「おあつらえ向き」を使った分かりやすい例としては、「閉会式におあつらえ向きな天気だ」「彼女にはおあつらえ向きな仕事だと思います」「あなたにはおあつらえ向きな話だと思うよ」「パーティーにおあつらえ向きなドレスを探すことにしました」などがあります。
「おあつらえ向き」は注文どおりであることや希望どおりであることを意味する「あつらえ向き」に、敬意を表す接頭語の「お」をつけて、丁寧に表現した言葉です。
「おあつらえ向き」は「友人の結婚式のためにおあつらえ向きのドレスを探す」「今日はピクニックするのにはおあつらえ向きな天気です」などのように、ぴったりと合っているや都合が良いというプラスのイメージで使うのが一般的になっています。
ただし、皮肉を込めてマイナスなイメージでも使うことができるというのが特徴です。例えば、「あなたのような人にはおあつらえ向きな話だと思うよ」とすると、「あなたのような程度の低い人にはぴったりの話だと思うよ」というニュアンスで解釈することもできると覚えておきましょう。
したがって、「おあつらえ向き」は状況によってプラスかマイナスか意味が変わるので、注意が必要です。
「おあつらえ向き」の類語
「おあつらえ向き」の類語・類義語としては、一番適していることを意味する「最適」、都合の悪い事情がないことを意味する「差し支えない」、目的にかなっていてちょうど良いことを意味する「好適」などがあります。
「うってつけ」の意味
「うってつけ」とは
「うってつけ」とは、物事がぴったりと当てはまることを意味しています。
「うってつけ」の漢字表記
「うってつけ」を漢字にすると、「打って付け」と表記することができます。
表現方法は「うってつけの仕事」「まさにうってつけ」
「うってつけの仕事」「まさにうってつけ」などが、「うってつけ」を使った一般的な言い回しになります。
「うってつけ」の使い方
「うってつけ」を使った分かりやすい例としては、「これは彼女にうってつけな仕事です」「今日は決勝戦にうってつけな天気です」「彼は社長としてうってつけの人だと思います」「ここは幼稚園にうってつけの場所だと思う」などがあります。
「うってつけ」は物事がぴったりと当てはまることを意味する名詞です。基本的に人や物がとある目的や状況にぴったりと当て待っている時に使う言葉になります。また、話し言葉や口語の文章として使うのが一般的です。
「うってつけ」は日常生活とビジネスシーンどちらでも使うことができる言葉ですが、ビジネスシーンにおいて目上の人に対して使うのはあまり適していないと覚えておきましょう。
「うってつけ」の語源
「うってつけ」の語源は釘を金槌で打つ動作です。板と板を釘を使って金槌で打ち付けると、すき間なくぴったりとくっ付いて離れません。そして、金槌で打つ動作のことを「打って付ける」と読んでいました。
この板と板を釘を使って金槌で打ち付ける動作が抽象的な表現となり、物事がぴったりと当てはまることを「うってつけ」と言うようになりました。
「うってつけ」の類語
「うってつけ」の類語・類義語としては、最も適していることを意味する「持って来い」、上手く適合していることを意味する「ぴったり」、その人の天性に最も合った職業のことを意味する「天職」などがあります。
「おあつらえ向き」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、希望通りであることを表現したい時などが挙げられます。
例文4や5のように、「おあつらえ向き」は皮肉を込めてマイナスなイメージで使うことも可能です。
「うってつけ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事がぴったりと当てはまることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「うってつけ」はプラスのイメージでのみ使う言葉です。
「おあつらえ向き」と「うってつけ」はどちらもぴったりと合っていることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスとマイナスのイメージで使えるのが「おあつらえ向き」、プラスのイメージで使えないのが「うってつけ」と覚えておきましょう。