【安堵】と【安心】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「安堵」(読み方:あんど)と「安心」(読み方:あんしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「安堵」と「安心」という言葉は、どちらも精神的に落ち着いていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




安堵と安心の違い

安堵と安心の意味の違い

安堵と安心の違いを分かりやすく言うと、安堵とは心配事が解消されたことを意味し、安心とは心配事がない状態を意味するという違いです。

安堵と安心の使い方の違い

一つ目の安堵を使った分かりやすい例としては、「事件が解決して安堵した」「無事が分かり安堵した」「安堵の表情を浮かべる」「ホッと安堵のため息をつく」「安堵の息を吐いて、身体の力を抜いた」などがあります。

二つ目の安心を使った分かりやすい例としては、「子供が安心できる居場所」「喜んでもらえて安心した」「安心して仕事を任せる」「無農薬で安全安心な野菜」「安心して治療を受ける」などがあります。

安堵と安心の使い分け方

安堵と安心という言葉は、気がかりなことがなく精神的に落ち着いているという共通する意味を持っているのですが、安堵は気がかりなことや心配事が解消されたという意味を含みます。安心は気がかりなこと心配事のあるなしに関わらず落ち着いていることを意味します。

安堵と安心と言い換えても意味は通じますが、話し言葉の時は「安心」と言うことが多いでしょう。 「安堵」はどちらかと言うと書き言葉の時によく使われ、話し言葉としても親しい友人との会話などではなく、ビジネスシーンや改まった場で使われることが多くあります。

安堵と安心の英語表記の違い

安堵も安心も英語にすると「relief」となり、例えば上記の「安堵の表情」を英語にすると「expression of relief」となります。

安堵の意味

安堵とは

安堵とは、気がかりなことが除かれ気持ちが安定することを意味しています。

表現方法は「安堵の表情」「安堵の息」「安堵の胸をなでおろす」

「安堵の表情」「安堵の息」「安堵の胸をなでおろす」などが、安堵を使った一般的な表現方法です。

安堵の由来

安堵の「堵」は「垣」の意味で、安堵は垣の内で安心して生活すること、居所に安住することがこの言葉の由来になっています。そこから、心が安らぐことの意味に広がりました。また、中世では、将軍や領主が土地の所有権などを承認する意味でも用いられました。

四字熟語「本領安堵」の意味

安堵を使った四字熟語に「本領安堵」があります。これは鎌倉・室町時代に幕府や領主が忠誠を誓った家臣に対して領地の所有を保証した制度を意味します。

安堵の使い方

安堵を使った分かりやすい例としては、「無事の一報を聞いて安堵した」「安堵の胸をなでおろした」「安堵の表情を浮かべる」「おもわず安堵の息を漏らす」「被災地に安堵の空気が流れた」「旅行から帰宅し安堵した」などがあります。

その他にも、「安堵感でいっぱいになる」「安堵のため息をつく」「その場に安堵感が広がる」「ひとまず安堵しております」「恐怖の後に安堵を感じた」「大事に至らず安堵しました」などがあります。

安堵という言葉は、日常生活やビジネスシーンなど幅広い場面で使われていますが、どちらかというと書き言葉やビジネスシーンで使われることが多いでしょう。

安堵の対義語

安堵の対義語・反対語としては、おそれることを意味する「危惧」、思いわずらうことを意味する「憂慮」、気にかかって不安に思うことを意味する「懸念」、気になって心が落ち着かないことを意味する「屈托」などがあります。

安堵の類語

安堵の類語・類義語としては、 心配事がなくなり精神的に落ちこと着くを意味する「一安心」、心が落ち着くことを意味する「安らぐ」、気がかりが解決して快適な気持ちになることを意味する「気が晴れる」、不安に感じていた物事が解決することを意味する「胸をなでおろす」などがあります。

安心の意味

安心とは

安心とは、気がかりなことがなく心が落ち着いていることを意味しています。

表現方法は「安心できる」「安心する」「安心して」

「安心できる」「安心する」「安心して」などが、安心を使った一般的な表現方法です。

安心の使い方

安心を使った分かりやすい例としては、「安心安全な街づくり」「安心して試験に臨む」「どうぞご安心ください」「安心して旅立つ」「災害に強い安心な社会」「ひとまず安心した」などがあります。

その他にも、「安心のための手厚い保障」「安心の手作りおやつ」「安心安全のための取り組み」「食事が取れているなら安心だ」「その知らせを聞い安心した」「住民が安心できる環境作り」などがあります。

四字熟語「安心立命」の意味

安心を使った四字熟語に安心立命(読み方:あんしんりつめい)があります。安心は仏教のことばで、信仰によって心を乱さないことを意味します。立命は儒教のことばで、身を天命にまかせ動揺しないことを意味します。

安心という言葉は、不安がなく心が安らいでいることを意味していおり、日常生活に馴染みのある言葉です。話し言葉として使われることが多くあります。

安心の対義語

安心の対義語・反対語としては、心配で落ち着かないことを意味する「不安」、物事の先行きに心を悩ますことを意味ずる「心配」、どうなるか心配でいつも気にしていることを意味する「気がかり」などがあります。

安心の類語

安心の類語・類義語としては、無事で安らかなさまを意味する「安泰」、穏やかでゆったりとした気分を意味する「安らぎ」、危険なことや心配なことがないことを意味する「安全」、精神的な緊張または不安がないことを意味する「安静」などがあります。

安堵の例文

1.近所を騒がせていた不審者が逮捕され、住民の間には安堵感が広がった。
2.式典が滞りなく終えられて、安堵いたしました。
3.義母の手術が上手くいったと聞き、夫は安堵の表情を浮かべた。
4.彼は、家族の無事を聞いて安堵の胸をなでおろした。
5.すべり止めに受験した学校に合格し、安堵のため息をついた。
6.小学生の娘が祖父母が住む広島県へ一人で遊びに行くことになり心配していたが、母から今着いたよと電話をもらって安堵した。
7.一時行方不明になっていた息子の居場所がわかり、両親は安堵の表情を浮かべていた。
8.後援会の人達は、応援している候補者の当選にひとまず安堵していたようだった。
9.立ち往生した電車から解放されて安堵したけど、今度はこの吹雪の中、家までどう帰ればいいのか。
10.忘年会の幹事が別の同僚に決まったことで、私はおもわず安堵の息を漏らしそうになった。

この言葉がよく使われる場面としては、気がかりなことや心配事がなくなって緊張から解放されることを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2のように何か不安なことや心配事が解決されて、心が安定した時に安堵という言葉が使われます。また、例文3から例文5のように「安堵の〇〇」と表現することがあります。

安心の例文

1.初めての土地で一人暮らしをすることになり不安だったが、すぐに知り合いができて安心して暮らせるようになった。
2.子供のお世話をしてくれるベビーシッターさんが優しそうなので、安心して任せられる。
3.安心安全な街づくりには、住民の防災・防犯に関する意識を高めることが不可欠だ。
4.この会社は労働環境の改善や福利厚生の充実に力を入れており、安心して働ける環境がある。
5.若者も高齢者も安心できる年金制度の確立が叫ばれて久しい。
6.ペットの犬は父が帰ってくるとうれしくてはしゃぎ回り、安心したような表情でずっと甘えている。
7.安全安心な社会を実現するためには、まだまだ多くの課題をクリアしていかなければならない。
8.この施設には子供用のスペースがあるので、子連れの親御さんでも安心して利用できる。
9.知り合いに家電製品を送りたいと思っているのですが、どのような梱包をして送れば安心でしょうか。
10.ネットではなく家電量販店で買うとちゃんと5年保証がつくので、安心して購入することが出来ます。

この言葉がよく使われる場面としては、心配や不安がなくて心が安らいでいる状態を表現したい時などが挙げられます。

例文3のように、安心と安全はセットで使われることが多くあります。安心とは主観的に危険が小さいと感じることを意味し、安全とは客観的に危険が小さいことです。安全であることによって安心が得られるわけで、あわせて使われる場面が多いのです。

安堵と安心は同じような意味を持ちますが、安心の方が広い意味で使うことができます。安堵と安心のどちらを使えば良いのか迷ったら、安心の方を使っておけば間違いありません。また、安堵は書き言葉やビジネスシーンで使われることが多いことも覚えておくと良いでしょう。

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