【忠義】と【忠誠】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「忠義」(読み方:ちゅうぎ)と「忠誠」(読み方:ちゅうせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「忠義」と「忠誠」という言葉は、どちらも「真心をもって仕えること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




忠義と忠誠の違い

忠義と忠誠の意味の違い

忠義と忠誠の違いを分かりやすく言うと、忠義とは主君に仕えることを表し、忠誠とは主君に限らず相手に仕えることを表すという違いです。

忠義と忠誠の使い方の違い

一つ目の忠義を使った分かりやすい例としては、「王様には忠義な家来が一人もいませんでした」「代々徳川家に仕えている忠義に厚い家臣でした」「前の会社に忠義立てするつもりはない」「とって付けたような忠義顔になった」などがあります。

二つ目の忠誠を使った分かりやすい例としては、「将軍に忠誠を誓った武士は御家人と呼ばれました」「忠誠心は信頼関係を高めます」「いまの所属チームに忠誠を尽くすつもりです」「犬は飼い主に忠誠心を示します」などがあります。

忠義と忠誠の使い分け方

忠義と忠誠という言葉は、どちらも真心をもって尽くし相手に使えることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

忠義とは、主君や国などに誠実に仕えることを意味します。武士道に通じる考え方であり、現代においては本来の意味であまり使われることがなくなった言葉です。現在では「忠義立て」「忠義顔」のように、義務感の強いニュアンスで使われています。

忠誠とは、真心を尽くすことや、心から忠義をつくすことを意味します。忠義のように主君や国などの権力に対してだけでなく、会社や組織あるいは個人的な人に対しても使われる言葉です。また、忠義よりも柔らかなニュアンスがあり、現代において用いられている表現です。

二つの言葉を比べると、忠義よりも忠誠の方が広い意味を持ち、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。

忠義と忠誠の英語表記の違い

忠義も忠誠も英語にすると「loyalty」「faithful」となり、例えば上記の「忠義な家来」を英語にすると「a faithful servant」となります。

忠義の意味

忠義とは

忠義とは、主君や国家に対し真心を尽くして仕えることを意味しています。

忠義の読み方

忠義の読み方は「ちゅうぎ」です。人の名前として読む場合は、「ちゅうぎ」の他に「ただよし」「あきのり」などと読まれることがありますが、一般的な名詞としての忠義は「ちゅうぎ」と読みます。

表現方法は「忠義を尽くす」「忠義を誓う」「忠義に厚い」

「忠義を尽くす」「忠義を誓う」「忠義に厚い」などが、忠義を使った一般的な言い回しです。

忠義の使い方

忠義を使った分かりやすい例としては、「身を挺して主君のために忠義を尽くす」「有能で忠義心の厚い家来を抱える」「家族を犠牲にしても忠義を尽くす」「どこまでも忠義に厚い人物でした」などがあります。

その他にも、「武士は何よりも忠義を重んじました」「辞めた会社に忠義立てする必要はないだろう」「忠義顔をして教授のあとを追いかけた」「現代において忠義を尽くすことはなくなりました」などがあります。

忠義という言葉の「忠」は主君や国家にひたすら尽くすこと、「義」は私欲を捨てて公共のためにすることを表す漢字です。忠義とは、真心を尽くして相手へのつとめを果たすことを意味し、特に主君や国家に対し真心を尽くして仕えることを表します。

「忠義顔」の意味

忠義を用いた日本語には「忠義顔」があります。忠義顔とは、それが事実であるか否かは別として、いかにも主家に真心を尽くしているような様子をすることです。「忠義面」ともいいます。

忠義の対義語

忠義の対義語・反対語としては、権威や権力などにさからうことを意味する「反逆」、時の為政者に反逆することを意味する「謀反」、権力や支配者に背いて武力行動を起こすことを意味する「反乱」などがあります。

忠義の類語

忠義の類語・類義語としては、主君につくす節義を意味する「忠節」、きわめて義理堅いことを意味する「律義」、真心をもって約束を守り相手に対するつとめを果たすことを意味する「信義」、真心を込めてよくつとめることを意味する「忠実」、忠義で善良なことを意味する「忠良」などがあります。

忠誠の意味

忠誠とは

忠誠とは、忠実で正直な心、忠義を尽くすことを意味しています。

忠誠の読み方

忠誠の読み方は「ちゅうせい」です。誤って「ちゅうじょう」「ただなり」などと読まないようにしましょう。

忠誠の使い方

忠誠を使った分かりやすい例としては、「神に絶対の忠誠を誓う」「子どもは両親に対し忠誠葛藤を抱くものです」「スミレの花言葉は忠誠です」「生涯を通じて忠誠心と敬意をもって国民に仕えます」などがあります。

その他にも、「外国人の英語教師はキリストへの忠誠心をあらわにした」「忠誠の誓いは合衆国の公式行事で暗誦されます」「入社したばかりで忠誠心がないのは普通だろう」「会社への忠誠心なんて意味がわからない」などがあります。

忠誠の語源

忠誠という言葉の語源は、その熟語の成り立ちにあります。忠誠の「忠」は誠意を尽くすこと、「誠」は嘘偽りのない心を表します。この二つの漢字が組み合わさり、忠誠とは、忠実で正直な心や心から忠義をつくすことを意味します。

「忠誠を尽くす」の意味

上記の例文にある「忠誠を尽くす」とは、忠実に任務に取り組むことや、命令や指示に忠実に従うことを意味する表現です。

「忠誠心」の意味

忠誠を用いた日本語には「忠誠心」があります。忠誠心とは、嘘や偽りなどなく真心を込めて相手によくつとめる心を指す言葉です。「忠誠心がある」「忠誠心がない」「忠誠心を高める」などと表現します。

忠誠の対義語

忠誠の対義語・反対語としては、忠義でないことを意味する「不忠」、体制に逆らうことを意味する「造反」、従うべきものにそむくことを意味する「背反」などがあります。

忠誠の類語

忠誠の類語・類義語としては、私利私欲をまじえず真心をもって人や物事に対することを意味する「誠実」、きわめて誠実なことを意味する「至誠」、誠実でかげひなたのないことを意味する「実直」、心を込めて物事をすることを意味する「丹精」などがあります。

忠義の例文

1.武士道は、家来が主君に対して忠義を行うことを教える封建道徳です。
2.家臣とは、いつ何時いかなる時も王様に忠義を尽くすものです。
3.謀反により天下人を葬った明智光秀は、もともと忠義に厚い有力武将でした。
4.映画三国志は、壮絶なアクションだけでなく人格者の関羽が忠義を貫くさまも魅力です。
5.父は退職した会社に忠義立てすることなく、ライバル会社の商品を買っています。
6.大勢の敵を前に、戦士は忠義に厚く勇敢ではあったが、ほとんどの者はみじめな最期であった。
7.男は要領が悪く、武功を挙げられなかったが、主君に対する忠義だけは誰にも負けない自負があった。
8.たとえ有能で忠義心の厚い家来を抱えていたとしても、主君が愚かであったら、その家が栄えることがないだろう。
9.お館様から度重なる理不尽な要求に嫌気が差していたが、もしや忠義心を試されているのではないかと気づいた。
10.私はもうこの会社の社員なのだから、辞めた会社に忠義立てする必要はないだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、私欲をさしはさまないで真心を尽くして主君や国家に仕えることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「忠義立て」とは、忠義をどこまでも立て通すことや、忠義を尽くしているように振る舞うことを意味します。

忠誠の例文

1.移籍せずに一つのクラブに忠誠を誓うサッカー選手は、とても情が深いのだと感じます。
2.最近の若手社員には、会社に対する忠誠心が少ないと言われています。
3.現在の新卒一括採用の成り立ちや仕組みが、社員の忠誠心を育んできたようです。
4.エンゲージメントと呼ばれるマーケティングにおける忠誠心とは何なのか、わかりやすく説明します。
5.幼い頃に教会で英語を習っていましたが、イエスキリストに忠誠を誓ったことはありません。
6.私の友人は会社のスローガンに共感して今の会社に就職し、買い物は系列のデパートやスーパー、子どもの就職も同じ会社を希望するなど会社への忠誠心が半端ない。
7.彼は島流しにされてまで会社に忠誠なんか誓えるかと、辞表を提出する構えを見せた。
8.私はこれからどんなことがあっても、いまの所属チームに忠誠を尽くすつもりです。
9.本来犬は飼い主に忠誠心を示しますが、見たところ、飼い主を舐めてかかっているようでした。
10.スパイというのは国家に忠誠を捧げているものだが、取引によってはこちら側に寝返ることもあるのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、忠実で正直な心、真心、心から忠義を尽くすこを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文5にある「忠誠を誓う」とは、かしこまって相手に付き従う意志を表明するさまを意味しています。

忠義と忠誠という言葉は、どちらも「真心をもって仕えること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、主君に対して使えることを表現したい時は「忠義」を、主君に限らず使えることを表現したい時は「忠誠」を使うようにしましょう。

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