【食い扶持】と【食費】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「食い扶持」(読み方:くいぶち)と「食費」(読み方:しょくひ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「食い扶持」と「食費」という言葉は、どちらも食事にかかる費用のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「食い扶持」と「食費」の違い

「食い扶持」と「食費」の意味の違い

「食い扶持」と「食費」の違いを分かりやすく言うと、「食い扶持」はかしこまった場面で使えない「食費」はかしこまった場面でも使えるという違いです。

「食い扶持」と「食費」の使い方の違い

一つ目の「食い扶持」を使った分かりやすい例としては、「ギャンブルに夢中になって食い扶持を減らしてしまいました」「食い扶持がかさんだため副業を始めました」「食い扶持として実家に2万円入れていました」などがあります。

二つ目の「食費」を使った分かりやすい例としては、「成長期の子供がいるので食費がかさむ」「今月の食費は約2万円でした」「私は食費を節約しています」「食費として月々3万円もらっている」などがあります。

「食い扶持」と「食費」の使い分け方

「食い扶持」と「食費」はどちらも食事にかかる費用のことを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「食い扶持」はかしこまった場面で使えないのに対して、「食費」はかしこまった場面でも使えるという点です。

そのため、「食い扶持」はビジネスシーンや結婚式などでは使うことはできません。必ず丁寧な表現である「食費」に置き換えるようにしましょう。

「食い扶持」と「食費」の英語表記の違い

「食い扶持」も「食費」も英語にすると「food expenses」「food costs」となり、例えば上記の「私は食費を節約しています」を英語にすると「I cut down on one’s food expenses」となります。

「食い扶持」の意味

「食い扶持」とは

「食い扶持」とは、食べ物を買うための費用のことを意味しています。

表現方法は「食い扶持を減らす」「食い扶持がなくなる」「食い扶持をつなぐ」

「食い扶持を減らす」「食い扶持がなくなる」「食い扶持をつなぐ」「食い扶持を増やす」「食い扶持が増える」などが、「食い扶持」を使った一般的な言い回しになります。

「食い扶持」の使い方

「食い扶持」を使った分かりやすい例としては、「母親に自分の食い扶持を渡す」「食い扶持を稼ぐために上京することを決めました」「娘が嫁いでいったため食い扶持が減った」「物価の値上がりの影響で食い扶持に困る人が増えてきました」などがあります。

「食い扶持」は食べ物を買うための費用のことを意味する名詞で、簡単に言うならば「食費」のことです。

「食い扶持」は基本的に話し言葉として使い、やや乱暴な表現であるのが特徴になります。そのため、ビジネスシーンで目上の人や、結婚式、パーティー会場などのかしこまった場面で使うのは適していません。

もし、そういった場面で使いたいのあれば、相手にマイナスな印象を与えないためにも、「食費」や「食べるためのお金」などに置き換えるようにしましょう。それ以外の場面では、辞書に載っている正しい日本語なので使っても問題ありません。

「食い扶持」の語源

「食い扶持」の語源は江戸時代の給与の支給制度です。江戸時代は主君から家臣や奉公人への給与として、金銭の代わりに米を支給していました。一人あたり一日玄米5合を標準とし、この一年分を給与として与えることで、主君に仕える対価としていました。

このお米のことを扶持米(読み方:ぶちまい)と呼んでいたのです。扶持米は藩や身分によって定められていましたが、家臣や奉公人の家族が生活していくための十分な量は支給されていたといわれています。

この扶持米が転じて、食べ物を買うための費用のことを「食い扶持」と言うようになりました。

「食い扶持」の類語

「食い扶持」の類語・類義語としては、生活してゆくために必要な費用のことを意味する「生活費」、飯の代金や食事の代金のことを意味する「飯代」、食物を買う費用のことを意味する「食い代」などがあります。

「食費」の意味

「食費」とは

「食費」とは、食事にかかる費用のことを意味しています。

表現方法は「食費節約」「食費がかさむ」「食費を減らす」

「食費節約」「食費がかさむ」「食費を減らす」などが、「食費」を使った一般的な言い回しになります。

「食費」の使い方

「食費」を使った分かりやすい例としては、「食費がかさんでしまったので今月はあまり貯金ができません」「毎日弁当を作ることで我が家の食費を抑えています」「彼は食費には困らないくらい稼いでいるらしい」「食費を減らす努力をしています」などがあります。

「食費」とは、食事にかかる費用のことを意味しており、生活費の中で食事にかかる経費全般を指しています。

そのため、食材、調味料、酒、おやつなど、家庭内で消費するものだけではなく、外食も、基本的に「食費」に含まれています。

「食費」はかしこまった場面、かしこまっていない場面問わず、どちらでも使えるのが特徴です。そのため、食事にかかる費用のことを表現したい時にどの言葉を使えばいいか迷った場合は、「食費」を使っていれば問題ないでしょう。

「食費」の類語

「食費」の類語・類義語としては、生計を立てるのに必要な費用のことを意味する「米塩の資(読み方:べいえんのし)、一回ごとの食事にかかる費用のことを意味「食事代」などがあります。

「食い扶持」の例文

1.社会人になっても実家暮らしを継続しているが、食い扶持はきちんと家に入れています。
2.家族の食い扶持を稼ぐために、死に物狂いで働いています。
3.家賃を滞納しているので何とかして食い扶持を探さないと、近いうちに追い出されてしまいます。
4.遅刻や無断欠勤を繰り返していると、せっかくの食い扶持を失うことになるので気をつけよう。
5.30歳のニートの息子に対して、いい加減に就職して自分の食い扶持を入れろと忠告しました。
6.彼は経済的に苦しい時期にあえて割に合わない仕事を選び、自分の食い扶持をギリギリに抑えながらも、家族に迷惑をかけないよう努力していました。
7.フリーランスになってからは、安定した食い扶持がないため、収入の波があるものの、自分の好きな仕事を選ぶ自由さがあると感じています。
8.農家だけではなかなか暮らしが安定しないので、食い扶持を稼ぐために上京したりしていました。
9.その家庭では子供の教育費を捻出するため、自分の食い扶持を削ってまで、良い環境を提供しようと努力していました。
10.低所得者層が増える中で、食い扶持に困る人々が増えており、食品価格の高騰が社会問題となっています。

この言葉がよく使われる場面としては、食べ物を買うための費用のことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「食い扶持」はかしこまった場面では使えない言葉です。

「食費」の例文

1.今月の食費は予想以上に多かったので、来月はもう少し減らすようにしよう。
2.食費を節約するために、外食は控えてお弁当を作るようにしています。
3.私はオシャレが大好きなので、食費よりも洋服にお金を使うことが多いです。
4.今月は食費が浮いたので、いつもよりも多く貯金することができました。
5.今月は外食が多く食費がかさんでしまったので、来月は節約するように心掛ける。
6.息子はまともに食事をとらずお菓子ばかり食べているので心配になると同時に、無駄に食費がかかり今後購入を控えようかと考えている。
7.私は日々の食費を節約するために、スーパーの特売品を狙って買い物することにしています。
8.家計が厳しくなる中、外食が多いことに気づいたので、少しでも食費を減らすために自炊するようにしています。
9.母親は食費の無駄を減らすために、1週間ごとに献立を決めて買い物するようにしている。
10.彼女は食費を減らすために、冷蔵庫の余った食材を使って簡単な副菜を作ることが多いです。

この言葉がよく使われる場面としては、食事にかかる費用のことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「食費」はかしこまった場面でも使える言葉です。

「食い扶持」と「食費」はどちらも食事にかかる費用のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、かしこまった場面で使えないのが「食い扶持」、かしこまった場面でも使えるのが「食費」と覚えておきましょう。

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