似た意味を持つ「うだつが上がらない」(読み方:うだつがあがらない)と「鳴かず飛ばず」(読み方:なかずとばず)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」という言葉は、マイナスなイメージで使うことが多いという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」の違い
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」の意味の違い
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」の違いを分かりやすく言うと、「うだつが上がらない」とは地位や生活などが中々良くならないこと、「鳴かず飛ばず」とは何の活躍もしないでいることという違いです。
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」の使い方の違い
一つ目の「うだつが上がらない」を使った分かりやすい例としては、「彼はいつまで経ってもうだつが上がらない人だ」「頑張っているつもりだが中々うだつが上がらない」「うだつが上がらない男に娘はやれません」などがあります。
二つ目の「鳴かず飛ばず」を使った分かりやすい例としては、「鳴かず飛ばずの下積み生活はいつまで続くのだろうか」「鳴かず飛ばずの人生を変えるために新しいことにチャレンジする」「彼女は鳴かず飛ばずの毎日だ」などがあります。
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」の使い分け方
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」は似たような場面で使う言葉ですが、意味は少し異なっているので間違えないように注意しましょう。
「うだつは上がらない」は地位や生活などが中々良くならないことやぱっとしないことを意味しているのに対して、「鳴かず飛ばず」は何の活躍もしないでいることや将来の活躍に備えて行いを控えて機会を待っているという意味で使うというのが違いです。
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」の英語表記の違い
「うだつが上がらない」を英語にすると「hope of getting ahead」「never get better off」となり、例えば上記の「うだつが上がらない男に娘はやれません」を英語にすると「I won’t let my daughter marry a man who has no hope of getting ahead」となります。
一方、「鳴かず飛ばず」を英語にすると「remain」「obscure」となり、例えば上記の「彼女は鳴かず飛ばずの毎日だ」を英語にすると「She has remained quiet」となります。
「うだつが上がらない」の意味
「うだつが上がらない」とは
「うだつが上がらない」とは、地位や生活などが中々良くならないことを意味しています。
「うだつが上がらない」の漢字表記
「うだつが上がらない」を漢字にすると、「梲が上がらない」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「うだつが上がらない」を使うようにしましょう。
「うだつが上がらない」の使い方
「うだつが上がらない」を使った分かりやすい例としては、「うだつが上がらない若手時代を乗り越えた彼の活躍が楽しみです」「最近は売り上げも減りうだつが上がらない状況です」「彼は何をやってもうだつが上がらないので見ていてイライラする」などがあります。
「うだつが上がらない」は地位や生活などが中々良くならないことやぱっとしないことを意味する慣用句です。慣用句とは二語以上の単語が結合して、それ全体である特定の意味を表す言葉のことを指しています。
「うだつが上がらない」は、ぱっとしない状況や人物に対して使うため、基本的にマイナスなイメージを伴って使われている言葉です。
「うだつが上がらない」は主に3つの使い方があります。
一つ目は、第三者に対しての悪口です。例えば「彼はうだつが上がらない人だ」のように、他人をぱっとしない人と評価する場合に使います。マイナスなイメージにしかならないので、十分に注意して使うようにしましょう。
二つ目は、悪い状況であることを婉曲的に伝える場合です。婉曲的とは言いまわしが穏やかでかど立たないことを意味しています。例えば、「最近うだつが上がらないんですよね」のように、仕事や金銭面があまり上手くいっていないことを相手に伝える場合に使うことが多いです。
三つ目は、自分や身内の状況を相手に謙遜して伝える場合です。例えば、「私はうだつが上がらないのでもっと頑張らなければいけません」のように使います。そのため、この使い方をする場合はマイナスなイメージとは限らないと覚えておきましょう。
「うだつが上がらない」の由来
「うだつが上がらない」の由来は二つあります。
一つ目は、梁の上に立てて棟木を支える短い柱です。この棟木を支える短い柱のことを「うだつ」と呼び家を建てる時には必須と言われています。
この「うだつ」が棟木におさえられているように見えることが転じて、地位が上がらないことやぱっとしないことを「うだつが上がらない」と言うようになりました。
二つ目は、商家などで隣の家との境に設ける防火壁です。この防火壁のことを「うだつ」と言い、「うだつ」を高く上げることを繁栄の印としています。したがって「うだつが上がらない」とすると、繁栄していないという意味になると言われていました。
「うだつが上がらない」の類語
「うだつが上がらない」の類語・類義語としては、あまり迫力や目立つところがないことを意味する「ぱっとしない」、成功の糸口が開けないことを意味する「芽が出ない」、地位や状態などがその段階にとどまったまま低迷していることを意味する「燻っている」などがあります。
「鳴かず飛ばず」の意味
「鳴かず飛ばず」とは
「鳴かず飛ばず」とは、何の活躍もしないでいることを意味しています。
「泣かず飛ばず」は誤り
「鳴かず飛ばず」を「泣かず飛ばず」と表記するのは誤用なので、間違えないように注意しましょう。
表現方法は「鳴かず飛ばずの毎日」「鳴かず飛ばずの人生」
「鳴かず飛ばずの毎日」「鳴かず飛ばずの人生」などが、「鳴かず飛ばず」を使った一般的な言い回しになります。
「泣かず飛ばず」の使い方
「鳴かず飛ばず」を使った分かりやすい例としては、「鳴かず飛ばずの人生だったがやっと日の目を見ることができそうだ」「鳴かず飛ばずの下積み時代が終わりようやくデビューすることができました」「彼は昨シーズン新人王を獲得したが今年は鳴かず飛ばずの成績だ」などがあります。
「鳴かず飛ばず」は将来の活躍に備えて行いを控えて機会を待っていることを意味する故事成語です。しかし。現代ではこれが転じて、何の活躍もしないでいることの意味で使うのが一般的になっています。
故事成語とは故事をもとにしてできた言葉のことです。特に、中国の故事が元になっていることが多いと覚えておきましょう。
「泣かず飛ばず」の由来
「鳴かず飛ばず」の由来は、紀元前七世紀頃の中国の『史記-楚世家』という書物と言われています。
楚の君主であった荘王は、即位してから3年間政治を省みることなく遊んでばかりいました。また、注意をする家臣は処刑すると公言していたそうです。
そんな時に、伍挙という家臣が荘王に「丘の上で3年間鳴くことも飛ぶこともない鳥は、一体どんな鳥だと思われますか」と謎かけをしたそうです。
これに対して、荘王は「3年も飛ばない鳥は、ひとたび飛んだら天を突くかのように高く飛び、鳴いたら人を驚かすほどの勢いだろう」答えました。
このやりとりが由来となり、将来の活躍に備えて行いを控えて機会を待っていることを「鳴かず飛ばず」と言うようになりました。
「泣かず飛ばず」の類語
「鳴かず飛ばず」の類語・類義語としては、才能や業績などが世の中に知られないでいることを意味する「埋もれている」、取るに足らない者のことを意味する「三下」、人気がないことを意味する「売れない」などがあります。
「うだつが上がらない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、地位や生活などが中々良くならないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「うだつが上がらない」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「鳴かず飛ばず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何の活躍もしないでいることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「鳴かず飛ばず」はイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「うだつが上がらない」と「鳴かず飛ばず」はどちらもマイナスなイメージで使う言葉です。
どちらの言葉を使うか迷った場合、地位や生活などが中々良くならないことを表現したい時は「うだつが上がらない」を、何の活躍もしないでいることを表現したい時は「鳴かず飛ばず」を使うと覚えておきましょう。