【講じる】と【講ずる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「講じる」(読み方:こうじる)と「講ずる」(読み方:こうずる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「講じる」と「講ずる」という言葉は、どちらも問題を乗り越えるための対応方法を検討し実行することという共通点があり、使う場面は少し違いますが混同して使われる傾向があります。

講じると講ずるの違い

講じると講ずるの違いを分かりやすく言うと、辞書に載っている現代風の読み方か、古い読み方かの違いです。「講じる」と「講ずる」は、どちらも同じ意味を持つ言葉で、現代では「講じる」の方を一般的な読み方として使用しています。

一つ目の講じるを使った分かりやすい例としては、「すぐに対策を講じる必要がある」「状況を見ながら手段を講じる」「あらゆる手段を講じるが効果が出ない」「必要な措置を講じる」「感染拡大防止の一策を講じる」などがあります。

二つ目の講ずるを使った分かりやすい例としては、「再発防止策を講ずる」「この施策を講ずるための環境を整える」「リーダーが講ずるべき総合的な対策」などがあります。

なぜ、講「じる」と講「ずる」という二種類の語尾が存在するのか。これは、日本語の口語文法と文語文法の決まりによる違いがあるからです。口語文法とは、しゃべり言葉のことで、文語文法とは、文章で書く際の言葉という意味です。

これらの日本語文法には「活用法」という考え方があります。活用法とは、文章の流れによって単語の語尾を違和講のないように変えることを意味します。

まさしく「講じる」「講ずる」のように、最初の言葉は同じであっても語尾が違う言葉が存在するのは、活用法によって文脈に合うかたちで語尾が変えられているからです。

講じる、講ずるという言葉は「サ行変格活用」という活用法によって、語尾を変えています。サ行変格活用では、文章の流れによって語尾をサ行の言葉である「さしすせそ」を元にして変えていきます。

「講じる」「講ずる」という言葉の場合、「講」という先頭の言葉はそのままに、語尾を「未然形:じ」「連用形:じ」「終止形:じる・ずる」「連体形:じる・ずる」「仮定形:じれ・ずれ」「講令形:じろ・じよ・ぜよ」という風に変化させます。

語尾の変化の形である未然形や連用形などの名称は、その言葉がどのような文脈で使われているかの形のことを指しています。例えば「未然形」というのは「まだそうなってはいない」という意味を持ち、否定形と一緒に使われます。

つまり、講じるの未然形の表現は「講じない」となります。変化しない先頭の「講」に未然形の「じ」をつけて、最後に否定形の「ない」を付けた形です。

このように、日本語には、様々な文法上の決まりがあります。「講じる」「講ずる」というのは、両方ともこの文法で言うところの「終止形」です。

終止形というのは、言い切りの形という意味があります。文章ではなく、ひとつの単語として使う際には終止形を使います。

「講」の終止形には「じる」と「ずる」の二種類があります。これが「講じる」と「講ずる」の違いです。二種類の語尾がある場合、どちらを使っても間違いではありませんが、どちらか一方が、一般的に使われているものであることがほとんどです。

「講」の場合、辞書に記載されているのは「講じる」という言葉です。こちらが、現代では一般的に使用されている言葉であり、「講ずる」というのは古い言い方になります。

しかし、意味に違いはありませんし、どちらも文法的には使えるものですので、個々人の好みや文章の前後の文脈などを考えて、自由に使い分けが出来るものであると言えます。

講じるの意味

講じるとは、問題を乗り越えるための対応方法を検討し実行することを意味しています。

講じるを使った分かりやすい例としては、「何らかの策を講じてくれるのを待っている」「このような安全対策を講じております」「防衛策を講じる権限がない」「曖昧な策ではなく具体策を講じてください」「もっと良い改善策を講じる必要がある」などがあります。

講じるの類義語としては、内容を検討したり手を加えることを意味する「練る」、物事を新しい状態にすることを意味する「立てる」、計画を実行することを意味する「実施する」、うまくさばいて終わらせることを意味する「処理する」があります。

講ずるの意味

講ずるとは、講じるという言葉の少し古い言い方を意味しています。講ずるというのは「講ず」という言葉のサ行変格活用の終止形です。

講ずるを使った分かりやすい例としては、「再発防止策を講ずる必要がある」「この人はいつも大胆な策を講ずる」「数日以内に必要な措置を講ずる予定です」「あなたの講ずる施策は素晴らしい」などがあります。

意味としては、講じると全く同じものであり、文章の前後の文脈などによって使い分けることが出来るものです。辞書には「講じる」は載っていても、「講ずる」という言葉は載っていないことが多く、講ずるは現代語よりも少し古い表現です。

しかし、意味は同じであるので、「講じる」「講ずる」のどちらを使っても間違いではありません。古風な雰囲気を出したい時などには、あえて「講ずる」という言葉を使うのも良いでしょう。

他にも、例えば「講ず」という言葉の講令形を考えてみると、現代風の言い方であれば「講じろ」となりますが、古風な言い回しになると「講じよ」または「講ぜよ」となります。

この「講じよ」「講ぜよ」と同じ雰囲気を持つのが「講ずる」であると考えると、わかりやすいでしょう。

講じるの例文と使い方

1.今回の震災を教訓にし、それぞれの企業が講じるべき対策が国から発表された。
2.日本の会社はセキュリティ対策を講じるがあまりに遅いという現実がある。
3.問題が発生する前に予防策を講じておくことが何よりも重要なことである。

この言葉がよく使われる場面としては、問題を乗り越えるための対応方法を検討し実行することを表現で表したい時などが挙げられます。

似ていてよく大学などで使われる言葉に「講義」というものがありますが、今回の「講じる」とは意味は大きく異なるものになりますので混同しないようご注意ください。

講ずるの例文と使い方

1.事業主がハラスメント防止のために講ずべき措置に関してこの資料にはまとめられている。
2.顧客からの苦情を処理するためにコールセンターを設置等を講ずる必要がある。
3.その他の措置を講ずる必要性を問うならば、代わりに案を出してほしいものだ。

この言葉がよく使われる場面としては、講じるという言葉を少し古風な表現で表したい時などが挙げられます。

上記の例文を見れば分かる通り、「講ずる」を「講じる」に置き換えても文章としての問題は全くありません。